表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/48

無情

 中央付近のスローインで、それを投げに現れたのはアッシュ。

 彼女は助走をつけると――

「おおおおおおおおっ!」

 雄たけびのような声を上げて、こちらの陣深くまでボールを投げ込んだ。

 そのロングスローは、凄い勢いで相手の前線へ向かう。

 長身のMFがそれを受ける。

 オフサイドはない。

 このパワープレイ、咄嗟にヤミやレットが寄せて行くが弾き飛ばされ、MFのヘッドによりボールはゴール正面に転がる。

 そこに駆けこんできたのはプラティナ。

「もらいましたわ」

 振りぬかれる一撃。

「くのっ!」

 ムギはコースを読み切り、飛びついた――

 が。

 無情にもボールに指がかかることはなく、それはゴール右上隅に突き刺さるのだった。

 前半30分。

 あまりにも痛い失点だった。

「くそっ……!」

「おほほほ!」

 漫画のように露骨に喜ぶプラティナ。

 彼女に自由にさせない事で負荷をかけ、カードでももらえれば突破力が落ちるという皮算用は、大失敗に終わった。

 これで更に調子を上げて襲いかかって来るだろう。

 状況は、悪い方に一変してしまったのだ。

 それを見計らったかのように雨が本降りを始める。

 キングスフィールドは天然芝だから田んぼとまではならないだろうが、ボールは滑りやすくなる。

 組織でパスワークを主体とするうちにとって、ボールコントロールが難しくなる分不利に働く。

 結局、前半はそれ以上の失点こそ防げたものの、終始攻められ続ける事となった。

 正直、追加の失点しなかったのは奇跡に近い。

 シルヴァを中心としたディフェンスラインの集中と、ムギのコーチング、それからキャッチングの賜物だろう。

 それから、窮余の策として用意していた0トップのフォーメーションに相手が面くらったのもある。

 1トップのミカンを一列下げ、トップを0にする4―6―0へと布陣を変えたのだ。

 プラティナなどは、

「FWがいないなんて諦めましたの? 半端に挑んでおきながら見苦しい」

 と辛辣だったが、効果はあった。

 スペインはリーガ・エスパニョーラの名将・シメオネ監督ほど綺麗に0トップを扱えたわけではないが、開き直っての守備で失点しなかっただけマシだ。

 代わりに防戦一方となった事で、激しく体力を消耗してしまった。

 ハーフタイムに引き上げていく両チームの顔色は、全くの正反対だった。

 ……だが、まだ手はある。

 もういちいち諦めたりはしない。

 ――勝つだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ