表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

FILE2; 黒い歯車

榊原一之助が殺害されてから一週間が経とうとしていた。今世間ではExclude Childrenの事で持ちきりであった。

警察に暗号文が送られた次の日にマスコミに流されたのが原因であった。

そして一週間の間に殺された人数は榊原を入れて4人。どの死体も頭を一発で打ち抜かれており、現場にはExclude Childrenと書かれた紙が落ちていた・・・・・・




「昨日で4人か。そろそろマスコミが本格的に騒ぎ出しそうですね。」


場所は警視庁、早朝の資料室。ここには過去の事件の資料や住民などの個人情報が収められている場所である。

そこにいるのは樋上とその部下。

樋上は相変わらず口にタバコをくわえパソコンを凝視していた。


「何を調べているんですか?」

「Exclude Childrenの手がかりを探してるんだよ。」

樋上はパソコンから目を離さずに答える。樋上この一週間警視庁に泊り込みで資料を集めていた。その理由はExclude Childrenと被害者の関係性。

この一週間の事件でわかっている事は三つ。


被害者は裏では密輸などの犯罪に関わっていた事。


加害者、つまりExclude Childrenは10歳から23歳の男女。


Exclude Childrenは組織の可能性が高く、構成人は40人強。


と言うことである。




ピー



パソコンから電子音が鳴る。

パソコンにはメールが出ており樋上はそれを開けた。

「来た!」


「何がですか?」

樋上の目の色が変わる。


「来たんだよ、手がかりが。前に話しただろ知り合いの教授の話。その教授に調べてもらったんだ、10歳までに死んだ子供の指紋をな。」


樋上がすぐさまその電子メールをコピーする。

この前みたいにハッキングされてパソコンを壊されない為であろう。

灰皿にタバコを押し付けて戸棚からファイルを引っ張り出す。ファイルの名前は死亡報告書。そうその名の通り亡くなった人の記録を記してあるファイルである。





「おい!一致したぞ。」


二時間後。捜査本部に樋上が飛び込んでくる。

死亡報告書の中から一致した指紋。8歳で死亡したことになっている。久慈来夏くじらいか。男で生きていれば現在16歳だ。


「だが、この少年は死んだはずじゃないのか?」

そう疑問をもらしたのは口ひげを生やした60代の対策本部長。

「じゃあ何故指紋が一致した?しかもこの少年の繋がりはこれだけじゃない。三人目の被害者は少年の父親だ。」


三人目の被害者の名前は久慈友昭くじともあき。銀行員で周りからも慕われていたらしいが、裏では業務上横領に関わっていたと言う黒い噂も合ったらしい。


「久慈来夏は今、久慈翔太と名乗り榊原高等学校に通っています。先ほど逮捕状も貰ってきました。」


樋上の右手には逮捕状が握られていた。

「あくまで久慈来夏は未成年なので名前までは出しませんがもう4人も殺されています。このまま野放しにしておくわけにはいけません。」


樋上のその一言に対策本部長は組んでいた腕を解いた。


「わかった。それでは樋上と千葉、坂本の三人はその榊原高校に行ってくれ、他の奴は樋上が集めた資料を基に他の指紋も解析してくれ。解散!」

本部長の言葉で部屋に集まっていた警官は全員慌しく動き出した。







「久慈。何か警察の人が話があるそうだぞ。」

クラスの奥に座って友達と話していた少年が入ってきた教師を見る。少年は黒い髪を肩ギリギリまで降ろしていて、結構整った顔をしていた。

周りの生徒も同様に来夏を心配そうに見る、が来夏自身は最初は不審な顔をするがすぐに立ち上がり教室を出て行き、警官が待っている応接室に向かって行った。




「久慈翔太くんだね。私は警視庁Exclude Children対策本部の樋上だ。こっちは千葉と坂本。」

樋上は警察手帳を見せてから隣にいる仲間の刑事を紹介する。そして隣の刑事も手帳を見せた後応接用のソファーに座る。

来夏もそれを見ると直ぐに座った。


「俺は別に悪いことを覚えはありませんよ。」

来夏は平然とした顔で三人の刑事を見る。その表情からはあせりは感じられない。むしろその様子は樋上には挑戦しているようにも見えた。

「Exclude Childrenっていうのは知っているね。」


来夏は、はいと頷いた。しかしそれ以上何も言わない。

「単刀直入に聞く。久慈翔太くん。君はExclude Childrenの一人じゃないのか?」


応接室が一瞬静かになる。三人の刑事は来夏の顔を見て息を飲む。

「・・・・・・」

来夏は答えない。黙り込んでしまった。しかしその顔にはあせりはない。

不意に来夏は組んでいた腕を解き口を開く。

「何で俺がそのExclude Childrenだと思うんですか?」

「現場に残されていた指紋を調べて君の指紋が一致したからだ。」


「その現場に俺が前にいたかもしれないじゃないですか。それにその被害者さんと俺との関係は何にも無いでしょう。」

樋上が唇を噛む。確かに指紋は現場に残されていた。しかしあくまで現場だ。久慈来夏がそこに来た事が無いという証拠は何処にも無かった。だかこの事件に久慈来夏が関わっているのは明白であった。だから樋上は証拠が足りていないのを承知で来夏を挑発して本心を引き出すつもりだったのだ。


「・・・・・・」

応接室が再度沈黙に包まれる。樋上の額には汗が滲み、一方来夏は平然とした顔で樋上の返答を待っている。

「じ、じゃあ質問を変えよう。君の名前は久慈翔太くんか?」

来夏の眉が微かに動く。

「はい、俺は久慈翔太。です」

来夏はそう断言した。


「そうか、それじゃあこれを見てくれるかな?」

樋上は自分の鞄から一枚の紙切れを取り出す。そこには早朝調べて打ち出したExclude Childrenの秘密。つまり『久慈来夏』と言う少年の情報。

来夏は樋上からその紙切れを見て目の色を変える。

「これは久慈来夏と言う少年の資料だ。ただしこの少年は9歳で病死と言う事になっている。だが今回現場にはこの久慈来夏の指紋があったんだ。そして久慈来夏は一昨日殺された久慈友昭の子供だ。」


樋上は来夏の手を掴み取り出したもう一枚の紙に指を押し付ける。

「これは指紋を取る為の紙でね。すぐに指紋が出てくる。」

樋上は出て来た指紋と『久慈来夏』の指紋を重ね合わせた。



結果は一致。



「これで君は久慈翔太ではなく久慈来夏と言うことが証明された。そして同時に君と被害者。久慈友昭の繋がりも出た。さあ如何する『久慈来夏』くん」


樋上が一致した紙を来夏の前に出す。

追い詰められた来夏の顔からは余裕の笑みはすでに消えていた。額から汗を垂らし、先ほどとは全く逆の立場に立っている。

とその時。



ピリリリリリリーーー



来夏の制服のポケットから携帯の電子音がする。

「あの・・・・・・出て良いですか?」

「ああ、手短にな。」


来夏は大きく深呼吸し、落ちついた所で携帯に出る。


「はい、久慈です。」

「――――だ。―――竜――から―――てから――――こい。」

耳に当てている携帯から僅かながら会話がもれてくる。しかし来夏は黙って聞いているだけなので何の話かはわからない。

来夏は最後にわかったと小さく言って、電話を切った。



「あの・・・・・・刑事さん。」

来夏はソファーに腰を掛けて頭をくしゃくしゃと掻く。

しばらく経つとその手も止まりやがて動かなくなる。

「お、おい大丈夫か。」

樋上の隣にいた千葉刑事が心配したのか、立ち上がり来夏の肩に触れる。


その刹那。


パンパンパン


乾いた3発の音が応接室に響く。樋上と坂本は一瞬何が起きたかわからなかった。しかしそれも千葉の悲鳴で気付く。


「千葉!!」


来夏は制服の袖からポケットピストルが出て来夏が千葉の身体に3発、発砲したのだ。

千葉が倒れたのを確認した来夏は直ぐに残り二人の刑事の方へ向く。

「クソッ!」

坂本が携帯していた銃で来夏を狙う。

しかし照準が合う前に乾いた音が4発。3発が坂本へ1発は樋上への牽制、そして坂本が倒れる。

なびく髪の間に見えた目は先ほどの弱々しい少年とは違い。それはまるで獣であった。

樋上は素早く横に飛び弾丸をかわす。そして銃を取り出して来夏に向ける。正直当てる自身は無かったが、向けなければ確実に殺される。頭で考える前に体が動いた。


パン


1発の銃声。撃ったのは来夏。しかし当たった場所は樋上の頭上にある花瓶。銃弾が当たった事により花瓶は音を立てて粉々になり樋上の上に落ちてきた。


「すみません刑事さん。俺はまだ捕まるわけには行かないんです。」


来夏の声が聞こえ樋上が声の方向へ向くと、来夏は窓の手すりに足を掛けて出て行った。

応接室は3階であった。普通ならこんな逃走手段は使わないであろう。しかし銃声を聞きつけた教師がもうじき来る。そう考えるとその判断が一番良策であったのではないか。



3階から飛び降りた来夏は地面に上手く着地し、そのまま走って逃げていった・・・・・・







来夏は学校を出た後近くの廃ビルに隠れ夜を待っていた。

来夏の息は荒く、目はもう普通の少年に戻っていた。


「来夏。うまく逃げてきたようだな。」


目の前に少年が現れる。茶髪をスラッと降ろした少年。見た目は良く美少年の部類に入るであろう。

来夏はその声に一瞬怯えたが直ぐに誰かとわかるとその怯えも止まる。

「優喜か。さっきの電話はおまえが天竜寺に言ったのか?」


「ああ、おまえは俺の監視下にいるからな。」


優喜と呼ばれた少年は薄く笑う。


「あの樋上とか言う刑事。俺たちの秘密に近づいてるみたいだ。本当に殺さなくて良かったのか?」


「データがあってもその本人が居なければ捕まえられないだろう。」


優喜は来夏に紙の束を投げ渡す。


「新しい家だ。夜になったら真央が迎えに来る。そのときまでここにいろ。」







そう言うと優喜は廃ビルの陰へと姿を消していった・・・・・・













黒い狂気に満ちた歯車は処分される事なくそのまあ逆回転で回り続けた・・・・・・



自分では結構この話は気に入っています。

飽きる前にさっさと完結させたいと思います。

予定ですが多分7話〜10話で完結だと思います。完結できるように頑張りますので見てください。。。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ