表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

FILE5; 戸惑う歯車

「今現在確認されているのは四人のExclude Childrenで久慈来夏、宮戸真紀菜、佐納文香、そして昨日確認した田淵真理。今までの被害者は5人でExclude Childrenの傾向で見ると、今確認されているExclude Childrenはもう殺人はしない。だがまだ確認されていない子供が3人。宮戸真紀菜が言うには『真央』と『優喜』と言っていた。現在の状態では情報は少ない。だがこのまま見過ごすわけにもいかない。各自警戒を怠るな!」


捜査本部で集まった刑事たちに樋上が激を飛ばす。刑事たちは銃の手入れをし、各自受け取った資料を基に捜査に行った。

一方樋上は『真央』と言う少年を探すべく今から街中を駆け巡るらしい。

そんな矢先。


「樋上くん。」


振り向くとそこには対策本部長。


「今回の事件、これ以上事件が起こると君の進退に関わる。どうか気をつけてくれ。」


本部長も樋上のことを心配しているのはわかる。だが今の状況ではそんな言葉は何の意味も無い事は明白であった。

樋上は無言で敬礼をし、そのまま出て行った。














場所は真央の家。

今日は珍しく朝がうるさかった。

ジャージ姿の来夏が2階から起きてくる。

「あれっ?真央。学校行くのか。」

寝ぼけ眼の前には制服を来て口に食パンを加えた真央が立っていた。


「うん。僕は一応学生だし、これ以上休むわけにはいかないよ。」

真央は来夏にそう返答する。

「・・・・・・おまえ、ネコ被るの得意なんだな・・・」





「そんな事はない。これでも結構疲れるんだよ、こっちは」

来夏に口調のことを指摘されると急に凛々しい口調に変わる。真央は学校では大人しい学生を演じているのだ。

シナリオ的には体が弱く運動が苦手、だがそれを補う知力があると言う感じだ。


「まあ、俺は外には出られないからな。真紀菜と真理でも見てるよ。」

「ああ、頼んだぞ。来夏」



真央は来夏に家を任せ家を出る。玄関から出た真央の顔はすでに弱々しい少年の物であった。












樋上は街中を駆け巡り『真央』と言う少年を探していた。確かに今までのことを考えると偽名の可能性もある。しかし情報が少ない今、少しの情報をどれだけ有効に使うかが試されてくる。

まず樋上は『真央』という少年のデータをまとめる。真紀菜から聞き出した情報は四つ。

まず『真央』は少年と言う事。と言う事は歳は中高生と限られてくる。

二つ目はExclude Childrenの実行部隊の中心的な存在。つまり頭脳派と言う事になる。

三つ目はもう一人殺している。事件の中で容疑者がわれて居ないのは榊原一之介だけ、と言う事は榊原高校に通っていた。もしくは通っている可能性が高い。

そして最後は慎重な性格。つまりここ一週間の出来事で3日ほど休んでいる。と推測できる。


この考えを踏まえると最初に向かう場所は榊原高校と言う訳だ。


早速樋上は理事長に会いに行き生徒名簿を借りた。そしてその中にあった『真央』は一人だけ・・・・・・


「この天竜寺真央君と言う子はどう言う子ですか?」


「ああ、その子でしたら少し病弱で休みがちですがとても賢い子で生徒の模範のような子です。」


「・・・・・・つかぬ事お聞きしますがこの少年はここ一週間休んでいましたか?」

聞くと理事長は出席届けを持ち出し調べる。

「ああ、確かにえーと・・・・・・ああ、久慈翔太君が失踪した次の日から昨日まで休んでいますね。」


―――来夏が失踪してから昨日まで・・・・・・


「ありがとうございました。あの、昼休み天竜寺真央君に会わせて頂いてもよろしいですか?」


その申し出に理事長は快く応じてくれた。


樋上は理事長室を出ると懐に入っている銃を改めて確認した・・・・・・












「始めまして、天竜寺真央です。・・・・・・あの何で校舎裏なんかに?」


昼休み、理事長に頼んで真央を呼び出してもらった場所は校舎裏。ここなら滅多な事では人は来ない。

真央は少し怯えているようであった。


「私はExclude Childrenの捜査本部に居ると言う事は噂で聞いているね?」

「はい、久慈翔太君の事件が噂になってますのでそれで少しは・・・・・・」


樋上の質問に真央は一つ一つ丁寧に答えていく。

「突然だが家族構成は?」


「母が一人、妹が一人。だけど今は一人暮らしをしています。」

「わかったじゃあ、今日学校が終わったら君の家に言っていいかな?」

「えっ?」


真央の口から声が漏れる。



―――食い付いたか!?



樋上はこう睨んでいた。この少年が真紀菜が言っていた『真央』でこの少年の家には今他のExclude Childrenが全員いると。

理事長に頼んだ後不動産屋に行き天竜寺真央の家を見させてもらった。

天竜寺と言うのは珍しい苗字でもあったため簡単に見つけることが出来た。

大きさは一戸建てで3階まであり一人で住むには大きすぎるぐらいだ。しかも家は学校から10km近くありそんな場所から学校に通うことは考えにくい。

その理由は家にあまり人を近づけたくなかったのであろう。

もしこの後真央が家に電話をしてExclude Childrenを逃がすような事があれば真央の家に向かわせた刑事が捕まえる。

逆に家に残しておけば確認が済みしだい天竜寺真央を盾に家から出て一気にカタを付ける。

樋上の作戦は完璧に近かった。



―――この刑事。やはり俺の事に気がついてるのか?


2人の考えが交差する。




「いいですよ。僕は家に帰ったら暇なだけですし話ぐらいなら喜んで付き合います。」


「わかった。それじゃあ放課後校門の前で待ってるから。」


「はい、それでは後ほど。」


そう言い二人は別れた












放課後。真央は約束通り樋上と待ち合わせ家に向かっていた。

10km以上ある家まで着くには道が開いていれば20分ほどで着くであろう。


「刑事さん。」


突如、真央の口が開く。

「今の日本を如何考えますか?」


「難しい質問だな。だが刑事として見ると今の日本は荒んでいると思うよ。」


「・・・・・・僕は父親の顔をほとんど覚えていません。母が言うにはとても嫌な奴だったそうです。いつも暴力を振るわれながらも、幼い僕と妹を育ててくれました。なのにあの男は母が死にそうな時にギャンブルをやる為にと病院費を持っていってしまったんです。そして母は死んだ。そんな人が居るのに日本は荒んでいると言うたった一言の言葉で片付けられるはずが無い。」

真央の手が怒りで震えている。



「だけど、それが人を殺して言いということには繋がらない・・・・・・」


樋上の人と事でその手の動きも止まる。

真央は伏せていた顔を挙げ樋上を見る。


「どう言う事・・・・・・ですか?」

「いくら父親がそんなんでも殺して良い訳が無い。どんなに汚い男でも、殺人をしたら君も汚くなってしまうんだよ榊原真央さかきばらまお君」



「・・・・・・いつから・・・気付いていたんですか?」


「ついさっき、理事長に学校中の資料を集めてもらって君と校長のつながりを見つけたんだ。」


真央の顔が変わる。

「そうか、やっぱ学校なんてさっさと辞め解きゃ良かったかな?・・・・・・刑事さん、最後に聞く。『存在』って何だと思う?」


樋上は暫し考え、

「・・・・・・生きる事?かな。少しクサイかもしれないが、それが『存在』だと俺は思う。」



真央は再度顔を俯け、鞄から資料を取り出す。その資料を綺麗に分けて、確認していく。

「刑事さん、今何時?」


「4時丁度だ。」


「この先の国立病院の院長室。そこに遺体がある。警察を呼ばれる前に言った方が良い。何かと大変だからな。」


樋上はその言葉を聞いて思わずハンドルを切ってしまう。

慌てて戻し真央を横目で見る。


「国立病院の院長って確か。」


「手術ミスで告発されそうな奴。梶山淳平かじやまじゅんぺい。殺ったのは今から10分前犯人は梶山雛子かじやまひなこ。俺たちの最後の仲間だ。後これが今後のターゲット。話代ぐらいにはなるだろう。」


「話代っておま―――!!」



樋上が横を向くと真央はシートベルトを取りドアをあけていた。そして


「止められるんなら止めてみろ。俺たちは『存在』を手に入れる。」


飛び降りた。




慌ててブレーキを踏む樋上。車から出て辺りを見回したときにはもうそこには真央の姿は無かった。









迷う歯車。しかしそのまま回り続ける。逆方向に・・・・・・・・・



自分で書いてると何かネタばれクサイです。

まあ気にしないで書こう。 

多分後二〜三話だと思います。。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ