悪魔と敗北
アニエルが手を振りながら走ってくる。
あのバカ………そうしてため息をつこうとした束の間、物凄い殺気に体が支配された。
『おい、アニエル逃げろっ』
そう言いアニエルを逃がそうとした。しかし、一歩遅かった。アニエルに向かって数本のナイフが。………間に合わない。
そう諦めた俺は次の瞬間驚かされることになる。なんと、後ろから走って来ていたヘスティアが身を呈してナイフからアニエルを守ったのだ。
『くっ………』
諦めた自分に腹が立ち自己嫌悪に入りかける。
だが、そうさせてくれるほど相手は優しくない。
ヘスティアが守ったアニエルを追撃し始める。
『サンダーバレットライフル………ショット』
スピードと命中重視で技を使いナイフを弾く。
そして放心状態のアニエルに
『アニエル早く治療魔法を使え』
といい放ち、現状を打破するために策を考える。
まずは、相手の姿を確認するため気配がある場所に銃弾を放つ。すると不気味な笑い声とトランペットの音が聞こえ始めた。
『ふふ、ふはは、フハハハハハ。よくぞ我が僕を倒した。その力認めよう。』
すると空が歪み始め巨大な霧のようなものが見え始める。
『………おいおい。ふざけるなよこの現象は』
俺はこの現象を知っている。………それはこの世に悪魔がが出現する兆し。つまり悪魔の召喚じゃねぇか。霧のようなものが次第に霧散していき、現れたのは下半身がライオン、上半身が鷲の生き物。グリフォンに乗り兵士の格好をした悪魔がいた。
『なぁお前何故こんなことをした』
俺は悪魔に質問した。
『ほぅ?我に問う………か。悪魔に聞くと言うことは契約するということか?』
興味深げに悪魔は見てくる。あまりにも予想通りの返答に溜め息を吐き肩を竦める。
『だよなぁそうなるよな………まぁどうでもいいや死ね』
そう言い終わる前に奇襲を仕掛ける。
ありったけの魔力を使い銃弾を作り撃つ。
しかし、悪魔は動じることも無く腰にある剣で捌く。何発かは被弾した。すると悪魔は急に音楽を奏で始めた。さっきまで被弾していた場所が徐々に修復され始めた。
完全に修復されるまで十秒程。もう魔力は殆ど無い状況ではどうしようもない。グリフォンがこっちに向かって走ってきて、そのまま俺を突き飛ばした。結構な衝撃で木をなぎ倒しながら飛ばされた。そしてそのまま気絶した。
ラミエル・バルキエル初めての敗北だった。