引きニートの俺が美少女で勇者!?その2
柔らかな陽光に包まれ、小鳥のさえずりで目を覚ます。あぁ、何て幸せな気持ち……
って、そんな事よりどうなったんだ?確か…
『魔王に支配され、魔物が蔓延る王国で勇者として転生していただきます。』
…だったか?そんな危ない世界なら、こんなに穏やかな目覚めできるはずないんだが、第一…
「ここどこ?」
男とは思えない高い女の子の声がそう言った。
…
……
………
…………
……………!?
(今の俺の声か?いやいや、いやいやいや…だって神様言ってたじゃん確か…「葛城祐太として異世界に転生する」…ってさ…ん?転生…まさか、!)
俺は恐る恐るもう一度声を出す。
「葛城祐太31歳童貞!!」
かわいらしいロリータヴォイスが俺の名前と転移前の忌々しい事実を告げる。
(あぁ、これ…俺の声だわ…………………………)
「 ぬぅわんじゃこりゃぁぁぁあ!!!」
「ふざけんなよ、何だこの声は!あのクソ神がぁ!!」
ベッドから飛び降り周囲の様子を確認した、心なしか視界が低い気がする、まさか!
周囲を見渡して部屋の反対側にドレッサーを見つけた。
慌ててかけより鏡を覗きこむ。
そこには、美少女といっても過言ではない可愛らしい金髪の幼女が映りこみ俺の脳内は混乱の極みに達する。
(これ…俺の顔かぁぁぁあ!?)
「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ…」
その時、コンコンと優しく部屋の扉がノックされる。
その音に、「はっ!」と意識を引き戻される。
(そうだ、まずはこの状況をきちんと理解することが最優先、す~…は~…落ち着け俺!ともかく都合良く人が来たんだ、状況を整理するチャンスだろ?まずは、こいつとコミュニケーションを取ることが重要なのだ。)
「レイナ様失礼してもよろしいでしょうか?」
と爽やかな男の声がドアの向こう側から聞こえてきた。
(レイナ様…まさか俺のことか?とりあえずこいつに俺のことを聞いてみよう。)
「ど、どうぞ?」
俺は扉の方に声をかけた、その時気がついた自分が下着姿だということに。
「はい。では、失礼します。」
「わぁぁあ!!待て待て待てぇぇぇえ!!!!」
気がついた時には既に遅い、がっつり入ってきた男と目があった、頬に傷のある赤毛のイケメン、ちょっとムカついた。
「………!?れ、レイナ…様?」
その言葉を呟いた瞬間、
ブッシュァァァァア!!
からだの中身全部出たんじゃないか?と疑う程の大量の鼻血を吹き出し男は卒倒した。
「ひっ、大丈夫か?おいっ、おいって!起きろよ、お~い!」
(クッソせっかくの情報源が…くっ…)
あわてて男を起こそうとしたそのとき男の倒れる音を聴いたのであろうメイドさんが大慌てで部屋に入ってきた。
「今の音は一体なんですか…ダミアン様!?大丈夫ですか、いったいなにが…ってレイナ様!?なんて格好なさってるんです!早く服をお召しになってください!!」
見るからに神経質そうな眼鏡をかけたメイドさんが慌てて俺にクローゼットの中の白いワンピースを着せる。
(一体どうなってんだぁ!?)………………