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 全部嘘だったら良かったのに。


 そう思いつつ、僕は重い扉を開けた。

 突如訪れた人類大忘却。人類の実に8割が一斉に記憶を失ったあの日から5年が経過した今日。

僕ら兄妹は母の病室を訪ねていた。


食べるはずもないお見舞いの桃をテーブルに置きながら、折り紙をする母をただ見つめていた。


「……あなたは誰?」


そう言う母の顔を僕はただ見つめていることしかできなかった。


その日はなんて事のない暑い夏の日だった。


中学二年生になる妹はバスケットール部の朝練の為

僕より1時間前には朝食を食べていた。



「……ごめんなさい、死んで……」



妹はそう言うと無言でナイフを取った。


それからだった。

僕らの人生が狂い出したのは。



妹がこの世を去ったのは





夏の暑い日だった。


煩い蝉の鳴声で、

目を覚ましたあの日。



「…………もう朝か……」



僕は重たい布団を抱きかかえるように捨てて夏の匂いをかき消すように息を吐き出した。


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