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ヴァーレ・一

初夏の抜けるような青空に、木立の深緑と牧草の緑のコントラストが映えている。

ツバの広い帽子を被っていなければ、その眩しさに目が開けられない事だろう。


鮮やかな牧草の緑の上を、白、黒、茶の馬達が駆けていた。

ここは、お茶会で知り合った、サラのコエーリョ領ヴァーレ、騎射場のある長閑な放牧地だ。


白馬は、サラ・コエーリョの愛馬。 黒馬は二頭いて、エマと従姉のパウラの愛馬。栗毛も二頭いて、テルセオの幼なじみのセシリアとアンヘラ・パラモ伯爵令嬢の愛馬だった。


領地から連れてきていた愛馬と共に、サラの屋敷からここまで、途中数回休憩を挟みながら、数時間かけて馬で駆けてきた。

なかなか、長時間乗馬することがなかったので、少々お尻が痛い。


今は、放牧地を一望できるテラスに座り、自由に放牧地を駆ける馬達を眺めながら、冷たいお茶を頂いている。

コエーリョ領は、畜産を行っていて、騎馬の育成もしているそうだ。 その関係で、サラも幼い頃から乗馬を嗜んでいた。

アンヘラ嬢のパラモ領は、酪農を行っていて動物繋がりでサラと仲良くなったそうだ。

アンヘラも、牛や羊を追うのに必要だからと、自然と乗馬が出来るようになった。


二人は王都の貴族学園で知り合った。 エマは、学園に通っていないので、少し羨ましく感じた。


セシリアは、領地で所有している森に出る()()退()()に出かける為に、必然的に乗馬をするようになった。 そこは、エマとパウラの事情に似ている。


辺境に領地があると、魔獣が住まう森林も多くなり、時折魔獣が現れる。辺境に領地がある、ほとんどの領主は、騎士団を所有している事が多いので、必然的に()()退()()は領主所属騎士団の勤めになる。


魔獣の数が多かったり、何かしらの問題がある時は、王宮騎士団が応援に行く。 テルセオが遠征に出向く理由だ。


お互いの自己紹介も終わった所で、いつの間にか『恋バナ』に話題が移っていった。 といっても、どの貴族令息とお見合いをしたいか。という話題なのだが。


やはり、ルーカスは憧れの男性らしい。

『陽光の貴公子』は、特定の令嬢と親しくする事はないが、とてもスマートに接してくれるらしい。 彼に憧れる令嬢が、握手……時にはバグを求める事があるそうなのだが、嫌な顔をせず笑顔で対応してくれるのも、人気の一つらしい。

彼が出席する王家主催のイベントでは、ルーカスの前に握手を求める令嬢が、列を成すとか。


実際のところ、彼は()()()なので、普通の家柄では厳しいらしい。侯爵家の令嬢で、歳の釣り合いが取れる令嬢が数人いるので、彼女達の中の誰かだろうと、予想をし始めた。


後は、二人の王子だが、こちらもまだ候補者が出ていない。年頃の隣国の王女達や公爵令嬢も思い付くだけで数人いる。

今シーズンの終わりに行われる、王家主催の夜会で、候補となる令嬢が決まるのではないか? と噂されている。

狩猟大会で行われる()()()。そこで、王族のチェックがあるのではないか……。


「だから今年は優勝しやすいわよ。 令嬢の騎射大会と同じ頃に、王女様のお茶会だものね、毎年」

サラがしたり顔で語る。

「でも、間近で王子達が鑑賞できるのも、捨てがたいわよね」

セシリアが、ため息をつく。

「そうね、あのアメシストの瞳は眺めていたいかも……」

エマがそう呟くと、一斉に視線が集まった。 そして、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。 どこであったのか、何を話したのか……。


ただ、基地の医務室に備品を運ぶついでに出立式を覗いていて、たまたまテルセオに会った時に、側に殿下がいただけ。と言うが、それでも羨ましいらしい。


「そうかぁ、エマは研究所勤めなのね」

「それなら、騎士団にも出入りできるから、レオナルド殿下にもあえるわけね」

ため息に続く静寂。 木陰を吹き抜ける風が心地よい……。エマはなんだか申し訳ない気持ちになった。


「ねぇ、お昼はどうしてるの?」

沈黙を破りサラが尋ねてくる。

「同僚と、近くの食事処に行くことが多いです」

「もしかして、あの()王宮料理人がいる?」

セシリアも乗ってきた。


確か、アリスがそんな事を言っていた……。

「たぶんそうだと思います」

「騎士もいるわよね?」

アンヘラは、身を乗り出す勢いだ。


―――ようは、エマと食事処で食事する体で、殿下やルーカスを鑑賞したい。ということだ。

だが残念な事に、彼らに食事処で会ったことはないし、ルーカスにいたっては、一度も医務室付近で会っていない。

その事を伝えると、判りやすく落胆していた。


「―――ねぇ、そろそろ領地にいる貴族達も、狩猟大会や王家の夜会の為に出てくる時期よね?」

セシリアが、一同を見回す。

「確かに……」

「彼らが食事処にくる事はないかしら?」


彼女達が言うには、学園時代から()()()はたいそう人気で、卒業したら一度は行ってみたい場所なんだとか。

なぜ、学生のうちは行かないのか尋ねると、()()()()()らしい、と笑っていた。


なるほど、それならば食事処に、()()が来る確率は上がるだろう。 そこで、日程を合わせて食事処に皆で行こう。という話になった。


「もちろん、待ち合わせは訓練所の見学テラスね」

アンヘラの提案に、皆が頷いた。

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