遭遇
「こらぁ!、何してる!」
大きな声が廊下に響いた。
そこには、睦先生が立っていた。
「先生!先生もお見舞いですか?」
「え~っと、見舞いに来たのだが、部屋には入れないんじゃ。」
「君らも、日を改めて来たらどうかな?」
召二は納得していない様子だったが、3人ともその日は病院を後にした。
帰る途中、召二が
「何か飲み物でも、飲んで帰ろう」
といってきたので、あきらくんと僕は、その提案にのって
ファーストフード店で、ジュースを頼んだ。
飲み物を受取って席に着くと
召二は、おもむろにあきらくんに話しかけた
「ね、君は・・金星明くんはプログラムできるの?」
あきら君は少し間をおいてから
「アメリカではプログラムの授業もあって、いろいろなプログラムを作ってきたよ」
「君も、多少はプログラムするんだよね?」
召二はちょっと、ムっとした感じで
「プログラムもするけど、プログラム以外のこともいろいろするよ」
「プログラムはあくまで、入力どおりの動きしかないから、楽しくないや」
僕には、ちょっと捻くれて答えているように見えた。
あきらくんは
「確かに、入力通りしか動かないけど、入力すればいろいろな可能性もあるってことだよ」と、なにか納得できる回答が大人に見えた。
プログラムについて2時間程度、あーだ、こーだと話しをして、3人は帰路についた。
帰宅すると母が電話でなにやら話しこんでいた。
電話が終わって僕に話があると言ってきた。
「今、病院から電話があったんだけど」
「どうしたの?」
「佐竹君わかるよね?」
「うん、今日お見舞いに行ったけど会えなかったんだ」
「その子が自分のホームページにその病院で亡くなる人の名前を乗せているらしくて、病院で問題になっているらしいのよ」
一瞬、母が何を言いたいのかわからなかった・・。
「今、その子は入院中で、病室にはパソコンもないから、零か、雅山くんが、ページを更新してるんじゃないのか?っていう風に思われているらしいのよ」
「零は、なにかそのこと聞いてる?」
「いあ、佐竹のホームページってその日のことを適当に書いてるだけだよ。それに、そういうのって、本人しか更新できないんだよ」
「じゃ、だれがやってるのかしら。いたずらにしても酷いじゃない」
「更新のパスワード知ってればできるかもしれないけど・・・。。明日、召二・・あっ、雅山くんに聞いてみるよ」
そのときは、ただの悪ふざけの書き込みだとばかり思っていた。
翌日、授業が終わって、召二と部室に入って、昨日のことを話した。
「佐竹のいたずらじゃないのか?」
「病室に入っていないから、寝たきりなのか、元気なのかわからないし・・・」
召二にも、思いあたるところがないらしい。
「今日もう一度、佐竹の病室行ってみないか?」
「そうだね。行ってみようか」
僕も、召二のいうままに、病院に向かうことにした。
病院に到着して、病室までこっそり向かった。
病室の扉が、少し開いていたので、召二はそのまま扉を開いた。
ガラガラッ
「あきらくん!?」
佐竹の横に、あきらくんが立っていた。