疑惑
「ピーンポーン、ピーンポーン」
突然呼び出し音が響き渡った。
「誰か来たみたいだ。
ちょっと、見てくるから待ってて。」
「ガチャガチャ」扉を開ける音がして
「よう!」っと、佐竹の声がした。
あきらくんと、佐竹は何か話をしている様子だったが、はっきりとは聞き取れなかった。
しばらくして、あきらくんと、佐竹が部屋に入ってきた。
佐竹は会うなり
「訳が解らないって顔してるな。」
「まあ、仕方ないか。」
と、僕に向かって言って来た。
「でもさ、あきらくんが、変なことを言うから・・・
というか、何がどうなっているのか、佐竹にはわかるの?」
「どうして、あきらくんの家に来たの?」
ただでさえ混乱しているのに、佐竹まで現れて僕は、パニック状態になってしまった。
「すまん。」佐竹はいきなり謝ってきた。
「俺らの記憶が、なんらかの原因で喪失してしまったんだ。」
「たまたま、俺は部分的に喪失していただけだから、お前のディスクから
リカバリー出来たんだ。」
「お前は記憶が戻っていないと思ったから、ディスクのことは紛失したように
見せかけたんだ。」
「記憶の喪失って・・?」
「今の記憶以外に、何かあるっていうの?」
あきらくんと佐竹は顔を見合わせたあとに、あきらくんが口を開いた。
「僕たちは、アカシックプログラムの一部分を、製作しているんだ。
プログラム内で、不正信号があったので、僕がここにやってきたんだ。」
「赤車くんに、ディスクを渡せば状況が変わると思って、あの日ディスクを渡したんだ。」
よこから佐竹が
「お前から、転校生のことを聞いたとき、そいつが俺たちに何かをしたんだと、勝手に俺が思い込んで・・・。」
「手がかりをつかむために、これから起こる、プログラムの一部を・・あっ、例のリストを、わざとあきらに、見つかるように仕向けたんだ。」
「あとで、記憶を完全にリカバリーしたときに、すでにあきらじゃないとわかっていたんだが、一度見せたものを、無かったことにするのは、かなり面倒な作業なんで、そのままにしたんだ。」
佐竹は、かばんからディスクを取り出して、僕に差し出した。
「これが、お前のディスクだ。」
「何か、覚えているか?」
「あきらくんから、受取ったのは覚えているけどそれ以外は・・・」
「あきらが来て、俺たちに関わった奴は、俺たち以外に誰がいる?
そいつらが、俺らの記憶に細工した可能性があるな。」
佐竹は、前のめりになって話していた。
あきらくんは
「雅山 召二、毛瑠璃 睦先生の2人は特に、関わりがあったね。
クラスのメンバーも部分的には関わっているかもしれないけど・・。」
「あのさ、睦先生って、佐竹が病院にいたとき、どうしてあそこにいたのだろ?
あきらくんは、どう思う?」
「先生か・・・、僕が部室に行ったときも、先生が後から来たな。」
「でも、先生だから、部室の前を通るのもおかしくないし
病院にいたのも、病院から連絡が来たのかもしれないし・・・・。
おかしいといえば、おかしいし、おかしくないともいえるね。」
「僕は、雅山 召二くんが、今ひとつしっくり来ないんだ。
「召二が、何かするなんて考えにくいよ。」
僕は、無意識に答えていた。
「どうしてだ?」二人は僕に突っ込んできた。
「なぜかは分からないけど、普段の召二を見ていると、とてもそんな風には思えないよ。」
佐竹も
「まあ、俺も召二とは話をよくするが、悪いやつには思えないし、コーダーにも見えないな。」
と、フォローする感じだった。
しばらくして
あきらくんは
「じゃ、先生が怪しいってことになるね。
いちど、先生の様子を見てみる必要があるかもしれないね。」
と言った。
佐竹は
「俺のディスクは、紛失したままだし・・・
とりあえず、明日から先生の行動を見てみるか。」
「このディスクは、お前に返したいが、
記憶がきちんと戻るまで、俺が持っておくぞ。」
あきらくんも
「そうしたほうがいい。
何か起こったら、どうすることも出来なくなるから。」
と言った。
佐竹の登場で、それまであきらくんと話していた事をすっかり忘れていたが
「アカシック」という言葉や「コーダー」など
さっぱり分からないことが、自分の周りで起こっているということを再認識した。
その日は、そんな話をして解散になった。
翌日、学校に着くと教室がざわついていた。
召二が、佐竹と教室にやってきて
「おい、聞いたか?」
「えっ?なにを?」
「睦先生の家で、昨日、小火騒動があったみたいなんだ。」




