ポンコツ賢者にもふもふおっさんにされちゃいました
『小説家になろうラジオ』で巽さんが仰っていた「もふもふおっさん」をキーワードに書いてみました。
キャラ名もパーソナリティのお二人から拝借しています。
「違う! そうじゃない!」
俺は思わず大声を上げてしまった。
「え~。だって、すごい羨ましそうに見てたから」
こんな言い訳をするのはポンコツ賢者ことミータツ。
魔法の腕前に関しては俺も認めているが、どうにもその使い方が下手くそすぎる。
「俺が見てたのはおっぱい! 毛がふわふわもふもふしてるウサギじゃないから!」
そう、俺が羨ましそうに凝視していたのは、おっぱいを体全体で受け止めるウサギだ。
「じゃあノシモはおっぱいになりたかったの?」
「うっ……そう言われると……」
確かにウサギが羨ましいと思った。だが、それはあくまでおっぱいが乗っていたからだ。
「だからって俺をもふもふにすることはないだろ! こんなもふもふのおっさん、全てのおっぱいが逃げ出すよ!」
「そう? 私は可愛いと思うけど」
「はいはい。ありがとう。さ、早く元の姿に戻してくれ」
「うーん。どうしようかな~?」
マズい。ポンコツ賢者にマウントを取られている。
「ミータツ様はすごいよなー! 一瞬で俺をもふもふにできるんだから。魔法を使わせたら世界一だ」
「ノシモ、こっちにおいで」
俺のヨイショをものともしないミータツは不敵な笑みを浮かべて手招きをする。
下手に逆らえばどんな魔法を使われるか分からない。大人しくミータツにもふもふの体を委ねる。
「我ながらうまくいったわ。この手触り、永遠に触っていられる」
「さすがミータツ様です。でも、こんなおっさんより、ウサギをもふった方が良いんじゃないでしょうか?」
「私はウサギよりノシモが好きなの。それじゃダメ?」
「……ダメじゃないです」
「もう他の女を見たりしない?」
「それは……男の本能というか、なんというか」
もにゅん♪
顔全体に優しくて柔らかい感触が広がった。
「これじゃあ足りない?」
頭を胸に押し付けられているので何も言えない。そういう事にしといてくれ。
「ねえねえ、私のおっぱいどうだった?」
胸から解放された俺は答える。
「好きだよ」
「ホント!?」
「ああ、おっぱいがな」
「むぅ~! ノシモのバカ!」
ミータツはほっぺを膨らませる。この姿がまた可愛い。
あ~あ、しばらくこのままだろうな。だけど、不満はない。
奴隷時代の不名誉なタトゥーが毛で隠れたから。
遠回りなやり方もポンコツ賢者なりの優しさなんだろう。好きだよ、ミータツ。