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共闘、そして新種の羊

それは、先程のグンジョウライノーよりも大きい。10メートル以上はある大きな大きなヘビ。その太さは大人が両手を広げたくらいある。

人ひとり丸呑みしても余裕がありそうな大きな口に、艶やかで硬い金属のような傷ひとつないエメラルド色の鱗。明らかに強そう。騎士さん達が焦るのもわかる。


「危ないから動いちゃダメだよ?」

「絶対守ってやるからな、泣くんじゃねぇぞ。」

「は、い。」


なんとか返事をしたものの、恐怖で足がすくんで動かない。動物園とかでヘビは見たことがあるけど、大きいだけでこんなに怖いなんて。


大蛇が動いた。端にいた1番若そうな槍の騎士さんに噛みつこうとしたところを、横から飛び出した茶髪の騎士さんが剣で弾いた。少しよろけたところを銀髪の人が双剣で攻撃するけれど、硬い鱗に阻まれて攻撃は届いていない。大剣を持った年配の騎士も攻撃をするが、少し鱗が欠けた程度。


「ラズ!気合いを入れるぞ!!」

「わかってるっ!!」


大蛇と騎士達の攻防は続く。先程噛まれそうになっていた若い騎士さんも参戦しているが、大蛇は太々しいほどに余裕のある動きを見せている。しかし、騎士の方はみんな息があって辛そうだ。所々怪我もしてるのか血が滲んでいる。

そんな中、大剣の騎士さんが常に私の前にいることに気づいた。守ってくれてるみたい?私が後ろにいるから気にして攻めきれないの?それはやばい、なんとかしなきゃ。子どもじゃないんだ、自分で考えろ…魔法で攻撃は弱すぎてたぶん効かない、となると賭けだけどこれしかない。


「羊召喚!お願い…っ」

『『『『『キュイ!』』』』』


水色っぽいキラキラの中から5匹の羊が現れた!と思ったらそのうちの4匹が騎士さんの元へまっしぐら。これしかスキルがないとはいえ不安が拭えない。自分で呼んでおいてなんだけど。今回はどんな効果なのだろう?


「うおっ!!」

「なんだ、これ!?」


あああ戦闘の邪魔になっちゃった!?なんで騎士さんにしがみ付いたりその前に出ちゃったの!大蛇にパクってされちゃうよ!ほら口あけて向かってきてるじゃん!!


「やば…っ!!?」

「逃げてええええっ!!」


キィーン!!バキッ!

食べられてしまうと思った瞬間、甲高い金属音と何かが割れる音が響いた。

薄水色の光の膜に覆われた騎士さんと羊たち。そして口を開けたままフリーズしている大蛇。今にも噛み付かれそうだった騎士さんもその口を見ながらフリーズしている。その足元には、大蛇の長い牙が一本転がっていた。


「なに…シールド?」


羊召喚シールドシープ?はは…本当に何でもありなんだ。この緊急事態にもぴったり必要なことしてくれたよ。

大蛇はその後も何度か牙を突き立てようと四苦八苦していたが、全てカチンカチンとシールドに阻まれていた。やがて牙が折れたのが痛かったのか悔しかったのか、恨めしそうな眼でこちらを見つめている。

膠着状態だ、どうしよう。なにかないかなにか…あ、お腹減ってるならさっきのをあげれば満足するかな。


「黒曜、あれ、蛇にあげていい?」

「ああ、それが手っ取り早いな。どれ。」


まるで重さなんて感じてないみたいに、ぽいっとグンジョウライノーを大蛇の方へ投げる黒曜。

大蛇はそれを見て眼をぱちぱちした後、パッとグンジョウライノーを咥えてゆっくりと森の奥に消えていった。


「はぁ〜…」

「さすがは主人、意図したわけではないだろうが召喚も絶妙なタイミングだ。」


あんなの意図したってできるかい!冷や汗かいたし、心臓もバクバクしてる。

すると、役目を終えたと思ったのか羊たちが私のところに集まってきた。せっかくなので一匹ずつ感謝を込めて撫でる。


「今回は紙がないから何もあげられないけど、来てくれてありがとうね」

『『『『『キュイイ!!』』』』』


揃って鳴き声を上げるとまたキラキラ輝いて消える羊たち。とりあえず危機は去った。大蛇は倒せなかったけど全員無事だ。よかった。

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