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スミレ食堂

・5 

 地球には超回復という考え方がある。

 筋肉は負荷をかけると、回復に約2日かかり、そのため筋力トレーニングしたあと2日休ませる。

 そうした後で筋力トレーニングすると、より強靭な筋肉になる、というものだ。

 とはいえ、それを否定する話も聞くから、丸々信じてるわけじゃない。

 ただ、はっきりしているのは適度な休息を挟むのが筋肉にとって絶対に必要という事。

 なので、メニューは3日を1セットとして、1日目は個人練習でそれぞれに必要な筋肉を鍛えるのを中心にして、2日目は全体練習中心、3日目は休息日という事にしてみた。

 チームメンバーの中には練習を休むという事に不満がる者もいたが、先日のマッサージでその筋肉を触った際、みんなのオーバーワークぶりははっきりわかっている。

 休養日には絶対に休むよう厳命した。

 プロの休みは週1日と聞くし、午前練習だけ午後練習だけの日もあったりするはずだけど、とりあえずはこれで行く。

 様子を見ながらメニューは変えていこうとは思う。

 この世界も1週は7日らしく、日曜に試合があるらしい。

 そこで今週から来週にかけての練習スケジュールはちょっと変則的だが、

 モノアイズと試合(済)→休息(済)→練習(済)→練習(本日)→休息→練習→練習→クイーン04と試合→練習→休息

 という感じになる。

 本日は全体練習なので、それを午前・午後と行ってからスミレ食堂に向かった。

 ちなみに昨日は、常連のおじいさんが次々近所の人を連れて来て、夜中まで料理を作り続ける羽目になった。

 まぁ、いい宣伝になったと思う。

 今日からは人が人を呼んでいくはずだ。

 ヴァイオラの母が回復していたので、レシピと調理法を伝授。

 もともとが食堂をずっとやってきている人なので飲み込みが凄く早い。

 俺だってプロの料理人ではないし、このくらいのレベルにならすぐ追いつけるだろう。

 あの鍋をはじめとする色々なレシピを伝えたから、早々に飽きられる事はないと思う。

 そういう意味では、スミレ食堂の未来には心配はない。

 実際にいくつかメニューを提供してみたが、店には長蛇の列ができていた。

 とても一家だけでは回せないので、人を雇うというような話になっている。

 閉店後、ヴァイオラとは例の大儲けについての話になった。

 彼女が言っていた大儲けとは、要約するとフランチャイズだった。

 スミレ食堂の盛況ぶりに、その秘密を知りたいという人や同業者は多い。

 そこで技術指導や食材の指定をして、スミレ食堂のフランチャイズとして店を開く事を勧めるのだ。

 この世界では、のれん分けや直営店はあってもフランチャイズという考え方はないようだ。

 ヴァイオラの考えは先進的で、彼女自身、

「……ちょっと夢見すぎかな? ホンマに上手くいくかはわからへんねんけどな」

 と言うくらいだったが、もちろん俺はそのやり方が正しい事を知っている。

 その日は契約面について彼女の母も交えて相談するに留まった。

 そして翌日。

 休養日となったこの日、いよいよフランチャイズについて動き出した。

 広場の有料掲示板にフランチャイズについてまとめた羊皮紙を張り出したのだ。

 こういうお金がかかる事ができるのも、昨日一昨日の売上が好調だった事を示している。

 とは言っても数人で回す食堂一つの売上なので、『アレ』のための目標額には届かない。

 ヴァイオラに出した条件とはまさにそれであり、特定の金額を達成するまで売上の一部をもらう約束だ。

 その額を達成するためにフランチャイズの最初の契約金はやや強気の金額になっている。

 既にスミレ食堂の噂は広まりつつあり、内容の目新しさもあって掲示板には人だかりができていた。

 新しすぎるのと、高めの契約金もあって申し込みとまでなるとまだ先にはなるだろう。

 そう思っていたのだが、フランチャイズの申し込みは既に数件届いている。

 目標としていた金額は、あっという間に達成されたのだ。

 ヴァイオラは想像以上の事態にどうしていいのかわからないのか、今日は一日爆笑していた。

「……ともあれ、これで行けるな」

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