第40話 四人目の候補者
「ヒロ殿の種馬計画はちょっと横に置いといて」
「置くんだ」
「何? もしかして続けたい?」
「いえ、そうではなくて……俺の子種搾取計画は決定事項なんだなぁ~って思っただけで」
「うん、まあそういうことになるね。大丈夫! 心配することはないからさ。もし計画が実行されるとしても君が天井のシミを数えている間に終わるだろうからね。それに痛くはないし逆に気持ちいいだろうね。ホント、羨ましいよ」
「なら「代われないよ」……えぇ~」
「だって、君のスキルが引き継がれるかどうかがテーマなんだから。それを私が代わっても意味がないよね?」
「……まあ、そうですね」
「それに既に君に好意を持っている人物はこちらが把握しているだけで三人いる。そこのウララ嬢を入れれば四人になるのかな」
「ヒロ! いつの間に!」
「いや、いつの間にって……俺に言われても……」
「それに四人って誰? セシルにユリアに私で三人だとして、もう一人は誰よ!」
「いや、だからそれを俺に言われてもだよ」
「あ、もしかして……」
王は俺のスキルに興味があるようで、どうにかそれを子々孫々に引き継げないかと考えている様だ。
そしてその為に俺を種馬として色んな人との交配をさせようと企みが進んでいるっぽい。
そんな計画に参加予定として王が掴んでいるのはセシルにユリアに先輩の三人は予測が着くがもう一人は誰だろう? と考えていると先輩に「もう一人は誰?」と問い詰められるが思い付くハズもなく誰だろうと考えているとオジーが呟く。
「オジーは誰か知っているの?」
「はい。ですが、ヒロ様もご存知の方ですよ」
「え? 俺が知っている人?」
「ええ。この前話したじゃないですか」
「この前?」
「はい。冒険者ギルドの受付嬢がヒロ様が来られるのを待っている……と」
「あ!」
「ふふふ、思い付いた様だね。こちらで掴んでいるのもその女性に違いないよ」
「ヒロ、私聞いてないけど?」
「……言う必要が?」
「な、何よ! 教えてくれてもいいじゃない!」
「俺も別に隠していた訳じゃなくて……あまり、その女性に触れたくないと言うか……」
「あ~そういう系?」
「どういう系かは分からないですけど……とにかく触れてほしくはないんです」
「でも、相手はそうでもないみたいだけどね。それに獣人との交配についてもどうなるのか知りたいし、私は応援したいかな?」
「陛下!」
「宰相だって知りたいでしょ?」
「それは……」
オジーから『冒険者ギルドの受付嬢』と聞いて一人だけ思い付いたが、「アレはちょっとな」と独り言ちるが、王や宰相達も相手が獣人と知りどうなるのかが楽しみみたいだ。
「ま、そんなことよりもさ。ヒロ殿、正直に答えて貰いたい」
「はい?」
「君はトリリア村で何をしたんだい?」
「え?」
王は俺の種馬計画はここまでと話を打ち切ると俺の目を真っ直ぐに見て「何をした」と問い掛ける。
俺はその問い掛けに対し何かしたかなと色々と思いを巡らせてみるが、何も思い付かない。
一つあるとすれば……来ていたスーツを売ったことだろうか? でも、これが咎められることだろうかと考えるが、そこまでのことじゃないだろうと頭を振る。
しばらくの間、腕組みをして考えていたが俺からの回答が出て来ないことに痺れを切らしたのか、王はニヤリと笑い「君は自分が何をしたか分からないのかい?」と聞いて来た。
「ん~さっぱりです。俺、何かしましたか?」
「ならば、言い方を変えようか。あの村の住民の魔力量が凄く強大になっているんだ」
「え?」
「更に言うなれば、この世界の万物はすべからく魔力を持っているんだよ。だけど、その魔力量の根源となる器の大きさは我々王族を含めた貴族と平民では異なり、平民は貴族の魔力量にはどう頑張っても及ばないと言うのが現状だ。まあ、希に強大な魔力量を持つ者も顕現するがそういう者は冒険者として大成する道を選ぶか、貴族家に養子か婿や嫁として迎え入れられる」
「はぁ……」
「まだ、よく分かっていないようだね」
「すみません。何がなんだか……」
「では、ハッキリと言おう。最近、トリリア村の住民の魔力量が総じて強大になっていると言う話はしたよね」
「はい……」
「でね。そうなったのが、つい最近……と、言ってもここ半年の間なんだよ。ここまで言えば分かるよね」
「あ……」
「ふふふ、思い付くことがあるようだね」
「は、はい。でも……」
「そんなに怖がらないでよ。別に君を罪に問おうとかそういうことじゃないから」
「は、はい」
「でもね、なんでそういうことになったのか。そして、どんな方法で魔力量を増やしたのかを確認したいんだ。さ、話しておくれ」
「わ、分かりました。実は……」
俺はトリリア村での出来事を出来るだけ正確に王に伝えると「ほう、それは中々興味深い話だね」とニヤリとしながら俺の顔を見る。
「ちなみにだけど、今ここでそれを試すことは出来るかな?」
「べ、別にいいですけど……男相手には遠慮したいかな」
「ふふふ、そうだね。話を聞く限りではそうだよね。よし、分かった。ならば、こうしよう」
王がパンパンと手を叩くと扉を開けて一人の女性が入って来た。
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