【第一章3月】二話君は誰?
「君は弱くなってしまったね。」
「……誰だ…」
相手の顔は黒くぼやけていてよく見えない。
「弱くなった、か……君に関係あるの?」
「あるからこう言っているんだ。」
その言葉に少し腹を立たせる。僕が腹を立たせることなんて珍しいけど、何かが『怒れ』とささやく。
「君に何がわかる?僕の何がわかるんだ?」
「何も分からないよ大切な人に迷惑かけてまで自
身の心の弱さからの行動を起こす…馬鹿らしい
と思うね。」
僕の中の何かが切れた。
「……うるさい黙れ……何もわからないお前にそん
な事いう権利はない。
今の僕は昔より弱くなった。
そうだ何か悪いか?」
その途端あいつは笑い出す滑稽だとでも言うように。
「ハハッ、昔の君が強かった?ありえないね。
強かったら〝彼女〟を守れてただろう……?」
「………………………………」
「ちょ…………と!春……………!春樹!」
「う…………ん?」
「あ!起きたぁ……よかった…。」
「え……姉ちゃん……。」
「あんた大丈夫なの!?庭で気絶してたのよ!?」
「春樹、目ー覚めた知春?」
「うん。春樹今日は休みな。」
「わかった………。」
今でも考えてしまう。
昔の僕は弱かった……その言葉の意味がわからない。中学生までは自身に溢れ、友人も多かった。
彼は誰なんだろう?そんな疑問を抱え僕は眠りについた。