【12】メイクの力♡
こんにちは、さゆきちです。
ゲイ校お楽しみください。
僕は席に座った。
前にここに座ったのは、加月君とだったな。
でも今では当たり前になっている。
僕は男から女へと変わっていった。
「はーい、おわり♡」
神子さんが言った。
「ありがとう。」
「似合うね。」
「ありがとう。神子さん。」
僕はそっとカーテンを開けた。
あ、覚えているだろうか。念のため言っておくが、僕がいるのはドアを開けてから一番奥に見えるカーテンの中。
メイクルームになっており、誰でも好きな時間に自分の気分によって好きなメイクをできる。
「かわいい~♡茲、かわいいよ♡」
かずき君は、そう言って僕に抱き着いてきた。
「これが茲っちか。ずいぶん印象変わるんだ。かわいいじゃんw。」
「あ、ありがとう。愛弘ちゃん。」
「さぁ、次は愛弘の番だよ。」
「えっ?あたいもやるの?」
「安心して!私もやるから。」
「うん..。く、久弥がそう言うなら..!」
すると、久弥さんと愛弘ちゃんは、メイクルームへと入っていった。
僕たち(加月君と僕)は暇だったので話していた。
「ねぇ、かずき君は着替えないの?」
「うん。今日は、これから母さんと飲み会があるからね。ほら、急にメイク落とさないとってなったら、落とせないからね。」
「あ、そうなんだ。大変だね。」
「うん。でも、そうでもないよ。」
「そうなんだ。」(*>v<*)
「ねぇ、そういえばさ。茲。」
「ん?」
「なんで、その格好にしたの?」
「あ、これ?なんか、僕っぽいかなって。...変だった?」
「ううん!そんなことない!かわいい!」
「あ、かわいい..。ありがとう。」(^^)
僕は自分らしい洋服を選んだ。
それはアリスの洋服だ。腰のあたりがきゅっとリボンで結んであって、後はヒラァ~とモフモフのスカート。
「頭はなんで何もしなかった?」
「この髪型に似合うのはないよ。」
「ん~...。ちょっと待ってて。」
彼はそういうと席を立ってカーテンの中へと入っていった。
しばらくして、戻ってきた。
その手にはあの時と同様、何か持っていた。
「これ、もらってきた。」
「これは....?」
「ゴム。リボンのゴムだよ♡」
「これ、僕につけるの?」
「うん。ほら、頭、貸して。」
僕は彼の顔のほうに頭を寄せたけど、何をやっているかわからない。
感じるのは、かずき君のわずかな鼻息だけ。
「できたっ!」
僕はすぐさま鏡のほうに向かった。
「なに、これ。」
僕はショートカットだったため帽子をかぶるのも良かったが嫌いだった。
でも今、こんな方法があったのかと思った。
女の子が普段する二つ結びの位置で少しミニ二つ結びになっていた。
「かわいい..。」
「でしょ?良かった。」
そのとき、久弥さんたちも着替え終わってカーテンを開いた。
「できたー!」
「わぁー久弥かわいい!」
久弥さんは頭に大きなリボン着けて着物を着ていた。
「久弥かわいい..。写メ!写メ取らなきゃ!!」
愛弘さんは、ロック系の洋服。背中にはどくろマークがいっぱいある。
「二人ともかわいいっ~!」
「ね。二人とも。」
「ありがとう!」
「てんきゅ。」
僕たちは記念に、写真をぱちりと撮った。
とってくれたのは神子さん。
「四人ともいい笑顔!」
「神子さんには負けますよ。」
「..もうっ♡かずき君ったら♡」
「あ、だめですよ?私に惚れちゃ!私には茲がいるんですからね?」
「わかってます!はい、もう一枚!」
ぱちっ
「ありがとうございます。」
その時、先生が。
「柿の葉ー。お母さんが来てるぞー。」
「あ、来た。はーい!今行きます!」
「お母さん?」
「うん。じゃ、私。じゃなくて、俺、行ってくるねー!」
「いってらっしゃーい!」
みんなはにこにこしてかずき君を送り出した。
ガチャン。
僕と久弥さんは話していた。
「加月君のお母さん見たことないなぁー。」
「あー確かに。私もそれはないわ。」
「とても優しそうだし、一回お会いしてみたいね。」
「それは無理な話ね。」
「えっ?」
「あたいね、加月のことほんとはいろいろ兄貴から聞いてんよ。」
「そーなんだ。アオ君から。」
「加月、もうすぐお見合いする。」
「えっ?!」
「なんでっ?!愛弘、だって加月君はっ!」
「うん、ゲイだ。しかもまだ中学生。そして、ゲイだけどなにかの事情でお見合いするんだな。」
「う、うそ。久弥さん、愛弘ちゃん、僕どうしよう。」
「あ、あんたまさか、かずきの事?」
「愛弘!今はそのことを言ってる場合じゃ。」
「どうしよう。...加月君が女の子と一緒に...。」
あぁ…!どうしよう!
つづく
さて、いよいよ面白くなってきたゲイ校。
次回も読んでくれるとうれしいです。




