【18】蘭への母思い
ゲイ校、今回は茲が蘭のことをとっても心配してるようですね。
前回、僕たちは蘭果と別れて、わが家へと帰った。
「茲ー!!起きなさーい!」
それは昨日のことだった。
加月君に、告白された。そのことが、信じられなくて..僕は布団の上で呆然と横になっていた。
母さんが階段を急いでづかづかと駆け上がってくる音が聞こえてくる。
部屋のドアをすごい勢いで開けた母は、
「茲!もう!死んじゃったのかと思ったじゃない!」
「あっ、母さん。ごめん聞こえなかった。」
「まぁ、いいのよ。でも珍しいわね。茲が寝坊なんて。いつもは、自分で起きてくるのに。」
「なんか..昨日ので疲れちゃって。」
「...そうね。まさか、蘭ちゃんに会えるなんてね。」
そのとき、ピロンッ!と携帯に一通のメールが来た。
「お母さん、下行くから、早く来てね。」
「うん。」
母は来た時の勢いが嘘みたいに、ゆっくりと駆け下りていった。
そのメールは、昨日アドレスを交換したばかりの蘭果からだった。
『茲!起きてる?朝だよ?(>V<)/
初めてのメール!なんか緊張するけど(>~<)
加月さんとはどう?ってまだ、話してないかな?
とにかくおはよー!』
「蘭、あははっ。」
僕は、返信した。
*『蘭、おはよう。今、起きた。これから、ゲイ校なんだ。
加月君とはまだ話してないよ。これから、会うんだ。』
朝食を食べていると、返信が来た。
『そっか!今日ゲイ校なのね!行ってらっしゃい!私は、これからおじさまに会いに行くんだ。
ちょっと緊張気味(ノ´∀`*)
そうだ!電話のほうが話しやすいな!電話番号教えて!』
*『おう!090-xxx-0000
これだよ。そっちのは?』
『ありがとう!私のは、090-vvv-0000
これだよ!電話するから、登録して!』
僕は早速、『電話帳』に登録した。
しばらくして、蘭果から電話が来た。
制服に着替えている手を止めて、電話に出た。
「もしもし」
『あっ、もしもし。茲くんですか?』
「はい、ここくんです笑」
『よかった..。こっちのほうが話しやすい。』
「そうだね。あっ、今どこ?」
『えっ?おじさまのおうち。』
「そっか。大丈夫、蘭なら大丈夫だよ。..なにかやったりするの?」
『うーん..お食事するだけ..かな..。』
「そっか。なら、大丈夫。昨日のお上品な蘭でいれば、きっと平気。」
『うん。ありがとう。茲はこれから学校でしょ?』
「うん。あっ、行ってきまーす!」
僕は、蘭と話しながら制服に着替えて、玄関を出た。
『今、外?』
「うん。あっ、携帯?っうちの学校はもちろんダメだけど、ゲイ校は良いらしいんだ。」
『そうなんだ!!いいね!便利!』
「うん。あっ、加月君!」
目の前には、相変わらずかっこいいかずき君がいる。この人が..ぼくの運命の人..。
「おはよう!茲♡」
「おはよう!」
「なに?誰と話してるの?」
「あっ、蘭だよ。代わる?」
「うん!」
「あっ、もしもし?蘭果さん?」
『加月さん。おはようございます。』
「タメ語でいいよ。同級生なんだから。」
『あっ、そうだね。 これからゲイ校?』
「うんっ!すごく楽しみ!」
『私も一度行ってみたいなぁ~。』
「あっ、...ごめんね。ゲイ校はゲイの人しか入れないって決まりがあるんだ。」
『っそうだったね。あっ、そろそろ行かなきゃ。茲に代わってくれる?』
「はーい!」
僕は加月君と代わった。
「蘭?」
『あっ、茲。そろそろ、時間なんだ。だからまたね。』
「そっか。わかった。蘭、深呼吸。頑張って!」
『うん。ありがとう。あっ、茲』
「んっ?」
『いい友達、見つけたね!きのう言い忘れてて』
「あっ、うん!」
『へへっ!じゃあ!』
「はい!またね。」
そして静かに電話を切った。
「今日、親戚の人と食事会なんだって。蘭、恥ずかしがり屋だから。」
「そうなの?昨日俺が話したときは、はきはきしてていい感じだったぞ?」
「蘭は本番には強いから。大丈夫だったんだよ。」
「じゃあ今回もきっと大丈夫だと思うよ!」
「そうだね。」
話しているといつの間にかゲイ校についていた。
おはよー、はよー
一、二時間目を終えて中休みになった。
「蘭、大丈夫かな...」
「茲くんは、優しいね。」
後ろには久美さんがいた。
ぼくは携帯の液晶画面を見ながら、うつむいていた。
「かずき君から聞いたよ?きっとだいじょぶ。もう!お母さんじゃないんだから。」
「でも...」
「心配なら、電話してきたら?」
「うん..、そうする!」
僕は外に出て、あまりに心配で、蘭に電話した。
プルルルルル..プルルル..ガチャ!
『はい、もしもし!』
「あっ、蘭!お食事会、どうだった?」
『茲、大ニュース!おじさまがね今度、茲を連れてきてほしいって!』
「えっ、どういうこと?」
『おじさまね、怖い人だと思ったら、全然怖くない人で、すごく話しやすくてとっても面白い人だった!しかも、なんと!』
「なんと..?」
『おじさまもゲイなの。』
「えっ!?そーなの!?」
『そう!だからね、私、茲のこと話したの!』
「えっ!でも、僕、何すれば...。」
『だいじょぶ!助っ人も来るように言ったから!』
「えっ!助っ人..?」
その時、ぽんぽんと肩をたたかれた。
びっくりして振り向くと、かずき君がいた。
「加月君..」
『そう!あと、愛弘ちゃんと久弥も来るから!』
「皆で行くってこと?」
『そう!私を入れての五人でダブルデート&親友デート!』
「ほんとに行くの!?」
『もちろん!話は、茲以外の三人にもう言ってあるから、安心して!』
「そうなの?!僕だけ最後..」
「茲っ♡楽しみだね!!」
「加月君..うん!」
『さーて、行く場所はいざ!おじさまの別荘!三泊四日でいこう!!』
「三泊四日?!」
『うんっ!行き帰りはおじさまとボディーガードがいるから安心!』
「茲くん!」
「茲っち!」
後ろには、久弥さんと愛弘ちゃんがいた。
「別荘で、海も見えるんだって!」
「久弥の水着姿が見れる..」
『茲~!』
蘭は、久弥さんが持っていたタブレットに写っていてビデオ通話になっていた。
電話はいつの間にか切れていて、急いで携帯を閉じた。
『ってことで、決行日は、明後日!ちょうど、夏休みだし、良いでしょ?』
「いいね!あたいはたのしみだ。」
「うんうん!あたしも楽しみ!愛弘といっぱい遊ぶんだ♡」
「俺も、茲といっぱい遊びたい♡」
「...わかった。海、行こう!!」
『やったー!!』
みんなが笑った。
加月君が喜んでいる顔を見るだけで、僕も本当に行きたくなってきた。
明後日か...帰って母さんに聞いてみよう。
つづく
最後までお読みいただきありがとうございました。
さて、次話から海デートの話が始まります。
ぜひ見てネ(*>v<*)/




