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8・

 まさかの2連勝。

 リーグはまだ3試合しか消化してはいないが、勝ち点6で上位につけている。

 首位はもちろん魔族のグレーターデーモンズで勝ち点9。

 来週の対戦相手だが、ここで土をつけなければ独走される可能性が高い。

 過去には全勝優勝の経験もあるというバケモノぶりだ。

 それでも、俺はどこか楽観的に考えていた。

 正直、チームメイトたちのテクニックは想像以上だし、練習でも脅威の伸びを見せている。

 相変わらず練習場は雨が降れば泥だらけになるが、そんな事も気にならない。

 ブルーのあの集中力は、チームメイトも見た事がないどころか本人も初めてだったらしいから、戦力としてはまだ計算が難しいが、間違いなく武器になる。

 相手チームたちの戦術は時代遅れの代物で、こちらは対応する戦術を間違えなければいい。

 地球では味わえなかった充実感を感じる。

 初めて自分の居場所が出来たような感覚すら覚えていた。

 自分が、チームを勝たせる事が出来る……これ以上の充実感はない。

 そう、2連勝に浮かれるメンバーたちと同様、俺も完全に油断していた。

 だが、その戦勝気分も、一瞬にして吹き飛ぶ事になる――




 試合から2日。

 本格的な練習再開に、チームメイトたちが集まっていた。

 浮かれつつも、その表情には若干の緊張があった。

「……練習の前に、話がある」

 ピッチ脇の草むらの上に車座となったメンバーたちを前に、言う。

「もう予想はついてるだろうが、次のスタメンの話だ」

 ごくっ、と生唾を飲み込む音が聞こえた。

 翡翠の復帰で、俺を含めチームは12人となった。

 となれば、誰かがスタメンを外れなければならない。

 聞けばこのチームは、長く11人でやって来たと言う。

 連戦連敗、評判も最悪、新規に入ってくるメンバーもいないこのチームで、苦楽を共にした11人。

 ここで一人だけ抜けるというのは辛いに違いない。

 それでも、俺を外すという選択肢はない。

 残念ながら……と言うと語弊があるが、フィジカルはどうやっても男の俺が上だし、司令塔として中から戦術を組み立てる必要がある。

「ポジションは基本的に変わらない。一列目と二列目だけ手を入れる。入るのは翡翠……そして」

 ……監督って本当に大変な仕事だ。

 やっぱり、あの監督を許す気にはなれないけれど。

 それでも、時には非情な決断を下さなくてはならない職業だという事は、つくづく思い知った。

「外れるのは、ブルーだ」 

「!」

 俺の言葉に、全員が息を飲む。

「そ、そりゃおかしいぜ。こないだもブルーはとんでもないプレーしてたじゃねえか」

 声を上擦らせてミカンが言う。

「確かにそうだ。だが、あれは長く続くものじゃない。だからこそ、温存して途中交代する方が適している」

 理屈では、そうだ。

 自分で言っててわかってる。

 それが一番なのだ。

 だけど、だからって人間、すぐ納得できるものでは――

「うん、わかったよ」

 ブルーはけろりと言った。

 まるで、昼ごはんのメニューを決めるかのような、簡単な同意。

「え?」

 そのあまりにあっけらかんとした様子に、俺も思わず聞き返してしまった。

「カントクがそうだって言うんなら、そうだと思う。それでいいんだよ。きっと」

「ブルー……」

 天真爛漫で、子供みたいだとすら思っていたブルー。

 だが、彼女の方が俺なんかよりよっぽど大人なのかもしれない。

 そうして、数日前から俺の異をきりきりと痛めていたスタメン発表はつつがなく終わった。

 問題は、そこでは無かった。

 いや、そこにもあったのだが――

「へぇ、こんなみすぼらしい所で練習しているのですか?」

 突然、少女と思しき声が背後からした。

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