美少女勇者になった俺の現状を確認!
私の名はダミアン。
ソビュエル王国近衛騎士団団長だ。
2年間に渡る厳しい訓練と5年間の兵団勤務を終え、王国の近衛騎士に抜擢され早3年…そして光栄なことに近衛騎士団団長に推薦されて出世街道まっしぐら。
そんな俺の近衛騎士団団長として初めて王から授かった任務があの、勇者レイナ・ガルシア様のお見舞いだった………
レイナ・ガルシアは魔王軍との戦乱の中で突如現れ、余多の兵士を失い劣勢に立たされた我らがソビュエル王国軍を救った、その小さな体に不釣り合いな巨大な槍を振り回し50000体はいるであろう魔物の軍勢を一瞬にして葬り去ったのである。
そして、
「魔王軍!この私勇者レイナ・ガルシアがいる限り、この世界を支配などさせない!未だ魔王の力を恐れる人々よ!私がいる!ともに立ち上がり魔王を打ち倒そうぞ!」
「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」
勢いを取り戻した我々ソビュエル軍はレイナ様と共に魔王軍を圧倒し、魔王軍は撤退を余儀なくされました。脅威が去った後その場に倒れこみ眠った彼女を王国に連れ帰り王の別荘地で匿って3日…………
「もうお目覚めにならないかと思いましたよ。」
笑顔でそう語るダミアンを尻目に俺は精一杯頭を整理する。
(え~と…つまりこの俺レイナ・ガルシア?は国を救った英雄で、王様の別荘地のこの屋敷で三日間も眠ってたって………は?待て待て祐太、あの神様の言ってたことをよ~く思い出せ…
「記憶を消さずに葛城祐太として異世界に転移していただきます。」…つってたろ!いや待てたしかあいつ最後の方こう言って…「魔王に支配され魔物が蔓延る王国で勇者として『転生』していただきます。」
あのクソ神嵌めやがったなぁぁあ!!
なあにが「勇者として転生していただきます。」だぁあ!ふざけんなよあのクソ神がぁぁあ!!人がマヌケなのをいいことに言葉をすり替えやがったなぁ!もしかして「魂」は葛城祐太のまま肉体はこの勇者レイナ・ガルシアに転生ってか!?というよりなんだよ、さっきの話!俺知らねぇんだけど!つまりあれだろ?俺ことこのレイナ・ガルシアは魔王軍に喧嘩吹っ掛けたって事だろ?ふざけんなよ!普通こうゆうのって準備期間とか必要だろ?なのに表出りゃ即首とられるような状況になってるってどゆこと!?)
俺が頭の中でこの状況にツッコミまくっているとダミアンが話しかけてきた。
「あのぉ…レイナ様…先程は、本当に申し訳ありませんでした。」
鼻に詰め物をしたダミアンが顔を青くしながら謝ってきたどうやら怒りが顔にも出ていたらしい。
まぁ、そりゃ青くもなるわな、五万なんていう数の化けもんをバカみたいにデケェ槍ぶん回しながら吹き飛ばした美少女のとんでもない格好を見てしまったのだ。普通ならどんなことをされるか恐ろしくてたまったものではない。
まぁ、それは俺が中身まで女だったらの話である。
俺はそんな細かいことでは怒らんそもそもあれは性転換したことにばかり意識がいってて自分の格好にまで意識が及ばなかった俺が悪かったのだから。
「いや、別に気にしてないから。それにあれは俺が悪かったしさぁ…」
「ん?…レイナ様はご自分のことを「俺」と言うんですね…」
(やべっ!口調そのまんまでしゃべっちった!まあ、でも女の子っぽく喋るなんてぜってえ無理だし、そもそも嫌だし。)
「あっ、まっまあねぇ…ごめんねちょっと珍しいけどきにしないでね。テヘペロ~なんちて~」
最近の若者はこんな風にカワイイ仕草で何でも解決するらしいがホントかな?
「は?て、てへ?あぁ、いえこちらこそ…それより体調が落ち着いていらっしゃるのなら、王城まで来ていただけませんか?王が直接お話ししたいそうでして…大丈夫でしょうか?」
(えっ、王様が?あっ、あぁ、あぁ!はいはい定番ね、王道パターンね、冒険始める前に王様に謁見するって言うね。)
「あっ、あぁ!もうぜ~んぜん大丈夫だよ!」
ニッコリ笑顔でダミアンに返答する。
「それならば、表に馬車を待たせています。すぐに行きましょう。」
「おお!それならすぐに支度するから少し外で待っててくれ!」
「はい。かしこまりました!」
そう言ってダミアンは、外に出ていった。
(女なのは気に入らねぇ、その上知らないうちに魔王軍に喧嘩吹っ掛けて魔王の俺に対する警戒レベルがマックスだろうというのも非常に気にくわない…でも、これから俺の勇者としての第2の人生が幕を開けるのかあ…)
「ふへっ///」
俺は誰もいなくなった部屋でだらしなく笑みをこぼす……………