極端
魔法病院……正確には、国立魔法病院・整形外科。
歴史ある大学の校舎を思わせるレンガ造りで、この世界では珍しい5階建ての巨大な建物。
大鐘楼が併設されているが、その鐘は時を告げる事は無く、緊急時に使用されると言う。
そんな巨大病院に、少なくとも俺がいるのは場違いに感じる。
行き交う人々も、でっぷり肥った富豪らしき人や、上品な紳士、金ぴかのドレスを着たご婦人など、お金持ちか貴族ばかり。
現代の地球と違って、病院ですらそんな格好をするんだな。
さて、とりあえず受付に向かうが、受付が2つあるのに気付いた。
なんでも一般と貴族で受付が違うらしい。
当然俺は貴族側に入れないので翡翠にお金を渡し、待合室で待つ事にした。
しばらくして、翡翠が帰って来た。
既に、すたすたと歩いて来ている事からも、治療が成功したのは間違いない。
魔法ってほんと便利だな。
「お待たせしました」
戻って来た翡翠の表情は明るい。
「もういいのか?」
「ええ。完全に治ったわけではありませんから、数日は安静にしろと」
「そうか。週末の試合は無理そうだが、次のには出れそうだな」
「ええ」
すんなり応える翡翠。
「あれ? 次も出るって言い出すかと思ったんだが」
「いいんです。……もう貴方を信用する事にしたんです。貴方が出るなというなら、私は出ません。でも出ろと言われれば這ってでも出ます」
目を閉じ、朗らかな笑顔で言う。
「きょ、極端だな……」
「それに……」
今度は顔つきがやや険しくなった。
「……それに?」
「その次はグレーターデーモンズです。そちらへの準備が必要ですから」
グレーターデーモンズ。
リーグ最強のチームで魔族代表。
俺はその強さを実際に見た事はないから伝聞でしか知らない。
でも、話を聞く限り、とんでもないチームだという事がわかる。
さぁて……どう戦ったものかな。
でも、翡翠が復帰した事は、大きい。
まだその実力はモノアイズ戦で少し見ただけだが、それでも非凡な才能の片鱗が見てとれたからだ。
とはいえ、今は次のクイーン04に集中しないとな。




