24話 魔石を作ろう!2
さてさてさっきの魔式の何が良くなかったのか…どの辺りまでこの世界のアバウトに助けて貰えるのか、いまいちまだ要領がわからない。
結晶構造と結晶成長の動作的に無理なら多分核形成も弾かれてるはずなんだよねー。
で、さっきの無詠唱の核形成が発現しそうになってたからあたしの魔力不足とかでもなさそう……そんなに疲れてないし……
「つまり……魔式の組み立て方が悪い…?」
最初の詠唱が『魔式展開、浮遊体イグニスに照準……イグニス中心部に核を発現』……ん?何か抜けた??あ『結晶化第一段階』が抜けてるのか。なるほど……さっきの魔式詠唱では結晶化第一段階とか言ってるのに、次の詠唱では何も入れなかったから?魔式の関連性が消えてしまってる…とか?
つまり
「魔式展開、結晶化第二段階、イグニス中心部、核により結晶構造を構築、核を支配的位置に置き、成長させよ、っいたい!!」
うぅぅぅ~痛い。
痛いけど………何か中心部の渦がグルグルと動きが活発になってる……
「…これは成長してるのか……構築してるのか……」
でも順番から言ったら構築してるはず……つまり弾かれたのは成長部分。
「あ~、一気にやったら駄目なやつか…」
ということは
「魔式展開、結晶化第三段階、結晶構造を持った核を支配的位置に置き、結晶成長を促せ」
おぉ~頭痛くない。しかもさっきの渦がギュルギュル言って、全体のサイズがどんどん小さくなって、中心部に力が凝縮していってるのがわかる。
「………これは成功した?」
キンッという甲高い音が響き渡ったかと思ったら、イグニスのウネウネした物があった部分に綺麗な赤い色の結晶が浮かんでいた。
「おぉ~綺麗じゃん」
すでに固体で触っても大丈夫そうな宙に浮くそれを手にとってみる。硬さは地球にある結晶と同じで硬い。ほのかに温かく感じるのはこれがイグニスという火の力の結晶だからかもしれない。さっそく上手くいったか鑑定してみるべし。
「…触れる対象…開眼せよ…ダイアグノーシス」
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【-イグニスの結晶-】
品質:神級
成分:イグニス100%
魔力量:7000/7000
概要:危険度未確認クラスの魔物、神級の生体、神級のアイテムに使用されるイグニスの力を凝縮した結晶。
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ムフフン………どうみても巷にあるようなお宿にあっていい存在じゃない………というか概要様様なんだけどっ!!あたし概要が無かったら普通にこのオーブンに使ってたわ…
神級アイテム、オーブン……神が食す物を作る際に使用される……全然、笑えない。
「……とにかくこの物体は世に出しちゃダメだ……」
残った魔石でどうにかしないと………あたしは手の中にあったイグニスの結晶を乱暴に鞄の中に突っ込みそうになって思い留まる……神級の物を粗末に扱ったりしてタタリとか…怖い。
鞄から手拭タオルを取り出して、そっと結晶を包んで鞄にしまった。
「それにしても…やばい…やばいよ……」
魔石を作るどころかイグニスの力を無駄使いしちゃったし…あたしは慌ててオーブンの上に置いておいたイグニスの力を抽出した魔石をとってもう一度鑑定してみる。
「…触れる対象…開眼せよ…ダイアグノーシス」
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【-魔石-】
品質:粗悪
状態:非常に不安定
成分:テラ50%アクア30%ウェントス20%
魔力量:0.5/864
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どうしたらいいんですかっ!!!イグニスの力が無くなって新しい状態とかいう項目が増えたのはいいんだけど…非常に不安定とか出てるんですけどっ!!!
やばい……きっとこの魔石はイグニス50%で魔石状態を保ってたんだ……
ピコンッ
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【-魔石-】
品質:粗悪
状態:非常に不安定
成分:テラ50%アクア30%ウェントス20%
魔力量:0.4/864
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ぎゃーーーー!!!魔力量がピコンなんていう軽快な音と一緒にカウントダウンをはじめちゃってるーーーー!!!
ピコピコン
いやーーーー!!!
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あたしがどうする事も出来ず……手の中の魔石は0.1の最後のピコンとともに光と一緒に砕け散った………砕けたというより、綺麗に光と一緒に四方の大気中に消えてったと言うほうが表現的には正しいと思う。
借りを返すどころか器物破損というさらに罪状を重ねてしまったあたしも燃え尽きたい症候群に一瞬で陥った。
この場から光と一緒に消えてしまいたい……
[全く…阿呆が…何をやっておる……]
突然頭に聞こえた声に心臓が打ち抜かれたように驚くのは当然だと思う。




