もふもふマスターは〆切に追われます
葛西圭太22歳獣好き。
今日初めて拉致されました。
連れてこられたのは白い壁の部屋でソファーとテーブルとベッドが有るだけだった。
「あのー、頭を上げて貰えませんか。」
目の前にはソファーの上で土下座する二人組が居るのだ。
「じゃあ“はい”と言ってよ。」
この娘は前にふれあい動物園で声を掛けられて、一度関係を持った事がある。橋口洋子だ。
「なぜ、拉致したのですか。」
「圭太が逃げるからじゃないの。」
「街中でいきなり知らない人が追いかけて来たら普通逃げるよね。」
「ごめんなさぁいぃ。」
僕を追いかけたのは洋子の後輩らしき女だった。
そして待ち伏せていた車に押し込まれてここに連れてこられたのだ。
「あの夜一度きりと言ったよね。」
「なぜ。あんなに凄いテクニックを持っているのに。私は大満足だったよ。」
洋子はニコニコしている。
「僕が満足するまで洋子は我慢出来なかったよね。これでも怒っているんだよ。」
「それは、私も初めてで…早くいかなくちゃって必死だったの。出来る限り頑張ったのよ。」
「今日は私が先輩に無理言ってぇ…悪いのは全部私なんですぅ。」
彼女は柳田美緒と名乗った。
「私の初めてをいいものにしたくてぇ貴方のテクニックが欲しいのぉ。」
「私からもこの通り。圭太が満足出来るように一緒に手伝うから。」
相変わらずの土下座の2人に僕はついに根負けした。
「分かりました今回は美緒さんの顔を立てて僕の技を見せしましょう。」
僕は手早く服を脱ぐとベッドに横たわる。
「ではぁ、早速ですがぁ。指を中に入れてくれますかぁ。」
「大分キツイですね指が奥まで入りませんよ。」
「しばらく擦るようにして広げたらどう。」
洋子もアドバイスしてくれる。
「よし、指が奥まで入った。それじゃ美緒さんの手で入れてくれる。」
「私がぁ!」
「そうですよ、美緒の記念すべき初めてなのだから。」
「分かったわぁ。じゃあ入れるねぇ。」
『ブウォン』
スイッチを入れると起動音が鳴る。
全身スーツの触覚VRゲームの世界が広がる。
近くにいた兎を抱えもモフモフする。
「もうちょっと芯を硬くして周りは柔らかくするか。」
圭太はVRの獣のモフモフ具合を絶妙な感覚と技で調整していく。
全30種の〆切が明日の朝なのである。
「〆切なんて無ければいいのに。」
美緒の処女作の成否をかけた長い夜が始まった。