【5】病院とシチュー
こんにちは。今回は少し遅めの投稿でしたが、ゲイ校。お楽しみください!
ん..?ここは、どこだ??ずいぶん静かだな..。
ぼくは、目を開いた。真っ白な壁だな。
よく見るとカーテンでおおわれているのに気づく。
このカーテン、なんて言ったかなぁ…
あっ、そうだ!コントラクトカーテンって言うんだよなぁ。
どうやらここは病院の中のようだ。
「あ、起きたのか。ここ。」
「あれ、加月君。その恰好...。」
彼は普通の学制服を着ていた。
僕はメガネを探して急いでかけた。
「ん、どうした?…変か?」
「ううん。全然。っていうかとっても似合ってるよ。」
「..ふふっ。ありがとう♪」
すると、彼は下を見るように僕に目で言った。
彼は小さい文字が書いてある紙を僕にさりげなく見せてきた。
『大好き』
「えっ?!あぁ…」
「あっ、茲っ!」
僕はまた失神しそうになった。
(だ、大好...)
バサッ..
(ん?)
少し落ち着いて目を開けると、目の前には加月君がっ!
「大丈夫か?茲。」
「う、うん..。ありがとう。」
「よし、良かった!!」
(加月君、なんだか嬉しそう...♪)
すると、カーテンの奥に人影が見えた。
「失礼します。」
「あ、はい。どうぞ。」
(誰だろ。医者さんとか?)
深い声の人だった。
(先生か?やっぱり。)
「こんにちは。保野倉茲くん。今回君を担当した当病院の医師、図書 登と言います。」
「あっ、今回はありがとうございました。」
うんうん!っと先生はうなづくと不意に加月君の方を向いた。
「...あれっ?加月君じゃないか。」
「あっ、先生。お久しぶりです。」
「え!?知り合いなの?」
(おいおい。どういう関係だ?あ、まさかこいつら...できてんのか...?)
「あっ、茲。先生とはね、親が関係持ってて。それで」
「へっ、へ~~。そうなんだ。」
「茲とは、友達なんです。」
「そうなのか。あっ、保野倉君。嬉しい知らせだ。もう、退院できますよ。」
「あ、そうなんですか?」
(マジで?)
「うん。ただの失神だからね。あぁ、一応お母さんには報告しないとね。」
「あっ、先生!僕が!っ僕が言っておくので大丈夫です!」
「加月君、そういうわけにもいかないだろう。まぁ、保野倉くんがいいと言うならだけど。」
「構いません。自分で言えるし、もう退院できるんですよね?」
「あぁ、出来るとも。」
「なら、僕が直接言うので。ありがとうございました。」
図書先生は「は、はぁ…。」と言うような顔をしていた。
そして僕は、無事退院できた。
[それから病院を出た僕達...]
「良かったね。茲っ♡」
「うん。でも、驚いた。起きたら病院にいるんだもん。めったに経験することじゃない。」
「あぁ、俺もそれ思った。よく、ドラマとかで見るけどわざとらしいよね。あんなの本当に起きるとは思わないね。」
「でも、ほんとに起きたね。」
「ね♡♡」
加月君の僕への笑顔は眩しくて...
僕は答えるように微笑み返した。
〔途中加月くんと別れ、帰宅〕
ガチャ!
「ただいまー!」
「おかえりー!入ってきてー!」
(お母さんの響き渡る声。でかいなー。)
「うん!」
トコトコトコ...
(あれ、これは..良い香り..。)
「座って。」
「うん。」
僕はキッチンの前のカウンター席に座る。
「これっ、味見してみて。」
母の差し出したものは、出来立て寸前のシチューだった。
「うん。」
カップからスプーンを取り出して一口すくって食べた。
(う、ううううう、うまーーーい!!)
「どう?おいしいでしょ?」
「うん!お母さん。これおいしいよ。」
「ほらっ、このまま夕食にしよ。」
「うん!早く食べたい。」
〔夕食〕
僕は急いでカバンを二階に置きに行った。
ドコドコ..
階段を急いで駆け上がり
ガチャ!..
部屋のドアを開け
ポチッ..
携帯を見た。
光が目にしみる。
その時、一通の電話が鳴った。
プルルルルルルル..
「誰だろ。」
画面を見ると『加月君』とあった。
「か、かずき君!?なんで!?」
(おかしい..交換してないはず..)
僕は試しにでてみた。
「も、もしもし..。」
『あ、ここ!!でてくれたんだ!』
「か、かずき君。どうして僕の携帯にかずき君のが?」
『あ、ごめんね。言うの忘れてた。オレの入れといたんだ。病院の時。』
「あぁ、そうなんだ。..かずき君..オレって..。」
『あ、ゲイ校以外ではオレって言うことにしてるんだ。』
「そ、そうなんだ。で、どうしたの?」
『え?どうしたのって?』
「え?なんか用事があって電話したんじゃないの?」
『え?あ~、なんだっけ?ちょっと忘れちゃった。また思い出したら言うね。』
「わかった。じゃあね。」
『うん。じゃあね。』
ピッ!!
僕とかずき君は電話を切った。
「結局、なんだったんだろう。話したかったのかな。」
(たぶんそうだろ。)
「でもちがうかも..。」
(いや、そうだろ。絶対僕と話したかったんだ。)
「さっ、シチューシチュー♪」
僕は、一応携帯を持ち歩くことにした。もしまたかずきくんから電話が来たらすぐ出れるように。
家には、僕と母以外、いないから大丈夫だろうけど。
「おまたせ!」
僕は、リビングに降りて席に着いた。
つづく
さて、どうでしたでしょうか!今回は、ゲイ校は登場しませんでしたが、楽しんでくれましたでしょうか。
次回もよろしくお願いしまーす!さゆきちでした。