表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

23


「ユーリ……様?」


耳元で、ユーリの声が聞こえ。後ろから、抱きしめてくれている。


「レイラ、ごめんね。怖かっただろう? ……さて、どういう事か説明してもらおうか? 大勢で、レイラを取り囲んで何をしていたのかな?」


「ちがっ……違うのです! 殿下!!」


「私達は只、お話をしていただけで……」


「僕は、言い訳をしろとは言っていないよ?」


ユーリの声がどんどんと、低くなっていく。後ろを振り向かなくても、ユーリが怒っているとレイラは分かった。


「殿下、申し訳ございません!」


「お許しを!!」


令嬢達は、必死に頭をユーリに下げる。


「……ねぇ、何で僕に謝っているんだい? 君たちが謝らないといけないのは、レイラにじゃないのかい? 話にならないな。さぁ、レイラ行こうか」


ユーリはそう言うと、レイラの背中に手を当てて歩きだした。令嬢達が話そうとしても、聞く耳を持たなかった。

一人の令嬢以外は、ユーリの行動を見て。真っ青な顔をしながら震えている。令嬢達はやっと、気づいた。ユーリが婚約者であるレイラを溺愛している噂は、本当なんだと……。

だが、気づいた時には遅かった。

ユーリの婚約者を……それも、公爵令嬢を取り囲んでいたのだ。

王族や公爵家から、自分達の家に今日の事について抗議があるかもしれない。

そう思うと、震えるしかなかったのだ。

只。レイラを責めていた令嬢は、レイラとユーリが立ち去るのを睨み付けながら見ていた。

その事を、ユーリは気づいていた。


「……クロウ。あの令嬢を見張っとく様に言っといて」


「御意」


この国の騎士団とは別に、ユーリ自身が集めた諜報員が居る。ユーリの命令であれば、暗殺や他国の情報などを盗んでくる者達が……。


「さぁ、レイラ。向こうにお菓子を用意しているんだ。行こうか」


「はい。ユーリ様」


ユーリに連れてこられたのは、生徒達が憩いの場として使っている所だった。ちらほらと、令嬢や令息が居る。

だが、皆がユーリとレイラに夢中だ。

それだけ、二人は憧れの的でもあり。有名なのだ。


レイラが座りやすいように、ユーリが椅子を引く。その動作だけでも、周りにいた人達の視線が集まる。


「ユーリ様ありがとうございます」


「フフッ。どういたしまして。レイラが好きなお菓子を用意したよ?」


テーブルの上にのっていたお菓子は、レイラが好きな焼き菓子やフルーツがたっぷりとのっているケーキだった。


「まぁ! 美味しそう!!」


(どれを食べようか悩んでしまうわ!)


キラキラとした瞳でお菓子を見ているレイラを、ユーリは優しい笑みを浮かべながら見ていた。


「ん~! 美味しいですわ!」


「喜んでもらって良かった。全部食べていいからね?」


ユーリは、紅茶が入っているカップを持ちながら微笑んだ。


(用意されていたフォークは一つしかなかった。ユーリ様って、甘い物苦手なのかしら? でも、このケーキあまり甘くなくて食べやすいし……)



「……ユーリ様。」


「ん? 何だい?」


レイラはユーリを呼ぶと、ケーキを刺していたフォークをユーリに突き出す。


「あーんですわ?」


コテッと、首を傾げながらレイラはそう言う。

ユーリはレイラを見て。少し顔が赤くなりながらも、レイラが差し出したケーキを食べる。


「……。」


「美味しいですか?」


「あ、あぁ……ありがとう」


「はい!」


(こんなに美味しいんだから、ユーリ様が食べないなんて勿体ないわ!)


「レイラ、フォーク貸してくれるかい?」


「はい。」


(……? ユーリ様も食べたくなったのかしら?)


ユーリはレイラからフォークを貰うと、ケーキを一口大に切るとケーキを刺してレイラに向けた。


「はい、レイラ。」


「えっ!? あ、ありがとうございます」


レイラはそう言うと、ユーリからフォークを受け取ろうとするがユーリは渡してくれない。


「はい、あーん」


「……。」


ユーリにそう言われ、渋々差し出されたケーキを食べる。


(恥ずかしい……やる側だったら気にならなかったけれど、差し出された物を食べるの恥ずかしいわ。)


レイラが顔を赤くしながら食べているのを見て、ユーリは満足そうにまたケーキを刺して差し出した。


「えっ!? ユ、ユーリ様、自分で食べれますわ!?」


「……僕がしたいんだけど、ダメ?」


ユーリは、悲しそうな顔をしながらレイラを見る。


「うっ……分かりましたわ」


「本当? ありがとう、レイラ。じゃぁ、はい。あーん」


レイラは、反対することを諦め。差し出されたケーキを食べる。

少しすると、ユーリが差し出したケーキを食べるのに慣れて来ていた。


「あー!! 殿下狡いです!!」


後ろから大きな声が聞こえ。振り向くと、ガーネットが此方に向かってきていた。

ガーネットは、戻ってこないレイラを心配して探しに来たのだ。


「チッ……ここまでか」


「ユ、ユーリ様?」


「ん? なんだい?」


(気のせいかしら? 先程、ユーリ様から舌打ちが聞こえた様な……)


あの後、ガーネットのお願いで何故かレイラがガーネットにケーキを食べさせる事になってしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ