行ってくる
第1作目です!未熟ですがよろしくお願いします!どんな感想でも待ってます!これからどんどん書いていこうと思いますのでぜひ見ていってください!!
「暇。」
とある建物の一室に構えている事務所。椅子に座りながら俺らの会話は始まった。
「雅夜んとこでも行ってこい」
「いいからお前が構え」
「え?構えって、こうか?」
そう言って彼は胸の前に拳を作ってポージングをした。
「空手の構えじゃねぇよ!」
「よしっ!ナイスツッコミだ!」
と言ってにこにこ笑っている。そして彼は首を少し傾けながら続けた。
「空手の構えじゃないなら何の構えをすればいいんだ?」
「だから構えってそうじゃなくて!!その、えっと……構って、の方だ」
「……!!!大樹って……えっ、男の人好きだったのねっ…頑張って!応援するよ…!」
「睦記にだけは応援されたくないわ!てかそんなわけねぇだろバカ野郎!俺のどこがゲイってんだ!?」
「大樹を構成する細胞」
「……意味わかんねぇよ!」
「ふっ!引っかかったな!!怒りで我を忘れてまた勝てなかったなぁ!!」
この2人は会話をしているように見えてしりとりをしていたのだ。この『会話しりとり』なるものは、ほぼ睦記が勝つのだが大樹はなぜか諦めず何度も勝負を挑んでくる。
「んあああぁぁあぁ!!!!!くっそぉまた負けた………ちょーくやし、この短気を治さないと勝てないか……。てか我は忘れてねぇよ!大げさにするな!」
「それで?また負けたわけだけど〜……じゃあ今回も罰ゲームで──」
「ま、まって!!罰ゲームは嫌だ!何か他のことに……。奢るとか……?」
いつもは女装やうさ耳、猫耳つけて街を歩かせる、という軽い拷問のような状態になっていたが、今回はそういうわけではないらしい。
「ん〜、よし。じゃあ奢らなくていいから、代わりに異世界からネックレス取ってきてほしい。俺の持ってない型のやつ」
「お、了解だ」
この世界には現実世界と異世界が存在する。基本的には人々は現実世界で生活しているが、外出や遊びと言って異世界に行くことはよくある。異世界への行き方は個人によって違うので決めつけることは出来ないが、睦記と大樹はよく使われるスタンダードな行き方で行く。その方法は後に説明しよう。そうして睦記は自分のポケットやバッグの中からネックレスを机の上に広げた。十字型や丸型、クネクネに曲がったユニークな形の物まである。ネックレスはつけると能力が使えるようになったり、身体強化がされたり、と効果はほぼ無限にある。ネックレスの他にもブレスレット型や指輪型など、種類もたくさんある。
「本当にめっちゃあるなぁ〜…変な能力のやつまであるんだよな」
「これとか超おもろいよ、見ててみ」
そう言って睦記は真ん中に丸い穴のある三角ネックレスをつけると両腕を前に伸ばし手のひらを広げて下に向けた。
しばらくの沈黙。
「………何も起こらなくね?」
「まぁ見てな」
そう言ってから約3秒後、睦記は手のひらを上に向けた。すると手のひらに何か模様が出来ている。
「お、おぉ……手のひらに顔が出来てる…こ、これなんだよ……」
「えっとね、手のひらの指紋とかシワを移動させて色んなことが出来るんだよ。脳内で想像出来る範囲なら何でもね。」
「…それ、役に立たなくないか」
「子どもとか笑わせるのに使える」
「平和だなあ……」
「あと一部に集めて尖らせて凶器にすることも出来る」
「野蛮だなあ……」
「って感じで何かには役立つわけですよ」
そう言って睦記はネックレスを外した。
「お、手のシワ戻った」
「外したら効果消えちゃうからね」
「え、じゃあ敵とかに外されたら終わりじゃん」
「まぁね、外されたことないけどね」
そうして大樹は「んじゃ行ってくる」と言って肩掛けバッグを持ってドアを開けて出て行った。
「ほいほーい」
それから数秒後、すぐにドアが開いた。
「ちょっとまって忘れものした」
と言ってチョコを持っていった。
「チョコのためだけに戻ってきたのかよ」
「チョコは大事なんだよ!その……美味しい!じゃあな!!」
ドアを乱暴に開けて出て行った。
「……忙しいやつだなあ」
────────────────────────────
大樹は異世界へ行く為にある場所へ足を運んでいた。その場所には『異世界交流道』と呼ばれる異世界へ繋がる道がありそこは周りの景色も道は縦線模様がところどころ見えるが道自体は真っ白、まるで霧がかかったような空間だ。
「……行くか」
そう呟いてから、目を閉じた。異世界交流道は異世界へ行く専用の道なので幅は約30mといったところだろうか、とにかく広い。歩いてる途中に横に逸れても特に問題はないが真っ直ぐの方が異世界に着きやすい。そしてこの道には簡易魔法がかけられているので目を閉じて地面を踏む度に脳内に「シャン…」と言った綺麗な音が流れ込んでくる。場所によって音が違うので真っ直ぐ歩くのは難しいことではない。ただいくつか条件があり、
1.目を瞑る。
2.屈んでから思いっ切り真上にジャンプする。
3.足に感覚を集中させる。
4.その状態のまま歩く。
この四つを行うことで歩いているうちにだんだん「シャン…」と言った音が消えていき草むらを踏む音に変わると異世界に着いたということになる。
そして大樹は今目を閉じた段階だ。そのまま屈んで大きくジャンプした。大樹は主に足を使って戦闘を行うため足の筋力は見た目はそんなでもないがかなりのものだ。きっと足の使い方が上手いのだろう。そして膝をクッションに使って着地。そのままゆっくり背を伸ばして足に感覚を集中させる。
大樹はゆっくり歩き出した。
読んでいただきありがとうございました!!第1作目では戦闘はありませんでしたが次から戦闘します多分…wもし気に入っていただけたなら今後も読んでいただけると嬉しいです!