「私のどこが好きなの?」と聞かれたからめっちゃ好きな点をあげたら、恥ずかしがりながら機嫌を直すちょろかわ同棲彼女とイチャイチャするだけの話
「ただいま〜……ってまだ寝てたの?」
ドアが開く音と同時に同棲している彼女の寝音愛紀の声で俺、赤凪裕は目を覚ます。
「そのうち休日だけどやることないから部屋の掃除して満足して昼ビールするようになった裕くんとか、いやだよ」
「さ、流石にそんなことないはずだから……」
本当にありそうな未来予想やめてくれ!
不安になっちゃうだろ。
「——あっ、ふと気になったんだけどさ、裕くんって私のどこが好きなの?」
昼寝から目覚めたばかりの頭には衝撃的な質問だ。
浮気はしてないから不安に感じる要素もないはずだけど……誰かになにか言われたのかな?
「いきなりそんなこと聞いて、どうしたんだ?」
「だって友達が……『たまに聞かないと彼氏くんに逃げられるよ?』って言ってたから……」
やっぱり誰かの影響を受けたのか。
愛紀は変な宗教にハマっていないのが不思議なくらいちょろい。
ベストオブちょろいで賞を受賞する日も近いかもしれない。
なんなら俺が受賞させるわ!
そんなバカなことを考えていると、不安そうな顔を覗かせてきた。
「それで、私のどこが好きなの?」
好きなところか。
てっきり普段の様子から伝わっていると思ってたんだが、これは理解らせるしかないようだ。
「まず、ご飯を美味しそうに食べるところ、寝顔が可愛いところでしょ」
「ふみゅぅ……寝顔なんてそんな、恥ずかしいよ」
照れて顔を赤くしたようだけど、一度その気にさせたのは愛紀の方だ。
「それから、俺にできない家事をやってくれるところとキスするときに毎回息を止めちゃうところでしょ、あとは……たくさんありすぎ困るな!」
「っもう終わり!! 裕くんが私のこと大好きってわかったから中止!!」
「そうだ、冷蔵庫に好物のプリン入れてあるから食べていいぞ。2個あるけど日頃のお礼だし遠慮しなくていいから」
本当なら夜に一緒に食べようと思ってたんだが、こうなったら仕方ない。
「って事は牛乳プリン!? ありがと裕君大好き!」
ここまでいい反応をされると買ってきてよかったと思う。
「……あれ、裕君は食べなくて良いの?」
「俺はいいよ。今あんまり腹減ってないしな」
「さっきまでずっと寝てたのにお腹空いてないんだね」
まあ本当は減ってるんだが、心が満たされたのでなんの問題もない。
「でも、私は一緒に食べたいな……あ、今食べてくれるなら『あ~ん』してあげるけど……どうかな?」
なんて魅力的な提案なんだ……。
しかし、俺は男として鋼の意志を貫き通さなければいけない。
「はい、あ~ん」
――男って弱いんだな……
「……ふふっ、最初から素直になればいいのに。私は好きだけど変に意地を張るのは悪い癖だよ?」
そもそも勝てないことは昔から分かっている。
元より愛紀に甘えさせて貰えるタイミングを逃すなんて俺には出来ない!
「どう? おいしいでしょ」
「ひとりで食べるより5000兆倍うまい」
「それは大袈裟でしょ、いいすぎ」
そう言いつつも、満更でない彼女の様子に余計に満たされていく。
――でも、そんな幸せな時間も食べ終わったら残念なことに終わってしまう。
「裕くん……」
今にも消え入りそうな声と寂しげな表情を浮かべて突然抱きついてくる。
「いきなりどうした?」
「裕くんがいないとなにも楽しくなかった」
愛紀の言葉の節々からいつもより依存されているような、そんな雰囲気に思わず口角が上がってしまう。
……それに、俺も愛紀と同じ気持ちだし。
なんなら一緒に過ごしたくて2日の休みも取った。
「明日デートに行こう。久しぶりだしいいだろ?」
「え、いいの!? それなら私水族館行きたい!」
「……でもペンギンだけに夢中になるなよ?」
前に行ったときなんか意地でもペンギンの前から動く気配がなかった。
でもまあ、それを眺めて癒やされてたからいいんだけども。
そもそも明日水族館やってたっけ? いや、そんな事はどうでもいいか。
だって今はこのふたりだけのゆったりとした時間を精一杯満喫しないと勿体無い。
どうせ後のことは後の俺がなんとかしてくれる。
「口が砂糖まみれになるわ!」「お前らもう結婚しろよ」
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