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二番目の告白

作者: 六花 水生

なあ、お前、センパイのこと好きだよな。

気がつくと、ずっと目で追ってるもんな。

オレが、お前をずっと目で追ってるからわかるんだ。


確かに、センパイはカッコいいよ。男のオレが見たって、優しいし、話は上手いし、なんていうの、場を支配するようなカンジ?

お前が惹かれるのもわかるよ。


だけどな、お前、考えてみろよ。

仮にだぞ、センパイと付き合うことになったとする。そうしたら、あんなハイスペックなカレ、いっつも誰かに盗られないか心配してなきゃいけないんだぞ?


それに長い時間、一緒にいるようになって、お前、話続く?たまにセンパイと話してるお前、オレと話すときと声のトーン、全然違うし、「そうなんですか?」「すごいですね!」とかしか言ってないぞ?

行きたい場所とか食べたいものとかセンパイに言えるのか?


更に更にもっと仮にだぞ、一緒に住んだりしたら、トイレも狭い家の中、オナラだって聞こえちゃうかもしれないんだぞ?



なあ、お前、オレのことは二番目くらいに好きだろ?


そんで、オレは自慢じゃないがそんなに立派なスペックじゃないけど、浮気の心配はないぞ。まじめに働くし。


それに、お前、オレには馬鹿バナシや愚痴もいってるだろ。この前はオレに「ねぇ、あそこのスイーツ、近いんだから買ってきてよ!」とか言ってたし。


二番目のオレならきっと、羞恥心も少なくてすむんじゃないか?オナラだってへのカッパだぜ。


だから、なあ、オレにしとけよ。

オレなら、ずっとお前とバカなハナシしながら肩を並べて、同じ方向を向いて歩いていけると思わないか?将来、たとえお前が三段バラになっても、イヒヒって笑いながら摘んでやる。そしたらお前もオレの太鼓バラをつついて、一緒にウオーキングでもしよう。


お前がセンパイを見てる乙女なところも好きだけど、大口開いてラーメンすすってるお前も好きだ。


二番目でもいい、オレはお前を一番大事に思ってる。


*********************************************


「ただいま〜」

「お帰り。ねえ、貴方、むかし、二番目で良いっていってたよね。」

「なんだよ、いまさら?!」

「あのね、本当は気づいてたの。センパイは憧れだって。リアルな男の人で一番は貴方だって。」

「えっっ、それは…」

「でもね、もしかしたら、同率一位ができたかも」

「うっっ、えーっと?」

「来年の秋には、家族が増えるってこと!」



告白された喜びと子供ができた喜びがジェットコースターのようにやってきた。


しばらくは子供の世話が一番で、オレは二番目扱いされるのが世の習いだとその道でもセンパイなセンパイに聞いた。


それでも、オレは二番目(ココロの中では断固、同率一位を主張するが)でもいい。

お前もオレも同じ方向を向いて、一緒に進む一番の同志なのだから。


*******************************************


なあ、落ち着いたら散歩でもしないか?

問題なければ少しは動いた方がいいんだろ?

そして産まれたあとも、いつの日か、増えているかもしれない沢山の同率一位を思いながら、いつまでもお互いに一番でいるために(ゆくゆくはメタボ対策のためも重要)一緒にウオーキングしよう。

それがベビーカーを押してでも、みんなで手を繋いででも、杖をついてでも、車椅子を押してでも、ベッドで写真を見ながら思い出すだけでも。


オレはきっと一番幸せだったと思いながら墓に入れる。

お前も二番目になりたくなかったら、同率一位で幸せになろうな。



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