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私に意味を見いだしてくれるなら

「私の命を?」

「ああ」

なにもできない、なんの意味ももたない、私の命を自分のものにして、この人はなにがしたいんだろう。けれど、もしかしたら、私の命に何か意味を見出だしてくれているのなら。


「わかりました」

「……は?」

私が頷くと、男性は驚いたように間の抜けた声を出して、金色の瞳をしばたたいた。


 

「いや、本当にいいのか? 俺は貴女の命をもらうといったんだぞ」

なぜいった本人が、混乱しているのか。そして、先ほどはお前扱いだったのに、扱いが丁寧になっている。


 「構いません。私の命でよろしいのなら」

「……わかった。では、貴女の命をもらい受ける」

再度頷くと、男性は私に近づき、自身が羽織っていたローブを脱ぐと、私に被せた。


 「すまないが、俺がいいというまで、これを被っていてくれ」

「わかりました」

ローブは、お日様の香りがした。なんだか、落ち着く。そういえば、助けていただいた、お礼がまだだった。


「助けて頂き、ありがとうございます。私は、セリーヌと申します」

もうマドリック侯爵家からは除籍されているので、家名は名乗らない。家名がないのは、平民か王家くらいだけど。


 「俺の名前は、アンドリューという。気軽にドリューでも、なんでも呼んでくれ。その、これからよろしく頼む。せ、せり、セリーヌ」

「……? はい」


 なぜか私の名前を盛大に噛みながら、名乗った男性は、アンドリューというらしい。心なしか、アンドリューの目尻が赤いような? けれど、それを追求する前に、彼は顔色をもとに戻した。


「貴女は馬に乗れるか?」

「はい」

「ならよかった。近くに馬を止めているので、今から馬にのって移動する」


 その言葉の通り、近くに白馬がとまっていた。


「待たせて悪いな、パトリック。──手綱は、俺が引くから、貴女は前に座ってくれ」


 言われた通り、横乗りになり、アンドリューにしがみつく。


「じゃあ、いくぞ」


最初はゆっくりと。徐々に加速し、景色が目まぐるしく変わっていく。


 それは、まるで、今後の私を表しているようだった。

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