ブルー先輩
ミーティングが終わり、解散となった。
一睡もしていない状態で、これ以上ミーティングをしても意味がない。
一旦は現状確認にとどめ、戦術の話は明日だ。
まずは体を休めないと、というわけである。
解散後、その場には俺とブルーだけが残った。
行き場のない俺は、どうしようか困っていたのだが、
「なら、ここに住んだらいいじゃん」
というブルーの一言であっさり解決した。
他のメンバーも、「それがいいのではないでしょうか。役所にホシビト申請をするにしても、住居が斡旋されるかは疑問です」とか「放り出すのは、流石に酷いっすもんね」とか「仕方ないのである」とか認めてくれた。
何も持たずにこの世界に飛ばされて、本気でどうしたらいいか途方に暮れていたので、正直涙が出そうなくらい嬉しかった。
というわけでこのクラブハウスに住み込む事になったのだが、同じく住み込んでいるというブルーが案内してくれると言うのだ。
「じゃあ、先輩が案内してあげよう」
上機嫌で胸を張るブルー。
言動だけ見てると小学生のようにも思えてくる天真爛漫さだ。
それがプレーでも発揮され、予測不能なプレーに繋がっているように思う。
さて、このクラブハウスだが、前述のように、単なるほったて小屋と言っていい。
今いるミーティングルームは、完全に名前負けしていて、ただ広いだけの部屋だ。
一応、黒板とチョークがあるのでミーティングルームと言い張っている。
テーブルを出せば昨日の宴会場に早変わりだ。
ブルーに連れられ、そこから廊下に出ると、左手側に部屋が三つ見えた。反対側は窓になっている。
背中側にはトイレとシャワールームがある。
それらを除くと、ミーティングルーム含めて全四部屋って事だな。
平屋なので二階はない。
更衣室すらないのか……と思ったが女性だけなら個室はいらないのか、それかシャワールームの更衣室が使えるか。
「突き当たりが炊事場だね、でその手前が宿直室という名のボクの部屋。真ん中が用具室だよ」
「なるほどなー。じゃあ、俺が泊まるとしたら用具室か」
「え? 何で?」
「ああそうか。俺ってアホだな」
「そうそう、アホだぞー」
にこにこ笑うブルー。
「ミーティングルームに泊まればいいんだもんな。広いし」
「え? 違うよ?」
「は?」
心底不思議といった表情で、ブルーが言う。
「いや、炊事場に泊まるわけにもいかんだろう」
「ヤダよ。ボク、炊事場に泊まりたくない」
「待て待て。ブルーは宿直室があるだろう。何でそうなる」
「うん。だから宿直室に泊まればいいじゃん」
「それだとブルーを追いだすことになるだろうが」
「? そこまで狭くないよ? 8畳くらいあるし」
……。
……。
待て。
待て待て待て。
「オマエオンナ。オレオトコ。イケナイ」
「何で急にカタコトになるのさ?」
「あのな……仮にも年頃の男女が同じとこに泊まるのって問題あるだろうが」
「ボクは気にしないよ?」
……。
コイツ、自分がすごく可愛いってわかってるのか。
わかってねえんだろうなー! もう!
「うぐぐ……何でほっぺた引っ張るのさー」
「何でも! 俺はミーティングルームで寝るからな!」
「むぅ~……わかったよー」
ブルーは不承不承といった様子で頷いた。
あまりの布団を宿直室から運び出し、ミーティングルームへ運ぶ。
敷布団も掛け布団も綿がぺったんこのせんべい布団だが、まぁないよりマシ。
普段は丸めて部屋の隅にでも置いとけば邪魔にもならないだろう。
何にせよ、昨日の試合と徹夜の疲れが不意に襲って来たので、まだ昼過ぎだがひとまず仮眠する事にした。




