【3】国語と数学
どうも!さゆきちです!今回はいつもより長い気がしますが、どうか楽しんでくれると嬉しいです!
僕は、保野倉 茲。普段、自分の心で言ってることは、声に出さない。お調子者だ。
富田先生がみんなの方を見る暇もなく次々言う。
「はい、では、15ページ。」
先生は、真後ろにある、黒板と向かい合って漢字を書き始めている。
僕は、早速ノートに写し始める。
「保野倉、写さなくて良い。」
(は、はぁ?富田、お前ずっと前向いている癖にどっから見てんだ?背中にでも何か付いてるのか?)
「は、はい。わかりました。」
すると、先生は今度は前を向いて言った。
「栗原、これは何だ。」
「はい、えーと..産業の産です。」
「正解。次、これを安田。」
「えーと、文法の文です。」
「正解!もういっちょ!安田。」
「えっと、これは僕の安田の安です!」
「ブッブー!これは、安いの安だ!」
(うわっ、キモい!てか、つば、きたねぇよ!バカ!しかも、どっちにしろ同じだろ?)
はぁ、これじゃついてけねぇ。だって、この先生、めんどくせーもん。バカ!アホ!俺だったら、こんなの!
『「おい!てめぇ、安田をなめてんのか?おい!富田!何とか言ってみろ!」
それを見て、安田は僕に駆け寄る。
「こ、茲くん!かっこいい!!」』
(うひひひひっ!)
「どうした?保野倉。その顔をその声は。」
僕は、妄想していたようだ。富田先生を懲らしめる妄想。あれが、ほんとだったらいいのに。
すると、富田先生が僕を細目で見てきた。
「保野倉、これ読んでみろ!」
(おぉ、これならみんなわかるだろ。簡単だ!)
「えっと、連立方程式の程です。」
「正解..だ。」
先生は少し驚いた顔で言った。
(な、何?みんな驚いた顔しちゃって。)
すると、この空気を大きく読むように、さっきの安田と言う男の子が手を上げた。
「せんせい!」
「おう、安田。」
「おれは、程々の程だと思います!」
「あぁ、それも正解だ。てか、あり得るな。」
みんなは、安田の言ったことにうなずいている。
(なんだ?この空気は。みんな、もしかして、頭悪いのか?ただでさえ僕も悪いのに。てか、あり得るってなんだ。この野郎。)
キーンコーンカーンコーン
一時間目が終わった。
(チャイムはなるんだな。)
「お、終わりですか?」
僕は、試しに言ってみる。
すると、周りのみんなは席を立ってしゃべり始めてる。
先生のほうをみると、先生はすでにいなかった。
とんとん。
だれか、僕の肩をたたいてきた。振り向くとそこにはくみさんがいた。
「おつかれ!」
「うん。」
(久弥さん..。)
「お話ししよ?」
僕と久弥さんは机を合わせた。
「ビックリしたでしょ?」
「う、うん..。」
(ビックリって言うより、なんなんだ、ここは。)
「ねぇ、」
「なに?茲くん。」
「久弥さんもゲイなの?」
「え?あ..。ううん、あたしは違うよ。ここの代表者?っていうか..。つながりを作る役目をしてるだけ。」
(マジか..。久弥さん、えらいなぁ。)
「そうなんだ...!偉いね。あ、あのさ、加月君は好きな子とかいるのかな?」
「うーん...、たぶんね。」
「え?!ほんとに?!」
僕は、ビックリしてしまった。
「ふふっ♡やっぱり好きなんだ。加月君のこと。」
「え?!そんなこと..ないよ!」
「いや、うそだ。きのうなんか、超ガン見してたもん。」
(あぁ、その通りだ...。ぼくは..。)
「でも良いと思うよ?ここでは男も女も関係ない。」
「そ、だね。」
ぼくは、あることを思い出した。
「あのさ、チャイムって。ここにもあるんだね。」
「あぁ、あれはねっ」
久弥さんが言おうとしていた瞬間。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
鳴り終わった後、久弥さんが言った。
「あ、鳴ったね。これ、中学のチャイムだよ。だってここ、中学の裏じゃん。まるぎこえなんだ。」
「あ、そうだったんだ。じゃあ、これって二時間目の?」
「うん。早く戻らなきゃね。」
僕は、みんなに見えないくらいの高さで手を上げて机を戻した。
それに合わせて、久弥さんも戻っていく。
カーテンの入り口から入ってきたのは別の先生だった。
(だ、誰だ?)
「だ、だれ?」
すると、加月君が僕に耳打ちしてくるように言ってきた。
「あの先生は、隣の高校で働いている宮田先生だよ。時々、出張とか言ってくるんだけど、まさか今日来るとはねぇ。思わなかったよ。」
(そうなんだ。時々..)
「まぁ、心配する必要はないよ♡なんかあったらいってね♡」
僕は、「うんっ」とうなずく。
(ぜひぜひ!なんかあったら絶対言いま~す♡)
宮田先生ってのが授業を始めた。
「はい。では授業を始めよう。私が今日担当するのは。」
すると、先生が黒板になんやら書いている。
(なんだ?見えねぇぞ?こら、宮田。そこどけ!)
そこには、
「数学」
と書いてあった。
「数学..。」
「そうだ!今、言ったのは誰だ!」
僕はビックリしてしまい、思わず目を大きく開けてしまった。
「君だな。」
すると、宮田先生は僕の目の前に来た。
「保野倉君!君は数学の意味を知っているか?」
「い、意味ですか??」
「おう!そうだ!知ってるか?」
「い、いいえ..。」
(おまえ、なんだ!数学は数学だ!)
すると、宮田先生はみんなの席と席の間を通りながら歩き始めた。
「数学とは。数に学と書いて、数学。つまり、計算力、考える力がないと問題は解けない!」
みんなは静かにうなずいた。
「では、数学の一次関数について。」
と、宮田先生は授業を始めた。
キーンコーンカーンコーン
二時間目が終わった。
「う~ん!つかれた~!」
ぼくは、大きく背伸びすると隣にいる加月君が話しかけてきた。
「おわったね♪」
「うん♪あ、あのさ、授業っていつまで?」
「三時間目までだよ♡四時間目はみんなで交流練習!」
加月君は、楽しげに話していた。
(あぁ、やっぱり、かずき君の女装はかわいいな。)
「あ、加月君ってホントにゲイなの?」
「うん。どちらかと言えばね。しゃべりがちょっと気になってるけど、女装は似合ってるらしいから、いいかなって!」
加月君は、いつも僕が見ている加月君とは少し違う。でも、悪くないと思う。
たまにはこういう姿の加月君も良い。
「ん?」
加月君は僕を見てきた。
「え?あ、何でもないよ?」
「うん。そうなんだね。..あ!良いこと考えた!」
「えっ?!」
「ちょ、ちょっとこっち来て!」
(な、なんだよ?!)
教室の後ろにはもう一つのカーテンがある。その中は今日来たばかりだし、あけてない。まさに、今、加月君にその中に連れてかれる。
この中には何があるのだろう。
僕はそんなことを考えながらカーテンの中に入っていく。
つづく
どうでしたでしょうか。楽しんでいただけましたか?
次話も頑張りますので、コメントなどよろしくお願いしまーす!
さゆきちでした。(.^.^.)