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シャワー

 ん?

 今なんかおかしな事言わなかったか?

「もしかして魔法なら治るのか?」

「ええ。それはまぁ……」

「は?」

 ちょっと待て。

 そうなると話は全然変わってくるぞ。

「じゃあ、その魔法で治せばいいじゃないか」

 その言葉に、シルヴァは「宝くじ当たったら車買う」って言ってる人を見るような目になる。

「あ、あの……ご存知ないかもしれませんが……魔法での治療は非常に高額なのです」

「え?」

 言われてみれば。

 日本の健康保険が凄すぎるのだ。

 海外でも、医療行為は高額。

 この世界でもそうなのだろう。

「……それってどのくらい?」

「うちの年間予算とほぼ同額です……」

「くそっ……」

 それじゃあ打つ手がない。

 昨日ブルーに聞いたようにチームのメンバーたちは、かけもちで仕事をしてまでサッカーをしている者も多い。

 カンパで治療費をねん出……というわけにもいかない。

「……残念ですが、仕方ありませんね」

 本当にそうなのか……?

 ……しかしいくら悩んでも答えは出なかった。

 頭を冷やすべく、クラブハウスのシャワールームに向かう。

 ちょうどヴァイオラが出てきたところだった。

「もう入れる?」

「ウチが最後やで」

 湯だった頭を一刻も早く冷やしたかったので、聞くや否やドアを開いた。

「……なんちゃって」

 ヴァイオラの乾いた言葉が響く。

 本人としてはちょっとした冗談のつもりだったのだろう。

 ただ俺がドアを開くのが早すぎたというだけで。

「……!!!!????」

 脱衣所では、まだ一糸まとわぬ姿のヤミとメタルが居た。

 スレンダーで引き締まったメタルと、着やせするのか豊満なヤミ――

 じゃなくて。

「あ、あの……」

「きゃーーーーーーーっ!!」

 メタルの平手打ちが俺の顔面を捉えた。

「な、何してるんですかぁ!? ちょっとお!!」

「み、見損ないました……ショックです……」

 初めて普通に喋ってるメタルと、ヤミが声を出している所を見た。

 いや、そんな事もどうでもよくて!

 バタンと閉まるドア。

「……ほ、ほなウチはさいなら」

 逃げようとするヴァイオラを捕まえる。

「え、ええやん天国見れたやろ?」

「これからそれ以上の地獄を味わうことになりそうなんだよ!」

「ま、まぁせやろな……いや、ホンマすまんかった……ハハ」

 そのまま二人して土下座スタイルで出待ち。

 着替えて出てきた二人に、事情を説明してなんとか納得してもらった。

 ヴァイオラも反省しきりだった。

 が、去り際に顔を真っ赤にしたヤミがぽつりと呟いた。

「……えっち」

 なんて、破壊力。

 いや、これもそうじゃなくて。

 誤解……ちゃんと解けてなくないか……。

 不可抗力なのに……。

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