夏休みの宿題
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湿度が80%を超え、気温が30度を超える、暑く、ジメジメした夏。小学4年のナナは疲れていた。
決して、肉体的にという訳では無い。どちからというと気苦労だろう。
もう少しすると始まってしまう、夏休みは皆が心躍るイベントのはずだろう。
それでもナナは夏休みの宿題が心配だった。
ナナの生きる2052年は世界中は食糧危機に陥り、鉱物資源よりも小麦が高値で売買されるようになった時代。
食料自給率を常に低迷し続けていた日本は社会保障費などをよさんを全て農業改革へと投入するという急ピッチな、改革を推し進めた。
全国各地に「総合農業施設」を建設し、気温、湿度、日照などを徹底的に管理することで、小麦、米などの四期作を可能にした。
他にも海には養殖施設、開けた丘や平地には牧場を作る。
経済成長は大幅なマイナスを被り、失業率は増加した。
しかし、その失業者を全て雇用できるだけの枠はあった。
農業改革に伴い、学校での学習実施要領も大幅な変更が行われた。
文系科目は必要最低限とされ、小学校から、生物、化学などの学習が始まった。また、授業時間も延長された。
そして夏休みの宿題も大きく変貌を遂げてしまった。
夏休みの宿題は二つの選択性となったのだ。
一つは今までの一般的なワーク類に取り組むもの。
または、専門的な研究物の提出の二つである。
一口に専門的なものと言っても、幅は限りなく広い。こっちはなんて言ったって小学生なのだ。
毎年、大人をも驚かせるような物が日本の何処かでは提出されているらしいが、ほんの一部に過ぎない。
しかし、自他ともに認める一般的な小学生であるナナは、いかに夏休みの宿題を早く終わらせられるか、簡単に終わらせられるかを一番に考えていた。
遊び盛りの小学四年生なのである。
存分に楽しみたい、と考えている。
かと言って、ワーク類は量が多すぎて、机に齧り付く日々が長く続くのが目に見えているのだ。
誰かに手伝ってもらうにも、あてを探すのに一苦労しそうだ。
1人で悩んでも仕方がないかとナナは思い切り、門の前まで来た家には入らず、お隣さんの田辺おじいちゃんの家に入っていった。
ガラガラガラッと勢いよく扉を横に引いた、ナナ。勝手知ったる様子で、靴を脱ぎ他人の家へと上がっていく。
そして、玄関の突き当たりの左手の木製の扉を押し開けた。