誤解
「で、どこに行くんだ?」昭二はあきらくんに話しかけた。
「うん、ここの近くに僕の家があるんだ。」
「え、俺の家の近所だったのか。」
二言三言会話をしているうちに、あきらくんの家に到着した。
「へー、ほんとに近くだったんだ。知らなかった。」
昭二は、さっきの話のことには、何も触れず、いつもの調子で話していた。
あきらくんは、部屋にみんなを通して、飲み物を用意してくれた。
少しへんな空気感になっていたが、昭二が口火を切った。
「じゃ、さっそく見せてもらおうか。」
あきらくんは真剣なまなざしで、昭二をパソコンの前に連れて来た。
「パソコンが見せたかったものか?」
「いや、これからあるデータを見せるから・・
説明は、それからだよ。」あきらくんは、パソコンを触りながらそう言った。
パソコンが起動した。
ログイン画面のようなものが表示された。
あきらくんは、ディスクをパソコンにセットした。
しばらくすると、画面に「Logged in」と表示された。
昭二は「なんだ。なんのソフトを起動するんだ?」
あきらくんは、前に見せてくれた操作と同じ手順で、
人が2人重なっているようなマークのボタンをクリックした。
真っ黒の画面になって、ずらっと文字が流れだした。
昭二は笑いながら
「あはは、なんだ。このソフトのことか。」
「アカシックプログラムじゃないか。」
と言った。
あきらくんと、佐竹は驚いた様子で、顔を見合わせた。
あきらくんは続けて「どうしてアカシックプログラムのことを知っているんだ?」
「知っているも何も、ネットのアンダーグラウンドで、はやっているソフトだよ。」
「日本で作られて、海外の文字にも翻訳されたものが出回ってるやつだよな?」
「まさか、これを見てこの世界がプログラムだとかいってたのか。あははは。」
佐竹は「これって、そんなに出回っているか?」と聞きなおした。
「そうだよ、なんかオカルトっぽくて、面白いっていうので結構有名なソフトだぞ。」
「佐竹なら知ってると思ってたけど・・」
「いや、そうだったのか。」佐竹は、腑に落ちない様子で答えた。
昭二は画面を見ながら「でも、これ日本の内容だな。」と言った。
「俺の知ってるのは、中国とアメリカで起こったことが記録されてるやつだよ。」
「起こった?」あきらくんは言った。
「そうだよ、ほぼリアルタイムで起こったことが流れるんだ。」
「ネットのニュースよりも早く入手できるから、皆面白がって・・・。」
「あきらって、これ作ったメンバーなのか?」
「作ったやつのこと 神 ってみんな呼んでるぞ!はははは。」
「そうかぁ。あきらが作ってたのか。俺は神の 連れ だな。」
昭二は、はしゃぎながら話していた。
「い、いや、そうじゃないんだ。」あきらくんは、小声で返した。
佐竹は、昭二にわからないように、あきらくんに目配せをしていた。
「まあ、だまっとくよ。騒ぎがでかくなっても困るしな。」昭二は笑いながら言った。
「いや、まさか、知っているとは。驚かそうと思ったのに。」あきらくんは言った。
「明日、もう一度俺のうちに来ないか?」
「アメリカ版のデータを持ってるから、見てみないか?」
その日は、なんか話が食い違ったまま解散になった。
翌日、学校にあきらくんの姿がなかった。




