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告白

「私の過去、ですか」

「ああ。もし、話しづらいようなら構わないが──」

アンドリューの言葉に首を振る。

「いえ、ただ特に面白味のない話です。それでも、よろしければ」


 「貴女の過去をつまらないなんて、思うはずがない。聞かせてくれ」

「ありがとうございます。では……」


 そんなに長い話でもないけれど、アンドリューが、ソファーをすすめてくれたので、座って話す。


 私は、隣国サンサカのマドリック侯爵家の長女として生まれたこと。3才のころまでは、両親に蝶よ花よと育てられたこと。

「なぜ、3才なんだ?」

「妹が生まれたのです」


 生まれた妹は、体が弱く、両親は妹にかかりきりになり、次第に両親の興味の対象は、私から妹に移っていったこと。


 両親の気を引きたくて、いたずらしたこと。木に登ってみたり、屋敷から脱走したり、お母様の部屋に虫を放ったり。


 「ふふ、貴女は見かけによらずお転婆なんだな」

「そういって、笑っていただけて、嬉しいです」


 けれど、両親には、叱られるばかりで、ちっとも興味を引けなかったこと。

 そして、次第に私自身の関心も、両親から、10才のときにできた婚約者に移っていったこと。


 「婚約者がいたのか?」

「はい。一年間と言う僅かな間ですが」


 婚約者は、優しく穏やかな人で、私はすぐに大好きになったこと。そして、婚約者も少なからず、私を想ってくれていると思っていたこと。けれど、違ったこと。


 「違う?」

「はい。婚約者は、私の妹と恋に落ちました」

その頃には、妹の体調が良くなり、妹とと婚約者が顔を合わせる機会も多くなったこと。そんななか、次第に二人は惹かれあうようになったこと。


 「そして、婚約は解消され、新たに妹と私の元婚約者の間で結ばれました」


 「そのとき、貴女は時間を──」

「時間?」

私が聞き返すと、アンドリューはなぜか言葉を切って、首を振った。

「いや、何でもない。続けてくれ」


 両親に続いて、婚約者の愛も得られなかった私は、落胆したこと。けれど、15才のとき、希望ができたこと。


 「希望?」

「はい。私は、不思議な力──巫女候補になれる力が使えるようになったのです」

私が、大事に育てていた花があり、しかし、15才のときに何日か寝込んでしまい、世話ができないことがあり、枯れてしまったこと。


 「けれど、その枯れた花の前で、泣きながら祈ると、花が元のように美しく咲き誇ったのです」

そして、巫女候補として、神殿に上がったこと。神殿で、巫女候補として二年間過ごしたものの、結局巫女になれず、力を封じられた上で、国外追放されたこと。


 「……以上が、私の過去です。改めて、あのとき、私の命を救ってくださり、ありがとうございます。そして、防波堤と言う役割を与えてくださったことも。私は、誰の特別にもなれなかったけれど、与えられた役割は、きちんと果たします」


 「待ってくれ、防波堤とは、なんのことだ?」

アンドリューが、困惑した表情で、私を見つめる。


 「ですから、私を貴族令嬢からの防波堤とするために、結婚なさるのでは?」


「……は?」


 アンドリューは、驚いた顔をした。そして、意を決したように、私を見つめると、

「違う、私は──、貴女のことが、す、好きなんだ」

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