27
これまで秘密にしていた事をユーリに打ち明けたレイラは、少し晴れ晴れとしていた。
ずっと、心の中でモヤモヤしていたものや不安に思っていた事がなくなり、物語に縛られず自分の自由に生きてみようと思った。
顔が熱かったのがなくなり、手で顔を覆っていたレイラがやっと手を退けて顔を見せた時だった。ユーリとレイラが居る部屋の扉がノックされ、誰かが来た事を告げる。
ユーリが、使用人を下がらせていた為。ユーリ自身が、扉の方へと向かう。
その後ろ姿を、レイラはぼんやりと見つめていた。
扉の所で、使用人と何かを話していたユーリが、レイラの方へと戻ってきた。その後からは、ユーリの従者が一緒に部屋に入ってきた。
レイラに一礼すると、扉の横に立って待っている。レイラも従者に頭を下げて挨拶を返した後、頭を上げるとユーリの顔が目の前にありびっくりした。
「わわっ!? ユ、ユーリ様!?」
「ごめんね、近かったね。レイラ、まだ時間は大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。……どうかされたんですか?」
時間はあったレイラだったが、何かあったのかとユーリに聞く。
ユーリは、苦笑いで衝撃な言葉を放つ。
「……母上がお呼びだ。」
「王妃様が!?」
ユーリの母でもあり、この国の王妃でもある人がレイラとユーリの事を呼んでいるらしい。
その事を聞いたレイラは、驚愕した表情をし座っていた椅子から勢いよく立ち上がる。
勢いよく立ち上がったからか、レイラは少しふらついてしまった。そんなレイラを、ユーリは支える。
「大丈夫かい? 」
「ユーリ様!! 王妃様をお待たせしているのでしたら、早く行かなくては!!」
「ん? 別に、母上を待たしてても大丈夫だと思うよ? 母上も父上と居てるだろうし。許してくれるんじゃないかな? 向こうも遅れるだと思ってるだろうし……。」
「えっ!? 陛下もいらっしゃるのですか!?」
「えっ? 多分居るんじゃないかな?」
この国の王妃と王を、待たしてしまっている事に焦っているレイラとは反対に、ユーリはそう言いながら優雅に紅茶を飲んでいる。
(いやいや、ダメでしょ! 王妃様も陛下も忙しいと思うのに、待たしてしまっているなんて!)
「ユーリ様……行きましょ?」
レイラは座っているユーリの側に立つと、カップを持っていないユーリの左腕を両手で掴み。少し首を傾げながら、王妃と陛下の元に行くように言う。
そんなレイラを見たユーリは、無言で持っていたカップを置くと、レイラの手に優しく右手を添える。
ユーリが立ち上がってくれると思ったレイラは、掴んでいた手を離そうとした。だが、離そうとした瞬間何故かユーリの方に引っ張られた。
「ユ、ユーリ様!?」
「……。」
「ユーリ様? どうされたんですか??」
いきなり、ユーリとの距離が近くなった事に慌てていたレイラだったが、ユーリが何も言葉を喋らないことに疑問を持ち、レイラはユーリの方を見上げる。
ユーリの顔は赤くなっており、レイラが見ている事に気づいたユーリは、レイラの肩に顔を埋めてしまった。
(えっ!? ユーリ様が照れている……? )
普段ではありえないユーリの表情に、レイラは戸惑いが隠せなかった。だが、そんなユーリも可愛いと思ってしまった。
「……見てはダメだ。こんなカッコ悪い所を、レイラに見られたくは無かったよ」
「フフッ」
「何を笑ってるんだい?」
拗ねたような、後悔した様な声色のユーリの言葉を聞き、レイラはつい笑ってしまった。
自分がいつも意地悪されている為なのか、いつもと違うユーリがレイラは可愛くてしょうがなかった。
レイラは、口に手を当てながら目を細め。優しそうな表情で微笑む。
「ユーリ様可愛いですわ」
「……男に可愛いはやめておくれ。」
「でも、いつもと違うユーリ様は可愛いですわ」
(普段は、しっかりとしているユーリ様が照れている所なんてレアだわ! いつもと違う所も可愛く思えて来てしまうわ。)
ユーリは、楽しそうにクスクスと笑っているレイラの手を掴むと、自分の方へと引き寄せ。レイラのおでこに口付けを落とす。
チュッ
ユーリが離れた時、伏せられていたユーリの瞳が開かれ目と目が合う。
真剣な真っ直ぐと見つめた後、ユーリは意地悪そうに笑った。
「……っ!!」
今さっきまで笑っていたレイラの顔は、先ほどとは違い。顔を真っ赤にしながら、目を見開いて固まってしまった。
ユーリはというと、いつもの顔に戻っていた。
「レイラ、僕をあまりからかうんじゃないよ?」
「ユ、ユーリ様!?」
「次やったら、ここじゃなくて……ここにするよ? だから、僕をあまりからかうんじゃない」
ユーリはそう言いながら、レイラの唇に指を当てた。
その意味が分かってしまったレイラは、ボンッという音が聞こえそうなほど真っ赤になりながら固まってしまった。
そんなレイラを、ユーリは自分の膝に抱き上げて自分の両親である王妃と王に、遅れると言うようにと側にいた従者へと伝える。
その事を聞いた従者は、またかと呆れながらも部屋を後にしたのだった。




