11話 どうやらあたし…捕まってたみたい。
超久しぶりにリハビリを兼ねての更新なので総数少ないです。またよろしくお願いします。
「ふむ…さてこの風船のような物は捕縛の魔式には違いないだろうが…」
…うん。さっきから青髮の『自称おじさん』がペタペタとシャボン玉を触ってはうむむと唸っているのを見て……
…今更自分で出れますとか言えない雰囲気に…さてどうしたものか……
「うん…すぐ出してあげるからね」
そう言ってからかれこれ20分は過ぎてます。いや…だってこのシャボン玉外部干渉不可にしてるから自称おじさんがどうやろうとも外部からはどうしようもないよね…。これは……多分助けてくれようとしてるのだし、悪い人ではないのか?
どうしてもこの世界に来て直後に殺されかけてる人間としてはすぐに人型を信用する事は出来ないのだけど……自称おじさんの顔がどんどん髮色に近くなっていくのも日本人としては胃がだんだん痛んできて……
「……もぅなるようになれかな?」
あたしはおじさんから見えないようにシャボン玉に後手で触れると、聞こえないであろう声の大きさで先ほどと同じようにシャボン玉に干渉してみせる。
「外部干渉不可解除。徐徐に透過」
一瞬シャボン玉に不思議な赤い文字が無数に浮かんだけど、すぐに消えて中からの感触が変わった。
今までのゴムの壁のような感触が薄い紙の感触へと変化していく。
「…????あれ?」
うん…今まで完璧な防御をしていたシャボン玉が突然ペランツな紙のようになったのだから、自称おじさんが驚くのも無理はない。
「…えっと…なにかした?」
「いえ……」
悪い人ではないだろうけど…もう少しこの自称おじさんの正体がわかるまでは自分のイグニスの力は内緒にしとくほうが賢明だろう…とりあえずペランツな壁をえいやっ!と殴って簡単に破けた所から外に出る。
「…うぅん。そうは見えなかったけど……時関係の魔式も組み込まれてたのかな?」
自称おじさんがシャボン玉を調べようとあたしが飛び出した穴から中を覗いている。
「見た目はどうみても捕縛魔式だけど……」
やっぱりこれ捕まえられてる檻みたいなもんだったのね。
「あぁっ!」
自称おじさんの答えが導きだされる前にあたしの「徐徐に透過」効果が出たのかシャボン玉がすぅっと消え去った。
「えぇ!!もっと調べたかったのにっ!!」
そう言われてもすでにシャボン玉は消え去ってしまっているし、どうしようもないよね。
「…あの」
とにかく…この世界でようやく出会ったまとも《・・・》な人?なのだから、出来る限り情報を収集しつつ今後の自分の身の振り方を決めないと…私のお先は真っ暗一直線だ。
…とにかく一に宿確保、二に食料。
どうかいいおじさんでありますように…