悪夢
夢を見た。
監督に、出場を直訴している夢。
みっともなく、監督の前でリフティングまでして……。
かつての俺が、すがりつくようにアピールしていた。
周りの冷めた視線。
まるで道化のような自分。
そんな事をしてもどうにもならないのは、誰より自分が知っている――。
「……や、やめろ……」
じっとりとした不快な汗と共に、目が覚めた。
流石に夜にはなっていなかったが、日が暮れ始めている。
胸にずしりと重いものを感じる。
圧迫されるようで気持ちが悪い。
「……嫌な夢だ」
そういえば。
……本当に必死だったな。
学校は地元の名門で、全国大会の常連校。
入った時には、レギュラー取るぞなんて息巻いてたものだ。
……中学1年の頃は、そもそも部の方針で1年に出場機会はなかったな。
……2年の上半期は時々出れた。
……3年は……長身のFW、MFと層が厚くて……。
テクニックなら、負ける気がしなかった。
でも……監督には認められなかった。
理不尽なほどに出してはもらえなかった。
同じように、低身長の部員はみんな辞めていった。
人づてに聞いた話では、かつて監督はテクニックに優れたチームを生み出し、優勝候補とまでもてはやされたものの、フィジカルに優れるチームと当たってぼろ負けして、それから人が変わったようにフィジカル信者になったのだとか。
皮肉なことに、監督は実際にうちのサッカー部を全国優勝まで導いてしまった。
もちろん、全国大会はおろか地区大会でも俺の出番はなかった。
結局、最初から俺の居場所なんてなかったんだ。
もしかしたら。
俺は、地球でどこにも居場所が無かったから、ここに飛ばされたのかもしれない。
もしそうだとしたら、俺は帰ったところで……。
俺は――
胸が苦しくなる。
胸が重い。
置き上がれない。
――いや、違う。
乗っている。
俺の布団の上に、誰かの足が。
しなやかなふくらみの太ももと、ぼろぼろの擦り切れた足の裏――
そして視界の端にちらちら映る青い髪と、
「むにゃむにゃ……いぇーい、ハットトリックだあ……」
都合のよすぎる寝言の声。
ブルーだ。
ブルーの足が俺に乗っている。




