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国家サッカー協会

 ・6

 試合を明日に控え、前日入りをする事になった。

 魔王領は、どうやら日本より広いらしい。

 話を聞く限り、オーストラリアくらいの広さがあるんじゃないか……?

 そんな広大な国で、ホームアンドアウェーをどうやって成立させているのか疑問だったのだが、それもまた魔法らしい。

 瞬間移動の魔法陣に乗って魔法を発動すればあっという間に移動出来てしまうという。

 便利すぎだろ魔法。

 実は仕組みについてはわからない部分も多いらしく、イメージを元に現実を改変する術であるとは言われている。

 なぜ魔族にしか使えないかすらわかっていないというから謎は多い。

 さて、瞬間移動は非常に大掛かりな魔法らしく、遠方以外は馬車で移動らしいが、国家行事くらいでしか使われないそうだ。

 リーグの運営元が国だから出来る事だな。

 てなわけで、チームメンバー勢ぞろいで、国家サッカー協会にやって来た。

 魔法病院ほど巨大ではなかったが、一階建ての建物としては非常に大きい。

 図書館とかそういった建物とイメージが近い。

 大理石を中心に組み上げられた屋内は、清潔さと静謐さを感じる。

 室内は涼しく、風通しの良さがわかった。

 係員に促されるまま、大広間の魔法陣に通される。

 床面に直接描かれた、円と四角、それからルーン文字のような図柄が組み合わさった巨大な陣は、青く淡い光を放っていた。

 その周りに九人の魔族の男が囲んでいる。

 全員2mをゆうに超える長身で、筋骨隆々。

 巨大な角と翼で、まさに大悪魔といった様子だが、当然ながら敵意はなく――それでも正直俺は怖い――、仕事という事もあって無表情に待機している。

 チームメンバーは慣れたもので、さっと並んでいく。

 今回、出場の予定はないが翡翠もベンチメンバーだ。流石にバックアッパーが0はまずい。

 暑いと聞いているし、途中交代が必要になるかもしれない。

 正直、グレーターデーモンズ戦を控えて翡翠は隠しておきたいので、なんとか11人で頑張りたいところだ。

 俺も含めて全員が魔法陣に入ると、魔族の男たちが呪文の詠唱を始めた。

 それは、どうやら翻訳魔法の効果を受けないらしく、聞き慣れない全く未知の言語だった。

 次第に魔法陣を彩る青の輝きが強くなる。

 そして全てが光に包まれ――

 意識が一瞬遠くなり、水中にでもいるかのような浮遊感を覚える。

 やがて光が収まると、むせかえるような暑さを感じた。

 よく周りを見渡してみると、大理石ではなく日干しレンガになっている。

 本当に一瞬で着いてしまったらしい。

 この蒸し暑さこそ、ここがクイーン04のホームタウンたるサンドバレーである事を主張する。

 サンドバレーはデモンズコートから遥か南方の乾燥地帯にあり、馬車で行こうと思えば1月はかかるというから、魔法の凄さがわかる。

 ブルーなどは旅が好きらしく、少し残念がっていたが、流石にそんな長旅は出来ない。

 ともあれサンドバレーのサッカー協会の係員に案内されるまま、併設されたクラブハウスへ向かう。

 アウェーチーム用のクラブハウスは国が管理しているそうだ。

 だから、凄く豪華。

 カーネイションのクラブハウスは一体何だって言うくらいの豪華さだった。

 全員に個室が用意され、シーツもアイロンがかけられて清潔で綺麗。

 部屋の一つ一つにシャワー室まである。

 もうここに住みたい……。

 ベッドのフカフカさの誘惑に負けそうになりつつ、グラウンドに出る。

 外は更に暑い。

 太陽が落ちてきてるんじゃないかというくらい日差しが強く、乾いた赤土の地面に陽炎が出ている。

 周りを見渡してみると土で造られた建物が多く見えた。

 また、サンドバレーの名の通り、アメリカの巨岩が並ぶモニュメントバレーのような渓谷にあるらしく、地平線の向こうに巨岩がいくつも見える。

 町のそばにもいくつも奇岩が突き立っており、その岩肌に無数の穴が見えた。

 トルコの奇岩地帯であるカッパドキアみたいで、地球上ではないような……いや地球上ではないんだけど、まさに異世界というような風情がある。

 ブルーが行きたがってた気持ちもわかるな。

 暑いのは暑いけど、観光地としては異国情緒に溢れている。

 とまあ、それはいいとして、部屋に荷物を置いたら集合と言っておいたにも関わらず、メンバーの集まりが非常に悪い。

 居るのは、シルヴァとヤミに翡翠、それとブルーだけだった。

 他はフカフカベッドの魅力に負けたらしい。

そういう意味ではブルーが来ているのが意外だったが、

「早くサッカーしよ!」

 と、元気爆発であり、彼女のサッカー愛の深さを俺はなめていたようだ。

 彼女に負けないよう、布団の魔力に完全敗北したメンバーたちを集めて回る。

 部屋をノックすると、モモやレットらはてへぺろみたいな顔で出てきたが、なかなか出てこない者もいる。

 年長者なのに本気で寝てたムギにはしっぺをお見舞いして起こした。

 アクアに至っては、

「あと三時間待ってほしいっす」

 とか言ったので、ブルーを送り込んでダイビング許可を与えた。

 流石にダイブ攻勢には耐え切れず、這い出してきたところを御用。

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