【13】走れ!茲!
こんにちは今回は少し良い感じです。
(良い感じってなんだよ。笑笑)
前回、僕は愛弘ちゃんから加月君がお見合いすることを知らされた。
「どうしよう..。」
僕は、ゲイ校が終わるまで『お見合い』という言葉だけが頭の中にぐるぐる回っていた。
「お見合い...。」
「茲くん..。大丈夫?」
「うー...。」
(僕..加月君のことばっかり考えてる..。っもう。)
キーンコーンカーンコーン
「それでは今日はココまで。うまく考えて帰るように。」
先生が言った。
僕が暗い顔をしていると久弥さんが話しかけてきた。
「茲くん..?ほんとに大丈夫?」
「うん。大丈夫..だよ..。」
「んー。愛弘!何かいい方法とかないの?」
「うーん。そんなこと言われても...。アタイが知ってるのは『お見合いのこと』しかわかんないよ。」
「..ってことは、愛弘、お見合いのことは全部わかんのね?」
「うん。そーだけどさぁ...。..あ、待って!良い方法がある!」
「なに!?良い方法って。」
「それはーー。..お見合いの場所に行けばいんだよ!!」
「お見合いの場所..?」
「その方法があったか!..でも、愛弘、場所..?」
「もちろん知ってるよ!だってアタイだよ~?」
「愛弘~!やっぱ、あんたは頼りになる!」
「め、愛弘ちゃん..。」
「どうした?茲。」
「案内してほしいな..。」
「良いよ!安くしとくよ!」
「愛弘!金とるなぁ!」
「ウソだよ!そんなわけないじゃん。」
久弥さんと愛弘ちゃんは笑いながら話していた。
僕は、その真反対なのに。..人のせいにしちゃいけないな。
「よし!茲!早速行くぞ!」
「えっ。」
「えって!早速いくぞ!早く着替えて!!」
僕はアリスの洋服のままだったため、元の制服に戻った。
「私たちも着替えたし!ほらっ!早くいくよ!」
久弥さんは僕の腕を引っ張って外へと出た。
タタタタタタタタタタッ
僕たちは走る愛弘ちゃんを追いかけて、なんとなく走っていた。
「愛弘..ははっ。速い..!速いよー!!」
「久弥が遅いんだろー。」
「ま、待ってっ!僕..もう..。無理―。」
僕は力尽き、座り込んでしまった。
おまけにメガネもずり落ちている。
「ちょ、茲くん!ココで座られても困るんだけど..。」
「茲!こんなとこで止まってたら他の女にかずきを取られちまうぞ!なにせ、あいつはイケメンでもあるからな。」
「愛弘ちゃん..。うん!ぼく、頑張る!」
僕は立ち上がって走り出した。
「っもう!茲くんったら!」
「ほらっ、久弥。行くぞ!」
「うんっ!」
僕たちはまた走り出した。
かずき君のもとへ。
〔そのころ、加月君は..〕
「こんにちは!柿の葉です。」
「はい。確認いたします。」
私、あ、俺は柿の葉 加月。
今は母さんと一緒にあるパーティーの会場に来てるんだけど..。
雰囲気からして旅館だし..どう見てもパーティーって感じじゃないし..。
大丈夫かな..。
「それでは案内いたします。」
旅館の着物を着た職員さんはある一つの部屋に案内してくれた。
「それでは失礼します。」
「はーい。」
「あ、あのう。母さん..。」
「ん?どうした?」
「ここって、どう見てもパーティー会場じゃないんだけど?ははっ、間違えてんじゃないの..?」
「..加月。実はね..、加月にはお見合いしてもらおうと思って..。」
「えっ。」
「..ウソついてごめんね。でも、加月も柿の葉家の子孫として、今からでも結婚のことを考えてほしくてね..。でも、いやだったらいやってはっきり言っていいのよ。」
「う、うん。わかった..。」
(えっ、理解不能..。)
うちは、父さんがアパレル会社の会長で金持ち。
たまに父さんもいろんなことでテレビに出てくる。
コンコンッ。
「失礼します。お連れ様がお見えになりました。」
「はい。」
ス―ッとふすまが静かに開いた。
つづく
お読みいただきありがとうございました。
次も読んでくださいね!(^^)




