表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

第一話:入学式の時点で既に異彩を放つキラキラネームの子が2人いるそうです。

体育館の空気は、春の花の香りと少しだけ緊張を含んだ静けさに包まれていた。

入学式が始まる数分前、新入生たちはぞろぞろと指定の席に座っていく。


その中、ぽつんと目を引く存在があった。


前髪の下からのぞく、黒い眼帯。

ロングスカートに黒いネクタイ。

黒くて大きな目をして、じっと何かを考えているような――けれど何も考えていないような顔。

天羽鈴愛あもうぷりずむは、列から少し離れた席に静かに座っていた。

周囲の目線にも反応は薄く、まるでその場に「いてもいない」ような雰囲気を纏っている。


一方、彼女の斜め前の席には、制服の袖が手の先までたっぷりと垂れた少女がいた。

ミニスカートの裾が座るたびにずり上がるのも気にせず、脚をだらしなく投げ出すように座っている。


輝焔舞雷(きらえんぶらいと)

黒髪に金メッシュ。黒と金と銀のネイルが光を反射してきらりと光る。

ぼんやりと天井を見ながら、口元だけが小さく「だる」と動いた。


そして――少し離れた列、普通の姿で、普通に真面目そうに座っている

天使天使あまつかのえる

黒髪ストレートに清潔な制服、きちんとした姿勢。

だが、その瞳はちらちらと前方の「ヤバそうな二人」を見ては、視線をそらしていた。


(……やば……すごいのいる……)


心の中でそう呟きつつ、天使のえるは優しく息をついた。


(別に悪い子じゃないのかもしれないし……でも巻き込まれたくないなぁ)


周りの生徒もちらちらと鈴愛ぷりずむ舞雷ぶらいとを見ては、目を合わせないようにしていた。


そして、校長が壇上に立ち、入学式が静かに始まった。

校長は壇上でゆっくりと口を開いた。


「新入生の皆さん、本日はご入学おめでとうございます。これからの三年間、勉強や部活動、さまざまなことに挑戦し、充実した中学校生活を送ってください。清風中学校は校則を守り、互いに尊重し合うことを大切にしています。」


鈴愛ぷりずむは黒い眼帯の下で半ばぼんやりと校長の言葉を聞いていた。

(ふうん、そうなんだ)


舞雷ぶらいとは腕を組み、天井の照明を見上げながら小さく舌打ちをした。

(うるせぇな)


一方、のえるは少し前のめりに座り、真剣な表情で話を聞いていた。


校長の話が終わると、生徒たちはざわつきながら席を立ち、体育館の出口へ向かう。


「一年一組の生徒は廊下で待ってください。」


先生たちの声が響く中、鈴愛と舞雷だけは動かなかった。


数秒の沈黙の後、女性教師が近づいてきて静かに声をかける。


「天羽さん、輝焔さん、少し残ってもらえますか?」


ふたりは何も言わずにうなずき、体育館の隅へと歩いていった。


教師たちが待ち構えるその場所で、校則違反についての話が始まる。


「制服の改造や髪の色など、校則は守らなければなりません。皆さんの安全と秩序を守るためです。制服の改造や髪の色について、反省はしていますか?」


鈴愛はふわりと視線を宙に泳がせ、ぼんやりとした声で答えた。


「はい、反省してまーす。」


舞雷も同じく、少しあざとく声を張って、


「うん、反省してまーす。」


教師たちはそれを信じているようには見えなかったが、一応うなずく。


しかし、鈴愛の心の中は全く違った。


(別に反省なんてしてないし、校則なんて変えるつもりもない。だって、あたしはあたしだし。)


舞雷も同様だった。


(うるさいだけ。こっちのやりたいようにやるだけ。)


表面上は態度を取り繕いながら、二人の目はどこか冷めていて、反省の色は微塵も感じられなかった。

一方、離れた場所から、体育館の隅で話す鈴愛と舞雷の姿を見ていた天使は、少し心配そうに眉を寄せた。

(あの二人、表向きは反省してるって言ってるけど、本当はそうじゃないんだろうな……)

「校則を守らなきゃいけないのはわかるし、これからの学校生活はきっと大変だよね。」


天使は自分に言い聞かせるように、小さくため息をついた。

(私も巻き込まれたくないけど、なんだか気になってしまう……)


彼女は視線をそらし、静かにその場を離れた。

初投稿です!これからゆっくりと続きを書いていきます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ