先生
「先生~」
召二は、声をかけた。
「あ~、皆きてくれたのか。」
「部屋の一部は散らかっているけど、あげっていくかい?」
佐竹は
「お邪魔でなければよろしいですか。」と答えた。
「あ~、いいよ。」
「ちょうど、飲み物とお菓子を買ってきたから、あがって行きなさい。」
そんな、やり取りをして、先生の自宅にお邪魔することとなった。
応接間のような和室の部屋に通されて
みな、テーブルを囲むように畳の上に座り込んだ。
先生が
「飲み物とお菓子を用意するから、楽にしていなさい。」
そう言って、部屋を出て行った。
召二は、
「この部屋とか、小火があったようには全然見えないな。」
佐竹のほうを見てそう話していた。
「まあ、一部の部屋だけで済んだって言っていたから
ほかの部屋は、大丈夫だったんじゃないかな。」
佐竹は答えた。
しばらくして、先生が戻ってきた。
「たいしたものはないが、ゆっくりしていきなさい。」
テーブルにチョコ菓子と、飲み物が置かれた。
召二は、
「先生・・。小火のあった部屋見せてくださいよ。」
と口走った。
僕は、それはさすがに、失礼ではないか?と思った。
同時に、少し見てみたい気持ちもあった。
先生は一息置いて
「ああ、あの部屋は警察が調べているので、中に入れないんだ。」
「廊下からなら見れるが・・」
そう言って、廊下の奥を指差した。
召二は、
「廊下から見てもいいんですか?」
と言いながら、歩き出していた。
先生と僕らも、後ろについて歩いていった。
部屋の入り口には、黄色の「立ち入り禁止」のテープが貼ってあった。
部屋の前まで来て、僕は妙な違和感を感じた。
しばらくして、その違和感が何なのか分かってきた。
その部屋から外は、まったく火で焼けたの痕跡が無く、
まるで、こげた部屋を後からくっつけたような感じだったのだ。
それよりも気になったのが、
部屋の雰囲気に似合わない、銀色のテーブルの上に置かれているパソコンが
まるで何事も無かったようにそこにある状況だった。
佐竹もそのことに気が付いている様子だったが、その場では何も言わなかった。
先生は、
「あ~、ここにいても特に何も無いから戻ろう。」
と言って、皆は先いた部屋に戻ることになった。
1時間程度、先生の家で雑談などしながら過ごしただろうか。
あきらくんが
「そろそろ、おいとましようか?」
と言い出したので、皆それに同意した。
先生は
「みんな、ありがとう」
「学校には行けるから心配しないで大丈夫だよ」
そう言って見送ってくれた。
先生の自宅を出て、少し歩いた頃
佐竹は
「小火の部屋にあったパソコンだけど、変じゃなかった?」
と皆に問いかけた。
あきらくんと、召二は口を揃えて
「うん」と言った。
僕も相槌をうちながら「あのパソコンだけ全く無傷だったよね」
と言った。
召二は
「いや、その横に紙の封筒があっただろ?」
「他は燃えているのに、なんであれだけ燃えてなかったのか、そっちのほうが気になったよ。」
あきらくんも
「うん、そっちのほうが気になったね」
と言った。
佐竹は、あきらくんのほうに目配せをしたようにみえた。
そして佐竹の口から「じゃ、今日は帰ろうか」といって解散することになった。
あきらくんは
「赤車くん、帰りにちょっと一緒に行きたいところがあるんだけど」
といって、僕を誘ってきた。
そして、佐竹と、昭二は、別々に帰っていった。
川のところまで歩いてくると、あきらくんは
「赤車くん、さっきここで白い煙があがっていたよね。」と言った。
数秒後に
「以前話した、コーダーって覚えているかな?」
と切り出してきた。
僕はすっかり、あの話のことを気にしなくなっていた。
仮想世界っていう実感もなく、むしろ、平穏な日常に戻るようにしていたのかもしれない。
「ああ、うろ覚えだけど」と答えた。
あきらくんは、真剣な面持ちで話してきた。
「僕たち以外に、コーダーが別にいるみたいなんだ」




