婚約解消したはずの婚約者が結婚しようと言いに来た
「私たち婚約解消しましたわよね?」
「ああしたね」
何か問題でもある?と言いたげな彼。私は一度深呼吸をする。
「ではなぜ私の屋敷に来たのです」
「話があったから」
彼はあっけらかんと言い放つ。頭痛がしてくる。
「婚約解消した女性の家には普通来れませんよ」
「話があるからね」
話が嚙み合わないことに私はイライラを募らせる。
「帰ってください」
「えっやだ。ここまで来るの意外と遠いし、手紙じゃこの話ムリだし」
私の直球な言葉にも彼はいつもと変わらない。私は諦めることにする。私は諦めて話を聞くことにする。
「それでご用件は?」
「結婚してくれって話」
「結婚?誰とですか?」
「僕と」
私はポカンと口を開けてしまう。少しして、私は問う。
「私と結婚したいっていう話ですか?」
「そうだね」
「婚約解消を先日したばかりですよね?」
「そうだね」
「それで私と結婚したいって話ですか?」
「そう」
私は頬をつねってみる。痛い。夢ではないようだ。
「意味が分からないんですけど」
「結婚したいって簡単な話だよ」
「じゃあなぜ婚約解消したのですか?!」
私は声を荒げてしまう。
「婚約解消しないと殺すって殿下に脅されたから」
「はい?!」
私は突然の彼の言葉に大きく驚く。彼に動揺が見られない。
「殿下は君のことが好きでね。結婚するために、僕との婚約が邪魔だったみたい」
もうわけがわからない。
「じゃあ結婚するのはまずいでは?」
「そうだね、でも僕も君のこと好きだし、だから一緒にこの国から逃げようよ」
彼は散歩でも行くみたいに言う。もう耐えられない。
「嫌です」
「えっなんで?」
「なんでもなにもありません!この国から逃げ出してまであなたと結婚するわけないでしょ!」
私は言い放つ。彼がなぜか動揺している間にさらに今までため込んだものをぶちまける。
「なんか私があなたを好きみたいな感じありますけど。私はあなたを好きだったことは一度もありません。私の話聞かないし、意味がわからない行動多いし、勝手に私のこと決めるし、婚約解消できて幸せなんです」
彼は「噓でしょ?」と問うてくる。彼は絶望したような表情であった。
「嘘じゃないです、さっさと帰ってください」
私はその場を去る。彼は何も言わなかった。
しばらくして、私の部屋の窓にペガサスが現れました。それには、殿下が乗っていました。私が対応すると、殿下は求婚というか結婚が決まったと言ってきました。私は丁重に結婚をお断りしました。殿下は激怒して去っていきました。家のためを思えば、お断りするべきではなかったです。でも、開口一番の言葉がひどすぎました。
『来てやった、俺との結婚なんて嬉しいだろ』です。私が望んでいるとでも言いたげな言葉です。申し訳ないのですが、前の婚約者と同じ匂いがします。耐えきれません。
私は家族に謝りました。家族は怒ることはなく、憐れんでくれました。ですが、家の体裁のために私を修道院に送ることになりました。家族は嫌そうでしたが、私は喜んでいきました。だって、今後も結婚に関してはろくなことがないと思ったからです。私は修道院に喜んで向かいました。
修道院では、今度は別のトラブルに巻き込まれることになるとは思いもしませんでしたけどね…




