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予言の紅星2 予言の子  作者: 杵築しゅん
イツキ修業 編

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イツキの旅立ち

ー◇中 庭 リーズ◇ー

 季節は秋から晩秋へと向かい、本教会の中庭の花も、カラフルな色から、白や紫の落ち着いた色へと景色を変えていた。


 イツキちゃんとメルダちゃんはすっかり元気になり、お兄ちゃんのレイ君と仲良く遊んでいる。

 顔は似ていないけど、見ているだけで癒されると、本教会中(特に病院の看護学生及び看護師)で評判の3兄妹なのよね。


★レイ君 8歳

   さらさらの金髪に青い瞳。身長は普通。子爵家で育ったので上品な物腰。

   言葉遣いが丁寧。さわやか。吸い込まれそうな青い瞳が魅力。

   真面目。頭が良い!笑顔が最高!! ちょと痩せているのが心配・・・ 

   首に鐘の印あり(将来が約束されたも同然)

   守ってあげたいタイプ

   ☆苦い薬が苦手。ニンジンが苦手。


★イツキちゃん 3歳

   さらさらの黒髪。大きな黒い瞳。まつげが長い。超美形!

   可愛い声。可愛い話し方。誰にでも優しい。天才。

   質問が大好き。はっきり言って天使!可愛すぎ!!

   頑張っていると、頭をよしよししてくれる(神様ありがとう)

   見ているだけでも癒される。最近何故か抱っこ禁止令が出た・・・(涙)

   ☆何処でも寝てしまうので注意する。好き嫌いなし。


★メルダちゃん

   ゆるいカールの金髪、濃い緑の瞳。整った顔(きっと美人になる)

   この前まで声が出なかったけど、今はしゃべれる。可愛い声。

   歩き方が可愛い。笑顔を見ると自分も笑顔になれる。

   右手の甲にハートの印あり(ハートよハート!恋愛にご利益ありそう)

   この前、手を怪我して痛かったけど、メルダちゃんと手を繋いだら治った……

  (看護部長に他言禁止と釘を刺された。もしかして医療系能力?)

   ☆母親を亡くしたばかり。乳母のキヨさんと協力すること。


 3人の担当看護師になったリーズは、自分の手帳を見ながら、今日も幸せの熱い息をついていた。


「苦労して勉強して良かった!これからも全力で頑張らねば、このポジションは誰にも譲れない。そうよ!どんなに羨ましがられようと、妬まれようと、負けないわ!」


 中庭で仲良く遊んでいる、天使3人を見守りながら、任されている仕事を死守すべく、独り言を言いながら自分自身に渇を入れる。


 ブロンズの三つ編みに薄い茶色の瞳。身長は少し低め。何事も一生懸命にやる性格。ぱっと見可愛い看護師さんだが年齢は22歳。武術の心得があり、先日も不審者を一撃で倒していた。

 他の看護師が3人の天使担当になれないのは、武術の心得が無いことが一番の敗因だが、勉強も誰にも負けたことのないリーズである。


「ねえねえリーズ、どうして指は5本あるの?」


イツキちゃんが側に来て質問する。しまった!油断した・・・暇そうにしてると、イツキちゃんが質問しに来るんだった。きちんと答えられないと、看護部長に叱られちゃう。

 前にマーサ様が「忙しい人に質問してはダメ」だと、教育的指導をされてから、ぼんやりしている人を見付けると、こっそり近付き質問を始めるようになったんだった。


「それはですね・・・う~ん……5本という数が一番便利だからです」

「そーなんだ。便利なんだね」


そう言うと、走ってレイ君とメルダちゃんのところに行き、早速「便利だからだってー」と話している。

 こんな答えで良かったのかと、不安になりながらも、3人が可愛くてしょうがないリーズである。





ー◇リーバ様の執務室 ハビテ◇ー


リーバ様の執務室で、いつもの三聖(天聖・聖人・教聖)リーバ様、エルドラ様、ヨンテ様・マーサ様(ジーク様とイバス様は国外に出ている)と俺は、イツキとメルダの能力について意見を交わしていた。


「イツキの本来の能力のひとつは、《六聖人》の能力を開花させることではないでしょうか?」


俺はこの前から考えていたことを、全て話すことにした。


「実は昨日、イツキが俺にメルダの回りにも、七色の光が見えると言ったんです。それでその色は、イツキにしか見えないのかと思っていたら、俺にも視えることが分かりました。そしてレイの回りの七色も視えるようになりました」


「それでは、初めは視えなかったオーラの色が、イツキが本来の能力を開花させると、お前でも視えるようになると言うことなんだな?」


「はい、そうだと思います」俺はリーバ様の問いに、はっきりと答えた。


「そうか……それでイツキの旅なのか・・・」


リーバ様は急に下を向いて考え始め、何か小声で独り言を言う。そして少し大きな声で「うん、成る程」と言って一人で納得される。


 こういう様子の時のリーバ様は、透視による予知能力が発動しているか、《予言の書》に関わることを考えている時なので、回りの者は邪魔にならないよう、静かに待つことにしている。


「イツキについては、まだ他の能力も有りそうだが、ハビテの考えは納得出来るものがある」


うんうんと全員が頷いて、リーバ様に賛同する。


「次はメルダだが、ハビテが視たレモン色のオーラは、治癒能力で間違い無いだろう。看護部長からも、何件かケガが治った者の話を聞いた」

「そうなんですよリーバ様!実は私も腰の痛いのが治りました」

「何ですって!ヨンテ様ずるいですよ!」


マーサ様が立ち上がって抗議するが、勝ち誇った感のヨンテ様は「あー身体が軽い」とか言いながら、わざと体を動かして見せる。


「実は私も歯の痛みが治った」

「はーっ?リーバ様まで……」


マーサ様、恐い顔になってますよ。それにリーバ様もそんな自慢気に言わなくても・・・

 何なんだろうか・・・日頃は威厳と貫禄が有りすぎて、おそれ多い感じの人達なんだけど、イツキやレイやメルダのことになると、時々別人格になるような気がする。


「いい加減にしてください!それより大事なのは、治癒能力者だと世間に知れたら、それこそ大陸中から狙われますよ。体の弱った王族とか、金持ち商人とかが、放っておかないでしょう!」


 流石エルドラ様!と言いたいところだが、俺は知っている。イツキ達が回復した次の日、イントラ連合国からの帰路で痛めた膝を、メルダにさすって貰っていたのを・・・


「おほんっ。そうだな、その件についての対策は考えてある。その件も含めて、3人の行く末について、《予言の書》を解読してみた」


 そう言うと、リーバ様はいつもと違う顔をして《予言の書》の《六聖人》について、解ったことを告げるので、心して聞き、そしてそれぞれの責務を果たすようにと指示された。



★メルダについて

 その者、癒しの能力を持ち、多くの命を助け《癒しのリース(聖女)》となる。幼き頃より医術を学び、聖女が選びし者のみ光を与えるものなり。【青の聖堂】の守り人として知らしめよ


★レイについて

 その者、未来を予測し、広く指示を与える《予見のリース(聖人)》となる。教典を学び人を知る。古きを学びて未来を示す。全ての叡智と真実を学んで後、教え導く【リーバ(天聖)】となる


★イツキについて

 その者、真の仲間を探し出し、力を与えるために修業をする。国を知り人の欲を知る。正義と悪を心眼で見分ける《裁きのリース(聖人)》となる。国を繋ぎ、・・・を倒した時、大陸の・・・と・・・


「残念ながら、イツキの最後の部分は、まだ解読出来ない。《予言の書》の解読とは、一度で解るものと、時間の経過と共に解るものがある。視えない部分は、不確定な未来だったり、成し遂げられない場合が考えられる」


 リーバ様はまた少し考えられてから、「よし!指令を下す」と、いつもの澄み渡る声で言われた。

 俺達は、ピシッと姿勢を正して指令を受ける。


「マーサ、メルダの教育担当と武術指導を任せる。メルダが必要と思った時は能力を使うはずだから、その後、患者の口止めをするように」 

「はい、承知しました」


「エルドラとヨンテ、2人は二手に別れて、私からの報せを各国のトップに渡すように。そして、重要な仕事を任せる。各国を回りながら、【ギラ新教】の動きを探れ」

「はい、承知しました」


 ちなみに、報せの内容は、**《聖女》現る。本教会の【青の聖堂】の守り人ゆえ移動はならず。その奇跡の能力を必要とする者は、国に病院を建てた後、【青の聖堂】にてのみ面会を許すものなり**だった。 

 病院を建てないと、会わせてやらないと言うことだが、病院というキーワードで、大体医療系の能力だと考えるだろうと、エルドラ様が言ってた。


「ジークを帰らせて、レイの教育担当とする」

「承知しました」


「ハビテは、レガート国でメルダの実家を調査している、イバスと共に国王周辺を探れ。そして来年の春、本教会に戻り、イツキと共にレガート国の、ミノス正教会へ旅立つように」

「えーっ?あっ!承知しました」


 言いたいこと、尋ねたいことてんこ盛りだが、ここは礼をとって、一旦下がることにした。

 そして、リース(聖人)エルドラ様の執務室で、今度は4人で話し合いをすることになった。



 

ー◇イツキ4歳の春◇ー


「ねえねえハビテ、これから僕はお出掛けするんだよね?みんなにバイバイして来ても良い?」


「良いよ。もうすぐ馬車の準備が出来るから、今の内に行っておいで」


ハビテが良いって言ったから、僕はレイとメルダが居る中庭に走って行く。

 

 リーバ様とじーじーとマーサ様には、朝ごはんの前にご挨拶したから、もう良いかなぁ?

 広い中庭の、大好きなベンチの所に、レイとメルダとリーズと食堂の人達、それから他にもたくさんの人が集まっていた。


「リーズどうしたの?どこか痛いの?」


 よく見たら、リーズの他にもキヨ、食堂のお姉さん、看護師さん達が泣いている。

 みんなが泣いてるから、僕も何だか泣きそうだよ・・・


「イツキちゃん元気でね。メルダは僕がしっかり守るからね。また帰って……来てね……」


 レイ君まで泣き出したら、僕も・・・寂しくなちゃう……


「にーたん、だっこちて」


 メルダは本当に可愛いなぁ。もう行かなきゃだから、頭をよしよしするね。


「みんな、またね。行ってきます!」


 僕は元気に手を振って挨拶したけど、ちょとだけ涙が出たことは、ハビテには内緒にしとこう。



 イツキが本教会に戻って来るのは、レガート国の軍隊での修業を終えた13歳の時になる。

 ここから、とんでもない修業の日々が始まることを、イツキは知らない・・・



いつもお読みいただき、ありがとうございます。

いよいよイツキが始動しました。

次回からの修業の日々を、応援してやってください。

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