22話 修理に挑む
「…触れる対象…開眼せよ…ダイアグノーシス」
ピコンッ
ちょっと馴染みになってきた画面が表れた。
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【-ダグログ岩のオーブン-】
作成日 バードリア暦1027年
作成者 フォードリアル・イグニス・レイグアリ
原材料 フィーフ合金。ダグログ岩[シップル火山]。魔石(状態:不良)。イグニスの魔力液。
耐久力 0/800
使用魔力:イグニス 6/1m
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うん…耐久値0って…完璧に壊れてるね。でも何が壊れてるとか……はこの画面だけじゃわからない感じなんだけど………もうちょい詳細って調べられないのかな?
「…例えば明らかに不良を起こしてるこの魔石とか……」
と言いながら画面に触れるとさらにポップアップウィンドが出てきてイグニス魔石の詳細が記載されていた。
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【-魔石-】
品質:粗悪
成分:イグニス40%テラ30%アクア20%ウェントス10%
魔力量:2/864
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ふむ……オーブンっていうからには、イグニスの魔力が一番必要なんだろうけど、どうみても半分以上他の成分で構成されてる物ってどうなの?
しかもどっちにしても魔力が欠乏してる事には違いないし……
「魔石ってどこにあるんだろ?」
魔石というからには多分宝石みたいな物だと思われ、特に外から見た部分にはそんな宝石みたいな物は見えない。
じゃあ中にあるのかと扉を開けてみても無い。
「ふむぅ……設計図とかあったらわかりやすいのに……」
ピコンっ
はい、新たなポップアップ画面で設計図のような物が展開されましたよ……驚かないよ?でも……こんな独り言で対応してくれるならあの厨二的な台詞っていらなくないですか?…とりあえずその検証は後にして、今は展開された設計図から魔石の位置を探さなくては…
「うげ……これ……この粗悪な魔石一個で6基も動かしてるの?」
どうみてもオーブン6基の真ん中に昔アニメで見たような魔法陣みたいなのが記載されててその真ん中に魔石があった。
「ということは……この部分か……」
設計図通りの場所は直接外部からは見えないように蓋がされていた。
「どうやって外そうかな……」
取手部分もない蓋を何か取り外す仕掛けがないか、外側を指でなぞっていく。
「おっ……これかな?」
左下に一見わからない窪みがあり、その奥にボタンがあった。そしてボタンを押してみるとガコンと蓋が外れた。
「ビンゴっ!」
変に工具とか使わないタイプでよかった。空けた蓋はとりあえず完全に外すタイプの物だったので邪魔にならないオーブンの上に置いておく。
「へぇ~」
そこには設計図と同じ魔法陣が描かれていて、その中央に握り拳ほどの魔石がはめ込まれてた。
「…サイズ的には、しっかりしてる気がする」
でも……ともう一度展開されたウィンドを見てみる。
「1mって多分1分でしょ?魔石の魔力総量864って事は144回しか使えないって事よね?」
しかも純粋に成分がイグニスだけではないこの魔石の魔力がオーブンの6って魔力消費を補えるとは思えない…なので2だけ残ってる状態なんかになってるんだと思う。
一般家庭なら144回の使用量でいいのかもしれないけど……業務用としてはあきらかに力が足りない。
「……さて、魔石を交換すれば直りそうだけど」
ライザさんに新しい魔石を貰えばいいんだろうけど……それじゃ何となくこの件があたしの食事代にはならない気がする。
「うーーーん」
どちらにせよ交換しなくちゃいけない魔石を取り外してみる。魔石のはめ込み自体が粘土に無理やり押し込んでた感じで簡単に外れた。しかも元の粘土は綺麗に平らにすぐ戻った。
手の中にある魔石……これをどうにか出来ないかなー?




