試行
佐竹に向かって
「どうしてここにいるんだい?」
「なにがなんだか全然わからないし、なにをするっていうんだい?」
佐竹は
「まずは、お前の記憶を取り戻したいんだ」と言った。
「記憶」言葉に詰まった。
今こうして考えていることや、行動していることが本当の自分の意思じゃないとしたら・・
自分の記憶で行動したらどうなっているのだろうか・・・
色々なことが頭の中を駆け回った。
あきらくんが
「まず、話を聞いてみて考えてみようよ。」と言った。
僕は「うん」と小さくうなずいた。
「で、一体何をためすんだい?」
佐竹は少し笑ったように見えた。
「あきらは、コーダー全員を知っているのかい?」
「いや、僕はデバッガーなんで、普段はコーダーとしてこっちに来たりはしないんだ。」
佐竹は
「じゃ、デバッグエリアに関わっているメンバーは何人いるんだい?」
あきらくんはメモを差し出した。
[メモ]には
Coder Jin Sawamura (沢村 神)
Coder Lei Akasya (赤車 零)
Coder Kaizo Satake (佐竹 改造)
Assistant Coder Teru Ogi (扇 輝)
佐竹は「え。 こんなに少ないのか。」
「しかも、2人は聞いた事も無い名前だ。」
あきらくんは
「実は、僕も他の2名とは面識が無いんだ。」
「データのやり取りでしか・・・会話もしたことがないんだ。」
佐竹は
「でもこれだけ少ないのなら、なにかしら探す方法はあるだろ。」
「向こうは俺たちのことを知っているんだろうか?」
「このメモの内容と同じものを、沢村くんに送ってるから、おそらく名前は・・・」
「そうか。記憶を取り戻すためにもまずは2人を探そう。」
僕はこのメモを見た時、何か覚えているような変な気持ちになった。
でも、具体的にどうこうならないため、その場では何も言わなかった。
「でも、どうやってこの2人をさがすの?」 と佐竹に聞き返していた。
「昭二に、このことを全部話してみるんだ。」
「え!?」あきらくんも、僕も同時に声を出していた。
あきらくんは
「NPC(Non Player Character)にコーディングに関する干渉をしちゃダメじゃないか。」
「だから、試すんだよ。」「全部って言ったって、ここが仮想空間だってことだけだぞ。」
「他のメンバーや、ディスクのことは触れなきゃ大丈夫だろ。」
「でも・・、危険じゃ・・」
「よくわからないけど、昭二には話しておきたいよ。」僕は無意識に割り込んでいた。
あきらくんは、僕のほうを振り返った。
「じゃ・・・話してみようか。」と乗り気の無い返事をした。
「善は急げだ!」 佐竹は携帯電話を取り出した。
「お~~い」と声がした。
睦先生が小走りにこちらに向かってきた。
「雅山(昭二)君のこと聞いたかい?」
3人とも顔を見合わせた。




