【24】海デート#6 突入!MIRAI島
そろそろ完結したいんだが...終わりが見えない。
ゲイ校始まります!( ´ ཫ ` )
「ん〜...?」
チュンチュン、鳥の鳴き声がする。そうだ、もう朝だ。
「すーすー...」
すぐ隣で聞こえてくる加月くんの鼻息。そうだ、あの後僕は歯磨きもせず彼の隣で寝ちゃったんだ。
「加月くん...」
小声で話しかけるも起きる気配のない彼。カーテンの隙間からかすかに潮の香りがする。窓が少し空いていた。
「あれっ...?」
窓の縁が濡れている。昨夜はもしかしたら雨が降っていたのか?
「あんな所まで...」
見ると海の潮は昨日自分たちが遊んでいた浜辺まで来ていた。昨日のうちに遊んでおいて良かったな。
「...茲?」
振り返ると加月くんが布団の中からひょっこりと目だけ出してまるで猫のようにこちらをじっとみていた。
「おはよう」
「おはよぉ...ふぁぁあ...ねむ」
「寝てていいよ。まだ早いし」
朝ごはんまではまだあと1時間もある。別に強制ではないため、おおよそで9時半からの予定になっている。
「...来て」
「ん?」
潤んだ目がこちらを見て離さない。加月くんの傍に近寄ると、彼は自分の布団へと僕を招いた。
「こうしてると...暖かいでしょ...」
「うん。あったかい...そういえば昨日の夜、雨降ってたみたいだよ」
「知ってる。...昨日すごい大雨で起きちゃったから」
「そうなの?」
「うん。でも茲、すやすや寝てて、私の腕がっちり掴んでたから動けなくて...」
「そうだったんだ...ごめん」
「ううん。でも、嬉しかったから。離れたくなかったから。」
「加月くん...」
ピーンポーン
その時、部屋のインターホンが鳴り急いで僕は起きた。
出ると久弥さんたちがいてその後ろには安藤さんと相原さんがいた。
どうやら僕達の部屋へ遊びに来たらしい。付き人の2人は隣の事務室へと入り、久弥さん達はスリッパを脱ぐとずかずかと入ってきた。
「おじゃましまーす!って加月くんまだ寝てるの??」
「久弥...」
「もう9時になるって言うのにもう...。ていうかそのはだけたTシャツ!露出度高すぎ!」
「筋肉が丸見えだぞ〜?もしかして昨夜、茲の事襲ったりとかしてねーよな?」
愛弘さんのその一言に僕達は汗が止まらない。
「ありゃ...マジだったか」
「もう!そんなことカップルなら一つや二つあるでしょう?...2人とも、別に恥ずかしいことじゃないのよ?お互い愛し合ってるんだから。ね?」
久弥さんのその一言に僕は自然と笑顔になっていた。いいんだ、そうだ。だって、僕は彼のことを愛してるんだ。
愛のカタチを確かめ合うこと、それはとても大切なこと。
「久弥、ありがとう」
「ううん。あっ、別に愛弘も悪気があって言ったんじゃないもんね?」
「...うん。ただ、2人が羨ましくてなっ。あたいもそうやってふたりみたいになりてぇ」
「なってるでしょ?...もしかして、私の事見えてないの?」
「何言ってんだよ!...久弥以外見えないっつーの」
「んまぁ、こんな感じよ。あたし達も!アハハ」
「なっ!久弥、おまえな〜!」
久弥さんは僕達のキューピット。僕達を繋いでくれた大切な人だ。本当に彼女には感謝の一言しかない。恋愛不足の僕を好きな彼の通っているあのゲイ校に招いてくれて、仲良くしてくれて。
「...茲?泣いてるの?」
「うぅ...いやえぇと...」
「やだぁ、もう。茲くんはほんとに心が綺麗な人なのね」
自然と彼が抱いてくれた。暖かい身体。彼の大きな背中。
「もう、またラブラブタイム?やめてよ、私たちいるのに!」
「茲が泣いてるんだぞ、彼氏の俺が慰めなくてどうする」
「なんだ、加月くん。女子って言うより男前になっちゃったね」
「かっこいいぞ加月」
「それにしてもー、綺麗よねここからの景色。」
「おっ富士山!」
「富士の間。いい響きだわぁ」
コンコンッ
玄関を開けると付き人の相原さんが立っていた。
「失礼致します。お食事の準備が整っておりますので、そろそろ参りましょう」
「恵美さんありがとうございます!さぁみんな朝食よ!」
9時15分、みんな一斉に集まり朝食を摂り始めた。
「本日のスープはミネストローネでございます」
今日の朝食はバイキング形式。目玉焼きやお寿司、フランスパンや他数々のパン、マグロの解体ショーまである。
「見ろよ!1番うまい大トロゲットー!」
「愛弘ったらそんなに持ってきて...。全部食べられるの?」
「ん?わかんねえ」
揉み合いながらも美味しそうに食べる2人に比べ、さっきから隣で黙々と食べ進める彼を見てニヤケが止まらない。
「お米ついてるよ」
口の端についている米粒を取り、口へ運ぶ。
「茲くん、僕にもやってほしいな〜」
それを見ていた高台おじさんがわざわざ頬にお米をつけて迫ってきた。
「おじさま!やめてください、困ってるじゃありませんか!」
「ぶえー...」
「おじさまには、はい!私が」
蘭果が上手く対応してくれたおかげで危機を免れた。そんな気がする。
「食べてる?」
「ん?あぁ、うん。食べてるよ」
「そう...、ちゃんと食べないと体力つかないよ!今日は沢山動くんだから」
「そうだね!あれ、そういえば今日は何するんですか?」
「あぁ、今日はね」
11時、船の上。
「うわぁぁー!すごい揺れるぅぅー!」
「あははっ!たーのしぃぃー!」
現在、訳あって無人島に向かっている僕たち。別荘のある山から海を渡り約3時間かかる所にある無人島『MIRAI島』だ。
でもそんな島、いままで聞いたことも見たこともないから少し心配だ。
「本当にあるんですか?『MIRAI島』なんて」
「あるとも!僕が蘭果の10歳の誕生日に買ってあげたんだから」
「えっ!蘭、無人島持ってるの!?」
蘭果が転校したのはちょうど10歳の時。転校して2ヶ月後の誕生日に無人島なんて貰ってたんだな。
「そうよっ!ちなみに、『MIRAI島』の名ずけ親は私!」
「センスいい...」
「ありがとう!今日は最高のおもてなしをするわ!」
島に着き加月くんの手を借りて降りると、目の前には大きなヤシの木が一面に生い茂っていた。
「ココナッツ...!」
「そうよっ!このヤシの木は私が植えたの、素敵でしょ?...まぁ植えたのはこれ一本だけだけど」
「へぇ...すげぇなこれ」
加月くんは大きく口を開けて唖然としていた。蘭果に続きみんなでついて行くと、だんだん木が多くなっていきいつの間にか1つの森に入っていた。
「蘭果さん、これ大丈夫?俺たち迷ってない?」
「全然!だってここ、小屋までの通り道だから」
「小屋?」
「ええ。あっ、私の小屋っ!」
何かを見つけたように走っていく先には小さな木彫の小屋がぽつんと立っていた。
「おぉ、マジで小屋だ」
「別荘とは大違いだね、愛弘行ってみよ!」
急ぐ久弥さん達を追いかけて僕達も小屋へと向かう。
「おっ!意外と広いじゃん」
中に入るとそこはドラマでよく目にする風景そのものだった。
全て木材で作られている机や椅子やアカシアの木のドア、落ち着いた白い壁のベッドルーム、窓外からは淡い緑と太陽の光が差し込んでいた。
「綺麗だね」
「えぇ」
蘭果が小さなため息をついた。
「ここに来るとね、本当の自分に戻れるの。周りの目を気にすることなんてないから。本当は大好きな木の葉や落ち葉、自然が沢山あるこの場所が大好き。でも、今の私には相応しくない場所。」
「蘭果...」
「でも今日はみんなが、みんなが来てくれた!私の好きな場所、大好きなこの小屋に。ありがとう」
「蘭果ちゃん...!こちらこそ、連れてきてくれてありがとう〜!」
久弥さんに抱きしめられ、ポロポロと涙を流していた。彼女はやはり辛かったのだ。
「でも決してこの生活が嫌いってわけじゃないの。でもね、久々に友達と遊べて嬉しかったなって。」
「僕達もだよ、連れてきてくれてありがとう蘭果。さぁ案内して、この島を」
高ぶった感情も落ち着いたところで、早速島めぐりの幕が上がった。
「さてさて気を取り直して、このMIRAI島の島めぐりと行くわよ!もちろんツアーガイドはこの私!美園蘭果でございます」
「いいぞー!」
そういえば、この場に居ない高台おじさんはというと他の用事があるなどで僕達とは別行動となったのだった。
「じゃーん!到着ですわ」
「池?」
「いいえ、これはオアシスですわ」
オアシス?...オアシスといったら砂漠のイメージしかないのに
「この輝き、ご覧になって〜!...はぁ、透き通ってますわ」
「さっきの蘭は、何処へ...」
「しっかり目に焼きつけました?では、次に〜」
立ち去ろうとしたその時、オアシスの中から小さな波動が聞こえた。
「今の音...何?」
「茲、どした?」
「あれっ、あの真ん中揺れてないかな」
じっと見つめているとそれは次第に膨張してゆき、大きな高波と共に飛び出してきた。
「おぉー!やーっと見つけたぞっ!UMA!」
つづく
また新章始めようとしてるよ、わい。
久々の投稿でテンションナイアガラ!
(キャラ変わりました?自分で言うものなんだけど)




