表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/32

プロローグ

 

 その天女は春の嵐の中から現れたらしい。


 天女はある青年に神からのお告げをもたらし、青年はこの国の王になった。


 建国の日、楼華国(ろうかこく)では建国神話になぞらえて天女に扮した女性が王の前で舞を踊り、神殿からのお告げを手渡す。

 この天女役が、一年の中で舞姫の最も大きな仕事だと言えるだろう。


 天女の衣装に身を包んだ舞姫は小さく息を吐いた。


 緊張はしていない。建国の式典の舞台に立つのは初めてのはずなのに、なぜか懐かしい感覚さえする。


 横に控えている楽舞局の文官の目配せで板の上に足を進める。


 空は青く晴れ渡って、舞台横の桜は満開に咲き乱れている。

 柔らかい風が舞姫の頬を撫でた。


 ―おかえり。ずっと君を待っていたよ。


 その声が聞こえたか否かはわからない。ただ、彼女はそっと微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ