コント 進路希望調査
先生「お前が今日呼び出された理由分かるか?」
生徒「先生が校長に嫌味を言われて、そのイライラを僕にぶつけるためです」
先生「私のことをそんな嫌な奴だと思っていたのか」
生徒「そんなわけないじゃないですか。もっと嫌な奴だと思ってます」
先生「そしたら私はよくこれまで先生やってこれたな」
生徒「校長の淫行と比べたらまだマシですからね」
先生「校長はそんなことしてないぞ……多分な」
生徒「で、先生は僕を何で呼び出したんですか?」
先生「そうだな。進路希望調査の件についてだ」
生徒「僕の将来の可能性を潰す気ですか!?」
先生「いやでも、流石に無理があるだろ。第1希望に書いてある『町の冒険者ギルドの受付嬢』のどこに可能性があると思ってるんだ?」
生徒「今の時代にそういう職業でのジェンダー差別って良くないと思いますよ」
先生「私はこの際性別うんぬんはもう諦めてる。まず、冒険者ギルドってこの現代日本のどこにあるんだ?」
生徒「先生、分かってないですね。ダンジョンが異世界だけのものなんて古いです。突然、主人公の家の庭とかがダンジョンになるのが最近の流行りですよ」
先生「私は『異世界にしかダンジョンはないから』ってことを言いたいわけじゃなくて、『そもそも我々が住んでるフィクションではない現代日本でダンジョンは無い』ということを言いたいんだよ」
生徒「そんなの誰が決めたんですか!? 諦めなければいつかダンジョンも出てきますよ!」
先生「もういい……では、ダンジョンが出てくるまではどうするんだ?」
生徒「先生、第2希望の欄見て言ってるんですか?」
先生「そうだよ。なんだ『皆が妄想する学校に来るテロリストを代わりに始末してあげる仕事』ってのは」
生徒「汚れ仕事ってやつですね」
先生「そういう説明を聞きたいんじゃない。確かに年頃の男子はそういうことを妄想しがちだがな」
生徒「そうなんですよ。なので、危ないから代わりに始末しようというわけです」
先生「いや、せっかくそいつが妄想したんだ。だからテロリストは退治させてあげろよ。というか、どうやって他人の妄想に入り込むんだよ」
生徒「気合いです。気合いがあれば何でも出来るってテレビの人が言ってました」
先生「気合いがあれば何でも出来るなら、お前の家の庭にダンジョンが出来てないとおかしいだろ」
生徒「でも、前気合いで校長の妄想に入り込むことは出来ましたよ。凄い気持ち悪かったですけど」
先生「なんでわざわざ妄想に入り込む相手に校長を選んだんだよ。というか、他人の妄想に入り込めるのならそれだけで食っていけないか!?」
生徒「でも、もう1つ同じくらい第3希望とで迷ってるんですよね」
先生「ほう、『総理大臣の中の人』と迷ってるってわけか。総理大臣ならギリギリわかる。総理大臣の中の人ってなんだ。着ぐるみかVtuberかとでも思ってるのか?」
生徒「なるほど。先生ってそういう設定重視するタイプなんですね」
先生「別に私は『Vtuberに中の人なんていない』みたいなことを言いたいんじゃない。『総理大臣に中の人なんていない』ってことを言いたいんだ」
生徒「一緒じゃないですか?」
先生「そうかもしれない……だが、100歩譲って総理大臣に中の人がいるとしてどうやってなるつもりだ?」
生徒「そりゃあ、最初は地方議員の中の人から始めて、衆議院議員の中の人、国務大臣の中の人を経てなるに決まってるじゃないですか。公民の授業で習わなかったんですか?」
先生「お前に公民教えてるの私だけどな。もしかして人間って全員中の人がいると思ってるのか?」
生徒「僕だって、中の人がいない職業がほとんどってことくらい知ってますよ。僕が医者に中の人がいるとか思うわけないじゃないですか」
先生「いや、思ってそうだったぞ。どれも非現実的な職業じゃないか。もっと現実的な職業にしたらどうだ?」
生徒「じゃあ、先生の妹の紐で」
先生「帰れ」