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第一章 〜悪魔のエーマ、学園Life〜

「えっ…ちょ…まっ…何でエーマが!?」

「よろしくね!テヘッ☆」


クラスが騒がしくなる。


「おいっ。アルラ!あの子と知り合いかよ!?」

何か声がしたが、ボクは今、エーマのことで頭がいっぱいだった。



「―連絡先教えて!エーマちゃんっ。」

「いいよー!!」


(※ボクたちの連絡の仕方は、相手と自分の魔力を少しだけ交換することにより、テレパシー的なものが特定の相手とできるようになるのだ。)


案の定、本性ではなく、うまくいい感じの性格を作り出したエーマは、見た目は可愛いので一瞬で皆の人気者になった。


―昼休み。

やっと、エーマを引きずって、二人っきりになれたボクは、


「何でここにいるの?…悪魔って何?天使でしょ?…バレたらどうするつもりかな?

バレちゃったテヘッ☆じゃ、済まない事態になっちゃうよ?…分かってるのかなぁ??」


珍しく本気で怒っていた。


「え~と…あぁ~…」


それはあのエーマをも、しどろもどろにならせるぐらいに。


シュン…

「悪かったわよ…。」

「はぁ…」

「で、でもっ!!私この学校辞めないよ!?」

「…なんで?」


ボクは辞めさそうなんて気は初めから無かったけど…少しイジワルしたくなった。


「だ、だって、友達だってできたし!それに…

学校って初めてだから…絶対にバレないようにするから!!お願いしますっっ!!」


エーマは珍しくボクに頭を下げてきた。

それも、本気で。

今日は珍しいことが多く起こる日だ。

―はぁ…しょうがないか。


「いいよ。」

「ほんとっ!?」

「けど、絶対にバレちゃダメだからね!

あと、ボクの目の届く範囲にいること!!

この、条件が呑めないようだったら辞めてもらうよ?」

「わ、わかった!!」


…意外だな。エーマがこんなにやる気になるなんて

しかも、ボクの目の届く(イコール、近いってことじゃん?)条件、呑むとは思ってなかった…

ほんと珍しすぎて、今日を記念日にしたいぐらいだよ…

呑気なことを考えていたボク。

しかし、エーマが悪魔だと偽るのは容易なことではなかった。


―ちょっ!!!!

ちょっと待ってちょっと待ってエーマさん!?

ボクは今、ヤバイことになっていた。


「エーマちゃん、羽出して~」

「うん!いい…」

「ストオオォォォォォォォォォォォオオっプ!!!!!!!!」


ボクは急いで間に入っていった。


「何してんだよ、アルラ。お前だってエーマちゃんの綺麗な翼見たいだろ?」


と、クラスメイトが詰め寄ってくる。

だが、あいにくボクはいつも見ているので今頃見る気にもなれない。


「別に、ボクは…」

「あっそ。つれねぇ奴だな。」


…何でボクが白い目で見られなきゃならないわけ!?

エェェマァァァ…君って奴は…


「あ~っと…ご、ごめんね!また今度ね!!」



―……………………。

「あのぉ~…」

「エーマっ!!何でいいよなんて言っちゃったわけ

!?」

「ごめん…つい…」

「ついじゃ済まないよ。もぅ…」


このままで隠し通して行けるのだろうか…。

ボクは早いこと不安になっていた。



「ふぅん。あいつがアルラ・ルガーか。」


少し前、アルラの知らないところでアルラのことを監視する奴がいた。

少し長めの赤髪を一つに束ね、顔は傷だらけ。

そんな、如何にもヤバイ感じの男は真紅の瞳をギョロリと動かし、


「何でマスターはあんなもやしを選んだのかなー?ま、いっか。オレには関係のないことだしね。」


ニヤリと笑った。


「まっ、せいぜいオレを楽しませてよ、

もやしくん。あはっ」



―ブルブルブル…


「どうしたのよ?」

「いや…急に悪寒が…」


何だろう。この嫌な感じは…

気のせい…だったらいいけど…


「ほら、席につけー。遅れたが転校生を紹介するぞー。」


また!?

クラスのみんなが同じ反応だった。


「…ソラ・ナイトです。よろしくね。」


次は女子が騷ぐ番だった。


「きゃー!!ヤバイ!!」

「すっごいカッコイイんですけどー!!」

「このクラスにはいない、爽やか系だよ!!」


そこには、白銀の髪に赤の瞳をした爽やか君がいた。

そしてボクを含む、女子に付いていけない男子らが呆然と立ち尽くしていた。



「―しかし、一日で二人も転校生が来るなんてなぁ…しかも、美男美女と来たぜ!!」

「うん。そうだね~。(棒)」


ボクは気のない返事を返す。


「おいおいおいおい!!何だよ!!その返事は!!こんな展開、盛り上がらない方がおかしいぞフツー!!」


そしてボクの隣で無駄にテンションの高いこいつは、ヨヴァルレェァット・テレイン。

これまた無駄に長い名なので、ボクはヨルって呼んでる。

まぁ…ボクにとってヨルは、友達じゃないけど話せる奴、みたいな…。

(あと、これは本人に言うと調子乗るから言いたくないんだけど…多分、この世の女子、全員がかっこいいと言うかっこ良さだろう。

もう少し細かく説明すると、緑で上にツンツンした感じの髪に、エメラルドの瞳。

そうだな…もう、一言で言っちゃうと…見た目は『頼れるお兄ちゃん』みたいな感じかな。頼れないけど。)


「えぇ!?何かオレの扱い酷くね!?お前のことダチだと思ってたのオレだけ!?まさかの一方通行!?」

「…うるさい…」

「しかも、無駄無駄無駄無駄って…紹介ってのは、相手の良いところを紹介するんでしょうが!!アルラくん!!」

「ボク、二回しか言ってない。」

「………いや…ま、まぁね…まぁ…そこはね、大人の事じょ…」


とまぁ、学校でのボクの日常はこんな感じ。

(ヨ:「人の話を聞けえぇぇぇえ!!!!」)

横でギャーギャー騒いでるストーカー君に毎日のように付きまとわれ、

(ヨ:「ストーカー!?」)

挙句の果てに、エーマまで来る始末。

(ア:「…うるさい。黙れ。」)

(ヨ:「うっ…分かりましたよーだ。はいはい、静かにしますよ。静かにね~…」)


―やっと静かになったところで、皆に相談がある。

(ヨ:「なになに?(わくわく)」)

(ア:「………………………ちっ」)

(ヨ:「舌…打ち…ダメ…ゼ…タイ…(ガクッ)」)


―はぁ…気を取り直して、相談というのは、

人間界でいうと『文化祭』のこと。

なぜこれに相談が必要かというと…皆さんご存知の通り、文化祭も含めて行事というのはクラスメイトとの関係を深める非常に厄介なものだ。

特にエーマだが…秘密を隠せる自信が微塵もない。

どうするか…

まぁ…不幸中の幸いか、ボクとエーマはクラスが一緒だ。

何とか…何とか、頑張ってみようと…いや!!頑張らなければならない!!

話していなかったが、他の世界に他の者が何の手続きもなく入ることは基本的に許されていないのだ。

もし見つかれば…処罰が下る。

最悪…死!!


―ブルブルブル…

「!?…だ、大丈夫か?アルラ…」

コクリ…


ヤバイ…このことは考えないでおこう。

ていうか、考えるだけ無駄な気がしてきた…

もう!!なるようになれ!!だっっ!!


そうして、何事もなく日は過ぎていった。


―文化祭前日

トラブルが起こってしまう。

ボクらのクラスは無難にメイド執事喫茶をしようとなっていたのだが…

明日が当日にも関わらず、メイド役と執事役の子がバタバタと倒れてしまったらしい。


「この人数じゃ、回りきれないわ!!」


と、クラス委員長(ちょい…あっち系かも知れない…噂だけどね…)が一言。

そして、この解決策が…


「な、何でボクが……」

「な、何で私が……」


ボクとエーマの知らないところで、いつの間にかボクとエーマが一人二役することになっていたのだった。

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