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勇者パーティに裏切られ死に追いやられた劣等騎士、精霊の姫に拾われ《最強》騎士に覚醒する  作者: とんこつ毬藻・銀翼のぞみ
第三章 火の勇者 激突編
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四十四.ポポロンとリーズ、二人の勇者

「レイ様、どうして手前に降りたんですか?」


「ルシアの提案だよ。結界を破ったあと、城の上空を飛んだなら、ただでさえ狙われるからな」


「あ、そういうことなんですね~。流石ルシアさん、レイ様」


 レイ達が降り立った場所は、城より手前、枯れ木に囲まれた森の中だった。それは敵による攻撃を警戒しての事であった。


 銀色鷲はただでさえ目立つ。幾らレイが強く、リーズとポポロンが勇者であっても油断は出来ない。此処は魔族長の拠点。どんな罠や魔物が待ち受けているか分からないのだ。


【私の闇闘気(ルーンオーラ)を追ったから、だいたいの居場所は分かるわ。どうやら城の何処かに人間の国とを繋ぐ転移用の魔法陣があるようね】


 城へ入ってしまえば魔族長の居場所は分かる。あとは、そこへ向かうのみ。


「いよいよボクが活躍する番だね」


「ふふふ、私が居るから出番はないかもよ、ポポロン?」


 土の勇者――ドワーフのポポロンと風の勇者――兎耳族(バニー)のリーズ。二人共、強敵との戦いを前にやる気になっている。頭へゴーグルを乗せた褐色肌のドワーフは身長の半分はあろうかという巨大なハンマーを手に抱えていた。


「大変です、レイ様。向こうに魔物がたくさん居ます。まだこちらには気づいていないようですが……」


 エルフのアンは眼と耳がいい。いち早く魔物を察知したアンの報告により、ポポロンとリーズが口角をあげた。



 ◆◇◆


 肌を剥き出しにした棍棒を持った低等級(ローグレイド)の魔物――ゴブリンの集団。


 中には魔法スキルを身につけた中等級(ミドルグレイド)のゴブリンメイジや剣を扱えるゴブリンリーダーらしき魔物も見えたのだが、突如現れた二人の勇者の相手ではなかった。


「【土属性スキル】――土隆催采(どりゅうさいさい)だよっ!」


 ゴブリン達にとってそれは悲劇であった。ポポロンが巨大なハンマーで地面を叩きつけた瞬間、隆起した土が尖った刃となり、ゴブリン達の体躯を穿ち、吹き飛ばしていく。


 ゴブリンが敵の襲撃に気づいた時には、勇者達による次の一手、風刃が眼前に迫っていた。


「「カザミドリ・序――風黄泉乃太刀(かぜよみのたち)


「グ、グギャァアア!」


 次々と引き裂かれていく体躯。低等級も中等級も関係ない。その程度の相手で気後れするような二人ではないのだ。やがて、ゴブリン達が攻撃する隙すら与えず、地形が変わった魔の大地に、魔物の死体が山積みとなっていた。


「レイ様、私達の出番は……」


「なかったな。まぁ、此処からだろう」


 苦笑するアンとレイ。リーズ、ポポロンのコンビを前にし、赤銅色の大地を進むと、見上げる程の巨漢が行く手を阻むかのように闊歩していた。ランクにして銀等級(シルバーランク)、三メートル級の魔物――トロール。それも十体近く。


 その巨漢を見て明らかな嫌悪感を示したのは、誰であろう、アンだった。


「リーズさん、ポポロンさん。私も手伝います!」


 そう、レイと出逢った時、アンを襲った魔物がトロールだったのだ。あの時は足が竦んで何も出来なかった彼女も、数々の戦いを経て成長していた。


 ――わたしたちは 立ち上がる

 いま、このとき 希望のために 

 闇に押し潰されそうなときも

 暗くて前が見えなくとも

 どこかでまたいのちが生まれ落ちる


 わたしたちは 希望ともに

 今日も勇気の剣を振るう 


 アンが紡ぐ言葉が旋律を奏で、淡い光が、レイ達を包み込む。温かい希望の旋律は勇気の(うた)。勇気の光に包まれた瞬間、ドワーフとバニーが武器を構える。


「いいねいいね、アンちゃん! 力が漲ってくるよ!」


「よし、これなら一気に殲滅出来るな」


 二人の勇者が武器を構え、トロールがこちらへ向かって来た時、ポポロンは大地を叩き、リーズはその場から姿を消した。


「【土属性スキル】――岩盤無尽弾(がんばんむじんだん)!」


「【風属性スキル】――瞬転(しゅんてん)旋風(はやて)!」


 ポポロンが放った巨大な岩盤は土闘気(アースオーラ)が籠められていた。トロールの巨大な体躯に孔があき、次々に倒れていく。


 リーズがトロールの背後に姿を現した時には、トロールの分厚い体躯は三枚おろしとなっていた。スピードに特化した彼女の動きは何者にも捉える事は出来ないのだ。彼女は風となり、鋭く研ぎ澄まされた大太刀によって、トロールの身体を斬り裂いていく。


 二人の勇者によってトロールはあっという間に殲滅されるのであった。


「やったね、リーズ」


「ああ。ポポロン」


 ハイタッチを交わす二人の勇者。

 どうやら彼女達には死角がないようだ。


「――あらー、好き勝手やってくれているじゃない?」


 その時、高台となった城の手前、赤髪の女悪魔がレイ達の前に現れる。


【レイ、上級悪魔よ。気をつけて】

『ああ』


「魔族長の側近か? 私は風の勇者リーズ。あんたのボスへ逢いに来た、そこを通してもらおうか?」 


 遠くへ居る女悪魔へ声をかけるリーズ。


「へぇ~。あなたがあの風の勇者。でも、ブネリ様はあなたに用はないようよ? 用事があるのはそこの君、銀髪少年君よ」


 指を指された事で前へ出るレイ。


「成程、こっちの動きは筒抜けって事か。魔族長の名はブネリって言うんだな。俺はレイ。あんたのボスへ今から倒しに行くと伝えるといい」


「へぇ~。威勢だけはいいみたいねぇ~。でも、残念だけど、あなたたちの命は此処で尽きるのよ?」


 女悪魔が頭上へ手を翳した瞬間、レイと女悪魔の間、赤銅色の大地へ激しい稲妻が落ちる。すると、今まで何も居なかった場所に竜の頭をした鎧を身につけた騎士が出現する。


「わたしは魔族長ブネリ様の側近グレモリー。城へ来たければ、そこに居る千体の竜騎兵(・・・・・・)を倒してご覧なさい。じゃあね~」


 グレモリーはそう言い残し、城へと戻っていく。千体の竜騎兵がたった四人の獲物を前に、剣を構える。



「さて、そろそろ俺の出番のようだな」


 アン達を後方へ下げ、一人皆の前へ立ったレイは、漆黒の魔剣を頭上へと掲げるのだった。

 魔の大陸にて、レイによる殲滅無双が遂に始まる―― 


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― 新着の感想 ―
[気になる点] はたして、グレモリーちゃんは勇者側の実力を判っていないのか…それとも、判ってて出たのか? [一言] 何にしても…御愁傷様☆ですね(笑)
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