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15話 頭の声やばい…


宿の中は柱が原木をそのまま使っているような、どちらかというとホテルというよりはロッジ的な感じがする内装でとっても落ち着く。

時間がずれているのかフロントがあるロビーにあまり人が居ないのも雰囲気をさらによくしてるのかもしれない。

珍しい物を見るようにキョロキョロとしてたあたしに頭上から声が響く。


『ウフフっ!可愛いお客さんが来たぁ!』

「……?……ん?」


……メルフォスさんのはフロントの女の子に話しかけているので彼ではない。言葉が聞こえるんだけど……どちらかというと鹿に話しかけられた時に近い感じ……


『ねぇねぇ!貴方の力、とぉってもいい香り!それにおいしそう』


声の主はセクハラ満載な発言をどんどん積み重ねていく………まだ声が幼い女の子の声だからかろうじて許せるけど…そうじゃなかったら………考えたくもない。


うぅ……心霊現象とかほんとにやめて欲しい。


『ねぇねぇ!食べていい?』


…良くないです。声を大にして言いたいけど……応えて取り憑かれたりしたら洒落にならないし、これ以上やっかい事はほんと勘弁してほしい…


『ねぇ~聞こえてないのかな~?こんなに力溢れてるのに~』


……あたしは聞こえない……何も聞こえない。


『ふぅぅん。じゃあ勝手に契約しちゃおうかなっ!』

「おいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


あ……しまった。


「アサッ?どうした!?」


女の子と話してたメルフォスさんがびっくりした顔でこちらを向いた。ステレオで女の子の声も頭の中に響く。


「アサ…何か気になる事でもあったかい?」

『ほらぁ!聞こえてるんじゃん』

「いや……あのメルフォスさん」


とにかく……ファンタジーな世界なのだから、妖精の一匹や二匹いるのだろう。うん……地球の夜になったら現れる奴ではないはず……ないはずなんだっ!!


「と、と、とってもいい感じの宿ですね」

「?ありがとう」


うん…突然訪ねた人の家で「お宅の家なんか憑いてますか?」なんて失礼な事言えるわけないじゃんっ!!


『ねぇ!この柱の木が良い感じだと思わない?』


とりあえず気配がビンビンに感じられる柱には近づくまい。


「ワタシダイスキデス!コウイウシゼンアフレルカンジガ」


気配から一番離れた椅子の背を撫でながら……「成仏成仏……」と呟いてしまう。


「家の内装は全部奥さんの趣味なんだ」

「ヘェ!ソウナンデスカ!」

『それはエルフの里で作った椅子なのよっ』

「ホォーエルフノサトデツクラレタイスナンデスカ」

「あれ?アサ……どうしてそれがエルフの椅子だってわかったのかな……」


しまったぁぁぁぁぁ!


「いや……あの……なんとなく、触り心地と……か」

「もしかしてアサは鑑定系の魔式を扱えるのかな……それならかなりレアな力だよ…」


果てしない誤解がここに生まれ、あたしはそんな力もあるんだね~って気が遠くなった…


「…触れる対象…開眼せよ…ダイアグノーシス」


もぅいいよ……中二病的な誤魔化しで突き通すさっ!!!


【ピコン!】


ん?


【対象・エルフの椅子】


んん?


【情報開示します。なおこれ以降この開示確認のアナウンスを維持しますか?】


「いや……けっこうです」


ほらあたしってPCとかでもこのページを開きますか?って確認のウィンドって初めだけで、以後表示しないのチェックすぐつけちゃうタイプの人間だからさっ


「……はぁぁぁぁ?」


目の前に現れた空中液晶の画面にはどうみても……


「…この椅子。エルフのビフォールリアさんが作られたようですよ」


*********


【-エルフの作った椅子-】


作成日 ヘルゼン暦795年

作成者 ビフォールリア・ガルデス


原材料 エルフの森[ジルリア地方]のメイプル材。ドッグガルムの皮。ミントシープの毛。


耐久力 15/300


*********



あ、なんかこの椅子壊れそうじゃん。


……なんて現実逃避してしまう自分を許してほしいと思う。



お兄様……ひよりは何だか便利な力を手に入れましたよ……頭のすみっこでさっきの幼女と違った「このバカモノがー!」って声が聞こえてくる。



おぉ、コワ…

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